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semスキン用のアイコン01 小出裕章 『原発のウソ』 semスキン用のアイコン02

  

2011年 06月 19日

a0035172_23463667.jpg今や反原発の理論的、精神的支柱とも言うべき京都大学原子炉実験所助教小出裕章先生の福島原発に関する提言を含む待望の最新著書である。小出先生は、3.11以降、ソーシャルネットワークを中心に最も有名になった学識者の一人ではないかと思う。最近はネットだけではなく、テレビでも見かけるようになった。その真摯で的確な福島原発の状況分析はネットの中で最も信頼されうるものであったが、それがようやく一般のメディアの中にも浸透してきたようである。本書もいくつかの本屋で話題の本として取り上げられ、新書の売り上げ2位となっていた。

結論から言えば、この本は日本人必読の書であると思う。なぜなら、我々日本人は、既に国土が放射能で汚染されているという事実を引き受けなければならない。そして、今後何十年、何百年(実際は何万年か)の間、日本の我々の子孫は、我々が残してしまった放射能と上手く付き合っていかなければならない。そういう動かしがたい事実が明確に端的に述べられているからである。

どんな汚染でも生じてしまった以上は拒否してはいけない。「汚染されている事実」をごまかさずに明らかにさせたうえで、野菜でも魚でもちゃんと流通させるべきだということ。そして「子どもと妊婦にはできるだけ安全と分かっているものを食べさせよう。汚染されたものは、放射線に対して鈍感になっている大人や高齢者が食べよう」ということです。(『原発のウソ』94ページ目より)

私は40年間、危険な原発を止めようと努力してきました。しかし、止めることはできませんでした。その責任は私にあります。皆さんは「原子力のことなんて何も知らなかった」「自分には何の責任もない」「安全だと言ってきた政府と電力会社が悪い」と思うかもしれません。しかし、だまされた人にはだまされた人なりの責任があります。もちろん政府や電力会社の責任は重大ですが、今日まで原発を容認してきた責任というものが私たち大人にはある。(『原発のウソ』94ページ目より)
40年以上も反原発の立場で活動してきた先生の重い言葉であると同時に、感動的な決意表明でもある。これまで原発事故以後の社会に関して多くの言説が呈されてきたが、その中で最も明確であり、端的であり、表現としては不適切かもしれないけれど、それが明快であるが故に感動的ですらある。

最近、静岡のお茶からも基準値以上の放射性セシウムが検出された。そもそも放射線の人体への影響は比例的でしきい値がない為、基準値という考え方はそぐわないのだと言う。さらに放射性物質の体内への摂取は内部被ばくという常時細胞が放射線に晒された状態を必然的に生み出す。それが少量でも直ちに健康に影響を及ぼすことはないとは決して言えないのである。セシウム137の半減期は30年。1/1000になるのに300年かかる。これは我々自身の問題である以上に我々の子孫に対する我々の責任の問題であり、彼らは否応なく放射能と共存するしかないのだ。
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by onomichi1969 | 2011-06-19 23:36 | | Trackback | Comments(0)

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