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Rock and Movie Reviews : The Wild and The Innocent

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semスキン用のアイコン01 Van Halen "Van Halen"(1978) semスキン用のアイコン02

  

2004年 11月 27日

Van Halen \"Van Halen\"(1978)_a0035172_4472827.jpg「ロックギタリストとは?」と言われて、僕が真っ先に思い浮かべるのは、ジミ・ヘンドリクスとエディ・ヴァンヘイレンの2人である。
フィードバックとライトハンド。この2人の登場によって普及したギターテクニックは、その後のロックミュージックシーンにとって革新的な意味合いを持つものであったろう。
確かに技術的側面から見れば、この2人のギタリストは超絶的である。しかし、その内実は、全く志向の違う音楽性に支えられていた対照的なギタリストだと思うのである。
ジミヘンといえば、ライブで見せるエモーショナルなインプロヴィゼーションに代表されるように音へのこだわりは常に彼の内面に向かっていた。クラプトンがクリーム時代の激しいインプロヴィゼーションをあっさりと封印したのは、彼の元々もっていた牧歌的なブルースへの志向があったのと同時にインプロヴィゼーションが陥る技術的な形式主義への懐疑があったからである。クラプトンがロックという可能性を前にして、クリームが構築してきた音楽から敢然と背を向けたのとは対照的に、ジミヘンはその破壊的な性格を前面に押し出し、エモーショナルな志向によってロックの技術論を打破することを目指した。そのために彼は常に自らの内面とギターサウンドを強引に引き合わせなければならなかったのだ。
しかし、ジミヘンの死から数年後に登場したエディ・ヴァンヘイレンにもはや内面はなかった。彼のギターサウンドは「底抜け」である。それが当時、60年代を引き摺っていた多くのロックギタリストと決定的に違っていた点であった。エディのインプロヴィゼーションには形式主義に対する懐疑や葛藤が皆無なのである。彼の音は最初から無機質で非牧歌的でありながら、その内面の欠如ゆえにある意味で圧倒的に牧歌的ロックなのだ。(1周引っくり返ったわけだ)それは正に80年代的な志向であろう。
ヴァンヘイレンの代表的アルバムといえば、1stアルバム"Van Halen"(1978)『炎の導火線』であろうか。第1期のヴァンヘイレンが正統派のハードロックバンドでありながら、なんとなく異端的なイメージがするのは、おそらくデイブ・リー・ロスという素っ頓狂なボーカリストのせいだろうw エディのギターがある時はメタリックに、ある時はメロディアスに炸裂し、デイブ・リー・ロスの如何わしげなボーカルが絶妙に交錯する。彼らのスタイルは新しいものであったが、そのスタイルの追求自体は正統的なハードロックバンドの方法論なのである。
なんだかんだ書いてきたが、僕はヴァンヘイレンが大好きである。それは、かく言う僕も80年代の底抜け人間だからなのだ。80年代的空虚さをもろともしない底抜けなサウンドは、この時代のヴァンヘイレンの最大の魅力なのである。

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Van Halen "Balance"(1995)のレビューはこちら!

by onomichi1969 | 2004-11-27 04:49 | 70年代ロック | Trackback(1) | Comments(2)

Tracked from 音楽の杜 at 2006-01-21 15:38
タイトル : Van Halen 「Van Halen」(1978)
ハードロックの歴史を変えた驚愕の名盤 本作は学生時代に何百回と聴いたもの。CDは持っていなかったのですが、オフで750円で売られているのを発見。ブログ仲間のdaisuke_Tokyocityさんの記事をふっと思い出し、よく見てみると、本作もリマスター盤ではないか!帯は表に無かったのですが、購入するとしっかり帯も付いており、この超名盤がほとんど新品状態で購入できました(daisuke_Tokyocityさん、有難うございます)。 今週は精神的に疲れることがいろいろとあったので、むしろスカッと...... more
Commented by oldblues at 2004-11-27 12:59
「なるほど」と頷かされました。本題とは外れるかもしれないけど、クラプトンに関する記述に特に・・・
ジミ・ヘンはもう「伝説のギタリスト」を超えた、神のような存在になってなっていますが、僕としてはそれほど好きなギタリストではなかったのです。それは彼の持つアバンギャルドな部分を受け容れられるほどには、僕の感性が進んでいなかったのかもしれません。今、改めて彼の演奏を聞くと、その革新性と素晴らしさを再認識させられますね。ジミ・ヘンをアイドルにしているミュージシャンが多いのも納得です。はい
Commented by onomichi1969 at 2004-11-27 23:35
僕もジミヘンでは1stが一番好きですね。
シンプルな3ピースサウンドに痺れます。エクスペリエンスの演奏も素晴らしいですし。
確かにアマチュア、プロを問わずギターリストなら誰でも一度はジミヘンに取りつかれるんじゃないでしょうか。技術的にも方法論的にも。
ちなみに僕が生まれて初めて痺れたギターリストはベストヒットUSAで目撃したエディ・ヴァンヘイレンでした・・・。
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