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Rock and Movie Reviews : The Wild and The Innocent

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semスキン用のアイコン01 Prince "Purple Rain"(1984) semスキン用のアイコン02

  

2005年 06月 24日

Prince \"Purple Rain\"(1984)_a0035172_23433229.jpg僕らMTV世代にとってのスーパースターと言えば、マイケル・ジャクソンとプリンスである。当時、マイケルの"Thriller"とプリンスの"Purple Rain"は80年代中期における大ヒットアルバムの代名詞であり、1枚のアルバムから次々とNo.1ヒット曲を飛ばして、長期に渡りヒットチャートを席巻し続けたモンスター・アルバムの先駆けであった。僕の廻りにもマイケル、そしてプリンスの熱狂的なファンが当然のようにいた。確かに彼らは人を惹きつける個性を持ち、ある種の突出性、オーラを纏っていたが、そういうものがすぐに神格化される時代であったこともまた確かである。それは逆にいえば、70年代からのスーパースター、ヒーロー不在の時代が持っていた内向の息苦しさを無意識に反転せざるを得なかった80年代の、ポップという時代の要請でもあった。

一般大衆的な知名度でいえば、マイケルの方が断然上で、プリンスはどちらかといえば男性ファンが多く、少しマニアックな印象だった。しかし、そのカリスマ性は、マイケルと同等であり、またある種のコンプレックス(それは黒人であるということ、背が低いということなど)が放つ過剰な自意識は観るもの、聴くものに強烈な印象を与えた。それはある人には嫌悪感を与えただろうし、ある人には妖しい魅力と映ったであろう。そのストレートな虚構と示威は、マイケルのようなファンタジックな虚構とはうらはらでありながら、そのカリスマ性を貶めるものではなかったのである。
今にしてみれば、マイケルやプリンスが人種を超えたスーパースターとして君臨していたという事実はファナティックな大衆性所以かもしれないが、スーパースターやヒーローというのはそもそも虚構であり、シンボルとして作り上げられるものである。イメージにより自らを築き上げるという戦略がスーパースターを生み出す。永遠性という虚構に取り付かれたのは僕らであり、彼らでもあった。

僕は当時、マイケルやプリンスの熱狂的ファンというわけではなく、逆にスーパースターであるというそれだけで、表向きは毛嫌いしていた。(マイナー主義。。。) ただ、プリンスの"Around the World in a Day"(1985)はわりと気に入って聴いており、いわゆる隠れプリンスファンだったのだ。
そして、当時、大ヒットしたが故にあまり聴く気もしなかった"Purple Rain"(1984)も今では愛聴盤であり、80年代ポップらしからぬカッコいいアルバムだと思っている。

チ○チンブラーリンから始まる"01 Let's Go Crazy"から妖しいイントロが印象的な"02 Take Me With U"、大ヒットした"06 When Doves Cry"(『ビートに抱かれて』!!)、そして映画のクライマックスとなった叙情あふれる"09 Purple Rain"とヒット曲が散りばめられながら、その構成にスキがなく、素晴らしく完成されている。キャッチーさも、アバンギャルドさも絶妙のマッチングであり、飽きさせないのだ。メロディは美しく、シャウトは赤裸々で激しい。そして、その本性は、最上級にいかがわしい。。
僕はプリンスの魅力として、その声を挙げたい。声の響きによって、人の感情を揺さぶる。それを天才性と僕は呼ぶが、プリンスも正にそんな天才性をもったシンガーである。独特のビート感覚がそんな天才的シンガーをカリスマミュージシャンへと押し上げたのである。

「王子」という名前のミュージシャン。正にストレートな虚構性である。しかし、彼は天才であった。天才は実は哀しみを知っている。だから彼らの歌は響き、僕らを揺さぶるのである。

<Purple Rain のPV!> ←クリックすると始まるので音量注意!!

by onomichi1969 | 2005-06-24 23:44 | 80年代ロック | Trackback | Comments(9)

