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Rock and Movie Reviews : The Wild and The Innocent

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semスキン用のアイコン01 プラトーン "Platoon" semスキン用のアイコン02

  

2008年 02月 09日

プラトーン \"Platoon\"_a0035172_1041741.jpg『プラトーン』も戦場映画なら、『ワイルド・バンチ』も戦場映画だ。
僕が思うに戦場映画とは、戦場という状況そのものを描くものではなく、戦場という<不条理な>状況の中で人がどう生き死んでいったかを描くべきものだ。そこに描かれるリアリティとは、状況のリアリティというよりも、人間のリアリティ、もっと言えば狂気のリアリティではないのか。なぜなら、戦場という状況下で人を生かしめるのは、狂気において他ないからだ。人はそれを正義というのだろうか?信念というのだろうか?残念ながら、そういう時代は遠い昔に終わった。
さて、『プラトーン』において、そういったリアリティを最も体現した人物は、バーンズということになるだろう。しかし、僕の印象からすると、彼の発する狂気のリアリティというのはちょっと弱い。それは、僕が戦場映画の名作『地獄の黙示録』を念頭に置いているからかもしれないが、真に狂気を描こうとするならば、そこには、それなりのセルフストーリーがなくてはならないのだ。今やテレビゲームでも戦場が体験できる時代。映画という媒体で殺し合いを描くのはとても簡単なことだ。そこにほんとうの生死の意味を描こうとするならば、狂気の本質をもっと追求すべきなのだと思う。そうでなければ、人を殺すことをなんとも思わない一部の現代少年たちの格好の教材でしかならなくなる。それでいいわけはないだろう。1986年アメリカ映画 (2003-10-15)

<追記>確かに今にして思えば、クリス(チャーリー・シーン)を主人公とし、バーンズ(トム・べレンジャー)を悪、狂気側の人として、エリアス(ウォレム・デフォー)を善、正気側の人として描き、戦場という倫理の中で善は悪に殺され、その悪も無慈悲な戦闘の中で傷ついたところを主人公に息の根を止められる、、というストーリーが見える。とても分かりやすい。その分かりやすさに当時の僕は危惧を抱いたのであるが、上で述べるセルフストーリーというのはもしかしたら戦争従事前後のクリスの姿にこそ体現されるべきものだったかもしれない。それが当時の先行作である『ビッグ・ウェンズデイ』であり、『帰郷』や『タクシー・ドライバー』だったりするわけだ。その後を描く映画なら当時もたくさんあった。戦争前後を含めた大作としては『ディア・ハンター』もある。しかし、ベトナムの戦場や戦闘そのものをストレートに描いた映画というのはあまりなかった。そういう意味で『プラトーン』は『ハンバーガー・ヒル』と並び「そこで何があったのか」を浮き彫りにすることに主眼をおいた作品として、すごく衝撃的な映画であったのである。(その衝撃度故にアカデミー賞も受賞する) 80年代のエポックメーキングな映画であったことは間違いない。

by onomichi1969 | 2008-02-09 10:27 | 海外の映画 | Trackback(1) | Comments(0)

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タイトル : プラトーン
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