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semスキン用のアイコン01 ECHOES 『BEST OF BEST』<1985-1990> semスキン用のアイコン02

  

2008年 03月 24日

a0035172_21491431.jpg80年代のJ-ロックバンドで、忘れちゃいけないのがECHOES(エコーズ)である。
80年代中期、ちょうど尾崎豊が『卒業』でブレークした頃、同じように若者の代弁者的な立場でストレートに優しさや愛情を説くスタイルとして登場したロックバンドがECHOESだった。(尾崎豊と同じ須藤晃がプロデュースしていた) 音楽スタイルはその後に登場するジュン・スカイウォーカーズに近いビート系のロックで、彼らを少し文学的で実直にしたような音楽、ちょうど尾崎豊とジュンスカを足して2で割ったような音楽と言えばいいだろうか。
僕はECHOESのアルバムを当時それほど聴きこんだわけではなかったが、日本のロックバンドではとても気になる存在だった。何の衒いもないストレートなロックは、音楽的に何の面白みもないものだったけど、その実直さ故に心に響くものが確かにあった。彼らの歌には、優しさや愛情というタームが上滑りしない、根強さがあった。弱さを内包しながらもポジティブであり得る、そういった力強い響きがあった。彼らの代表曲『FOOLISH GAME』や『GENTLE LAND』、そしてリバイバルでも大ヒットした『ZOO』を聴いて改めてそう思う。

当時の日本のビート系のロックは、MODSやA.R.B.からの流れと、そこに佐野元春的な日本語感覚とポップテイストが加わって、さらに当時のスタンダードであったブルース・スプリングスティーンを代表とするT-シャツとジーンズのアメリカン・ロックを取り込んだ日本的ハイブリッド・スタイルとして熟成しつつあった。そのバンドサウンドにおける典型がECHOESだったと僕は思う。(ソロでは尾崎豊だ) 実はそれが当時の最も新しいスタイルだったとも言えるのであるが、それは次第にBOOWY風ロックにあっさりと主流を譲ることになる。結局のところ、当時の若者に熱狂的な支持を受けたのは徹底して表層に拘るBOOWYのような音楽だった。それが80年代から90年代にかけての時代感覚に最もマッチしたスタイルであり、実際のところ、BOOWYは多くのビジュアル系のフォロアーを生み出したのに対して、ECHOESのような実直さは確実に廃れていったのである。ECHOESは日本にバンドブームが訪れるのと殆ど同時に解散するが、その決断は尾崎豊の後退と共に時代の区切りとしても象徴的だったと今では感じられる。

ボーカルの辻仁成は、ECHOES時代に小説を発表し、89年に『ピアニシモ』ですばる文学賞を獲得して話題となり、一般にも名前が知られるようになる。バンド解散後は作家に専念し、97年には『海峡の光』で芥川賞、99年『白仏』でフランスの文学賞を受賞する。(そして我らの同世代アイドル中山美穂と結婚する。。)
僕は彼の小説を『サヨナライツカ』1冊だけ読んだことがある。(あと、『冷静と情熱のあいだ』は江国香織バージョンこそ読み通せたけど、彼の方は途中で挫折している) 少なくとも尾崎豊よりずっと小説は巧い。
ただ、どちらかと言えば、辻仁成の小説よりもECHOESの歌の方に僕は惹かれる。そっちの方がより素直に響くという意味で。
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by onomichi1969 | 2008-03-24 22:10 | 日本のロック | Trackback | Comments(0)

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