Commented by kun at 2005-06-25 18:12 x
"Purple Rain"は彼の作品の中で一番好きなアルバムです。
(聴いた回数が多いのは"Parade"の方かも知れませんが)
"Take Me With U"で聴こえるWendy&Lisaの歌声に、何度も痺れた記憶が有ります。
因みに、The Revolution解散以降の作品は殆ど聴いておりません…
Commented by onomichi1969 at 2005-06-25 22:14
kun様、どうもです。
確かに言われるように、Wendy&Lisaの美人メンバーと殿下との絡みがサイコーですね。妖しいですね。あの"Take Me With U"の最後のWooooって喘ぐとこが特にいかがわしいです。。。
あと、"Take Me With U"はあの幻想的なイントロがいいですね。
僕も殿下のアルバムは、1999からパレードまでです。90年代とかはどうなんでしょう?
Commented by oldblues at 2005-06-26 12:48
Princeの声、歌い方など、本当に下品で猥雑な感じがしますね。でもその妖しさが最大の魅力だと思います。ブライアン・アダムスなんか、めちゃくちゃ健康的な雰囲気だもん(あ、どちらがいいとか悪いの話ではありません)
で、僕は80年代の音楽をあまりしらないんだけど、当時人気があったというくくりで、このプリンスとスティングとフィル・コリンズを天才だと思っていました(笑)
Commented by onomichi1969 at 2005-06-26 17:50
oldblues様、こんにちわ。
仕事場からコメント返し~~です。
休日の横浜みなとみらい(僕の職場があるところ)はたくさんの人だかり。。。仕事してる場合じゃないって。。。

「SIGHT」誌のvol24によると、これまでアーティスティックに活躍していたブルース・スプリングスティーンやデビッド・ボウイが一気にメジャー化した1975年、この年を境にして、ロックの消費構造が完全に変化したということらしいです。ある意味でロックという異端がメジャー化して市民権を得るという構造変化が起こったのが1975年ならば、マイケルやプリンス、マドンナがブレークする1983~84年は、ロックという異端が完全に失われた、ある意味でロック終結の年かもしれません。それこそが80年代的なサブカルチャーを決定的に象徴するムーブメントだったと僕は思います。

Commented by onomichi1969 at 2005-06-26 17:54
但し、そんな中で今でもプリンスのアルバムが色褪せないのは、彼が『パープル・レイン』という大ヒットアルバムの中でさえも、そのポップな装飾の中に自らのアーティスト性を決して手放さなかったからだと思います。『パープル・レイン』や『1999』を聴くたびに僕はそんな彼の真摯さを感じ、心打たれます。これも彼の天才性でしょう。80年代では、プリンスの天才性は突出してると思いますね。
Commented by teacherteacher at 2005-06-26 23:31
この映画での、プリンスの「服を着たままのラブシーン?」には(´∇`) でした。
「パープルレイン」の収録曲は良いんだけど(I would die 4 you好き)
プリンスの曲「when you were mine」には、ヨゴレの私も胸キュンです。

・・・みなとみらいに職場があるとは、何とオサレなロケーション!
2年前、仕事で3週間程横浜に滞在?してましたが、都会はコワかったです
Commented by onomichi1969 at 2005-06-27 00:43
スノウドニアのteacherteacher小屋さん、こんばんわ
プリンスの曲で一番衝撃的だったのは、『リトル・ニッキー』でしょう。やっぱり、リトル・ニッキーがグラインドしちゃったらダーティ・リトル・プリンスも我慢できない。。。(´∇`)

明日から1ヶ月ドイツに駐在でごんす。まだ準備終わらず~。

Commented by blues1974jp at 2005-06-27 20:08
プリンス・ロジャー・ネルソン。本名が、王子。マドンナも本名だけど、なんというか「80年代のきらびやかなアメリカ」を思うときは、このひとを思い出します。MJがああいう風になってしまったのも寂しいいまとなっては・・・。
 名曲名盤たくさんなひとだけど、「マニックマンデー」のセルフカバーも、あの歌い方がかっこよかった。ほんとに、プリンスはあの声にもとても魅力がありますね。
Commented by onomichi1969 at 2005-06-28 14:31
blues1974さん、おはようございます。
『マニック・マンデー』をセルフカバーしてたとは知らなかったナ。なんとなく可愛らしい殿下を想像。特に違和感はないですね。(元々違和感だらけの人だし。。。)

僕はマイケル・ジャクソンのファンというわけではなかったけど、逆に今なら彼のファンになれるかもしれないナ。彼の物語にはちょっと興味がありますからね。
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