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Rock and Movie Reviews : The Wild and The Innocent

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semスキン用のアイコン01 Fleetwood Mac "Tango in the Night"(1987) semスキン用のアイコン02

  

2008年 05月 05日

Fleetwood Mac \"Tango in the Night\"(1987)_a0035172_8121745.jpgフリートウッド・マックが好きなのだ~って、2年ぶり5回目かぁ!
今回は80年代中期の傑作"Tango in the Night"(1987)である。(予告通り!)
80年代はポップ・ミュージック至上の時代である。70年代後半から始まったニューウェーブのムーブメントは、80年代に入って様々なジャンルに拡散し、MTVや商業化の流れと共にロックに限らず、あらゆる分野にポップ(大衆化)の要素を浸透させていく。70年代の大仰なロックは急激に古いものとされ、ポップで分かりやすい音楽がその賞味期限を競うように次々と生み出された。
1985年、日本では洋楽ブームが真っ盛りで、世界的にもマイケル・ジャクソンやワム、カルチャー・クラブ、マドンナ達の華々しい活躍があり、それらスター達が惜しげもなく集った"Do They Know It's Christmas?"や"We are the World"らのチャリティレコードが発売され、その延長線上でライブエイドが開催された。僕自身、"We are the World"を発売と同時に購入したクチだが、そのジャケット集合写真の端っこの方の目立たない男の姿を不審に思った記憶がある。それがフリートウッド・マックのフロントマン、リンジー・バッキンガムなのだが、当時の僕は、ソロパートを歌わせてもらえなかったその人物のことを気にもとめなかった。80年代中期の華々しさの影で、解散同然だった70年代のバンド、フリートウッド・マックの栄光は既に過去のものになっていた、、、と言えよう。

しかし、それから2年後、フリートウッド・マックは5年ぶりに新作を発表して復活する。
同じく中心人物であるスティーヴィー・ニックスとクリスティン・マクヴィー共にソロでのヒットがあり、今更グループで活動するメリットがあるのかと思わないでもなかったが、やはりマックの名前はそれ以上の十分すぎるネームバリューがあったのである。31週連続全米No.1の実績はダテではなかった。80年代にスタイリッシュに生まれ変わったマックの面々、満を持して発表した"Tango in the Night"(1987)からは4曲のシングルヒットが生まれる。リンジーの「Big Love」が全米5位、スティーヴィーの「Seven Wonders」が全米19位、そしてクリスティンの「Little lies」が全米4位、「Everywhere」が全米14位である。其々の持ち歌は彼らのこの時期最高の楽曲と言ってよく、このアルバムにかける意気込みと同時に作品としてのクオリティの高さを感じさせる。
以前のアルバムと比べても、"Tango in the Night"には、80年代風の音を全面的に取り入れた洗練さと共に、円熟した大人の味わいがある。リンジーの「Big Love」は、楽曲そのものはシンプルなのだが、リンジーの声とそれに絡むスティーヴィーの吐息がすごくセクシーで、それが故にゴージャスな感じがするのだ。
とにかく3人のバランスが素晴らしい。特に最大ヒットとなったクリスティンの「Little lies」では各々のコーラスがバッチリ決まっていて、これまで以上に3人の個性が絶妙なアンサンブルを醸し出す。元々、プライベートでの愛憎が色濃く、人間関係が微妙なバンドながら、その音楽的結束、70年代の栄光は再びここにひとつの成果を残したのである。

残念ながら、アルバムの完成後にリンジーが脱退して、その後のマックは常に片肺飛行を余儀なくされる。いろいろあってのことだとは思うが、、、いずれにしても、それ以降に全盛期の5人が揃うのは97年の傑作ライブ"Dance"まで待たなければならなかったのである。

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Fleetwood Mac "Live at the BBC"(1995)のレビューはこちら!
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by onomichi1969 | 2008-05-05 08:15 | 80年代ロック | Trackback | Comments(0)

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