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semスキン用のアイコン01 Mike Bloomfield with Nick Gravenites and Friends "Live at Bill Graham's Fillmore West 1969" semスキン用のアイコン02

  

2011年 02月 11日

Mike Bloomfield with Nick Gravenites and Friends \"Live at Bill Graham\'s Fillmore West 1969\"_a0035172_23155235.jpg60年代後半、ブルーズ・ロックの2大白人ギタリストといえば、エリック・クラプトンとマイク・ブルームフィールドだったと言われている。クラプトンがソロとしてボーカルも取るようになり、ドラッグ療養によるブランクを経て、そのスタイルをアレンジしながら70年代も活躍したのに対して、マイク・ブルームフィールドは、ドラッグから抜け出せず、また、ブルーズに固執したが故に70年代以降は忘れられた存在となった。

そういう存在に僕は何故か惹かれてしまう。
マイク・ブルームフィールドの代表作と言えば、アル・クーパーと組んだ"Super Session"(1968)がある。ブルームフィールドは、体調が悪くてA面のみ参加であったが、1曲目の"Albert's Shuffle"や"Stop"の流れるようなギターソロ、クリアで力強いレスポールの音色がとても印象的で、A面2曲のみでこのアルバムは名作になったとも思える。

ブルームフィールドの作品はこれまでポール・バターフィールド・バンドや『フィルモアの奇蹟』が有名であるが、彼の魅力が思う存分に発揮されたアルバムと言えば、最近再発された"Live at Bill Graham's Fillmore West 1969"、いわゆる『永遠のフィルモア・ウエスト』である。

これはすごいアルバムである。ホワイト・ブルーズの極致である。
全編に渡り、ブルームフィールドのブルージーなギターが冴えわたる。ディストーションの効いた力強い音色と、その力強さの中に響く甘く柔らかい音色。ライブならではの手触り感。1969年のサンフランシスコ、フィルモア・ウエストというシチュエーションも、このアルバムに彩りを与える。

そして、ブルームフィールドの盟友、ニック・グラヴェナイツのボーカルも素晴らしい。ホワイト・ブルーズかくあるべし、とでも言うべき晴れやかで魂のこもったボーカルスタイルである。ブルームフィールドのギターとニック・グラヴェナイツのボーカル。それにホーンやピアノが絶妙に絡む。特に、オープニングのIt Takes Timeや、長尺のBlues on a Westside、One More Mile to Goが個人的にはとても好きな楽曲である。重厚なギターソロが圧巻なKilling My LoveやCarmelita Skiffle、Moon Tune、Mary Annもいい。
楽曲自体も深く、それでいてしつこくなく、ポップな若々しさがある。当時のイギリスの若いブルーズ・バンドとは違う落ち着いた味わいがある。

70年代のブルームフィールドはまだ聴いたことがないので、いくつか聴いてみようかと思う。

1981年、車の中で死亡しているブルームフィールドが発見される。ヘロインの過剰摂取が原因とされているが、実際のところ、彼は80年代を生き抜くすべを持っていなかったのだろうと僕は思う。60年代後半に一世を風靡した伝説のギタリスト。彼は、時代に殉じたロック・ミュージシャンの一人だったということなのだろう。

by onomichi1969 | 2011-02-11 23:35 | 60年代ロック | Trackback | Comments(0)

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