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Rock and Movie Reviews : The Wild and The Innocent

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semスキン用のアイコン01 Queen "The Night at the Opera"(1975) semスキン用のアイコン02

  

2007年 11月 24日

Queen \"The Night at the Opera\"(1975)_a0035172_10531881.jpgQueenの最高傑作と言えば、”The Night at the Opera”(1975)『オペラ座の夜』だろう。前作の”Sheer Heart Attack”(1974)も同じような色合いの傑作であるが、色合いが同じであるだけに、そのトータル性や楽曲の良さで比べれば、『オペラ座の夜』に軍配が上がると思う。オペラ座以後の”A Day At The Races”(1976)『華麗なるレース』も同じように『オペラ座の夜』を引き継ぐ(対となる)作品であるが、『オペラ座の夜』という傑作と比べてしまうと全体的に見劣りしてしまう。『オペラ座の夜』の完成度が高すぎるが故に、同じ作風ではもうこの壁を超えることができない、もちろん時代の流れもあったであろうが、クイーンにとっては、その認識の上で、それ以後の”Jazz”(1978)や”The Game”(1980)における路線変換の一端があったと推測できる。

『オペラ座の夜』を圧倒的に劇的な作品としている1番の要素は大ヒット曲『Bohemian Rhapsody』の存在にあることは間違いないが、それ以外の楽曲も素晴らしく、メンバー達の楽曲に関するタレントがこのアルバムに全て結集していると言っても過言ではない。そのバランスのよさといい、スケール感といい、本当に奇跡的と思える。

美しいピアノ連弾のメロディが暗雲のようなギター音に変わり、それを切り裂くような悲鳴にも似た効果音。ブライアンのギターが縦横無尽に駆け巡る。フレディの声、冴え渡るコーラス、『Death on Two Legs』もベスト盤には収録されないが、クイーンを代表する楽曲である。ボーカルエフェクトの効いた短いながら印象的なオペラ『Lazing on a Sunday Afternoon』の次は、我らがロジャー・テイラーの声、『I'm In Love With My Car』である。ハードな曲にロジャーの男っぷりを感じさせる野太いボーカルが映える、ロジャーの曲としては、前作の『Tenement Funster』と並ぶ名曲である。そして、シングルでもヒットしたディーコンの『You're My Best Friend』とブライアンの素朴な歌声が響く『’39』と続く。この2曲もクイーンを代表する名曲であると共にある意味でこのアルバムのひとつのクライマックスであると僕は思う。特に『’39』は何度聴いても心躍るメロディとアコースティックなギター音の響きが個人的に大好きなのだ。そして、ハードな『Sweet Lady』から楽しいオペラ『Seaside Rendezvous』と繋いでAサイドを締めくくる。『Seaside Rendezvous』やBサイドの『Good Company』のような幕間的な繋ぎ曲が効果的に散りばめられていることがこのトータルアルバムの完成度をさらに高めている。

Bサイドはこのアルバムのもう一つの大作『The Prophet's Song』で幕を開け、美しいメロディの(本当に美しい)『Love of My Life』、幕間の『Good Company』を経て、アルバムの最大のクライマックスである『Bohemian Rhapsody』を迎える。『Bohemian Rhapsody』の素晴らしさについてはもはやここで語るべくもないが、アルバムの楽曲的な頂点にして、クイーンをクイーンたらしめる、唯一無比の、象徴的な代表曲と言える。そのハードな終盤から静かに囁くフレディの声に続いて、ギターオーケストレーションによる『God Save The Queen』が壮大なオペラ座の夜を締めくくるエンディングとなる。

やはり、このアルバムは彼らの最高傑作であると共にロックというジャンルの一つの奇跡として語られるべき素晴らしい作品である。作品を聴き終わった後の充実感。圧倒的なスケール。完璧である。

by onomichi1969 | 2007-11-24 23:05 | 70年代ロック | Trackback(2) | Comments(2)

Tracked from 音楽の杜 at 2007-11-24 23:16
タイトル : Queen 「A Night at the Opera」..
クイーンらしさが光る歴史的名盤 レココレ11月号はクイーン特集でした。なぜ今更クイーン特集なのか疑問に思っていたら、1981年のライヴCD/DVDが発売されるからなんですね。 和久井光司氏がセレクトしたクイーン名曲ランキングBest25も興味深いです。なぜ「Don't Stop Me Now」「Seaven Seas Of Rhye」が漏れているのかetc・・・。 記事を読んでいたら、ロック史上に残る名盤「A Night at the Opera(オペラ座の夜)」を聴きたくなり、最近ヘビ...... more
Tracked from ROCK野郎のロックなブログ at 2007-12-12 09:25
タイトル : クイーン『A Night at the Opera』
Queenの4thアルバム『A Night at the Opera(邦題:オペラ座の夜)』。1975年発表。 自分にとってクイーンほど得意も苦手もない、つまり当たり障りのないバンドはいません。別に聴いていて特別感動するわけでもないのですが、あえて不満を述べるまでもなく、このアルバム....... more
Commented by 240_8 at 2007-11-24 23:20
こんばんは!
名作登場ですね。
当時のレコーディング技術を鑑みると、こんな分厚いサウンドを作り出したこと自体驚異的ですね。
気の遠くなるような作業だったと思います。

個人的にはロジャーの作品って苦手なんですよね。彼の作品で隙なのは「シアー・ハート・アタック」位なんです・・・、スミマセン。
でも彼の華麗なタム回しとコーラスは大好きです。彼なくして本作の分厚いコーラスは制作不可能でしたでしょうし。
Commented by onomichi1969 at 2007-11-25 00:06
240_8さん、こんばんわ。
早速のコメント有難うございます。なんか似たようなエントリィになってますね; と言いつつ、ロジャーの評価が違うようで。僕はロジャーが好きな方です。声も容姿もカッコいいですし。まぁクイーンの個性のひとつだと思っています。
僕は実際のところクイーンの大ファンというわけではないのですが、やはりこの『オペラ座の夜』の前では平伏してしまいますね。それほど素晴らしい作品だと単純に思います。
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