Mike Bloomfield with Nick Gravenites and Friends "Live at Bill Graham's Fillmore West 1969"
2011年 02月 11日
そういう存在に僕は何故か惹かれてしまう。
マイク・ブルームフィールドの代表作と言えば、アル・クーパーと組んだ"Super Session"(1968)がある。ブルームフィールドは、体調が悪くてA面のみ参加であったが、1曲目の"Albert's Shuffle"や"Stop"の流れるようなギターソロ、クリアで力強いレスポールの音色がとても印象的で、A面2曲のみでこのアルバムは名作になったとも思える。
ブルームフィールドの作品はこれまでポール・バターフィールド・バンドや『フィルモアの奇蹟』が有名であるが、彼の魅力が思う存分に発揮されたアルバムと言えば、最近再発された"Live at Bill Graham's Fillmore West 1969"、いわゆる『永遠のフィルモア・ウエスト』である。
これはすごいアルバムである。ホワイト・ブルーズの極致である。
全編に渡り、ブルームフィールドのブルージーなギターが冴えわたる。ディストーションの効いた力強い音色と、その力強さの中に響く甘く柔らかい音色。ライブならではの手触り感。1969年のサンフランシスコ、フィルモア・ウエストというシチュエーションも、このアルバムに彩りを与える。
そして、ブルームフィールドの盟友、ニック・グラヴェナイツのボーカルも素晴らしい。ホワイト・ブルーズかくあるべし、とでも言うべき晴れやかで魂のこもったボーカルスタイルである。ブルームフィールドのギターとニック・グラヴェナイツのボーカル。それにホーンやピアノが絶妙に絡む。特に、オープニングのIt Takes Timeや、長尺のBlues on a Westside、One More Mile to Goが個人的にはとても好きな楽曲である。重厚なギターソロが圧巻なKilling My LoveやCarmelita Skiffle、Moon Tune、Mary Annもいい。
楽曲自体も深く、それでいてしつこくなく、ポップな若々しさがある。当時のイギリスの若いブルーズ・バンドとは違う落ち着いた味わいがある。
70年代のブルームフィールドはまだ聴いたことがないので、いくつか聴いてみようかと思う。
1981年、車の中で死亡しているブルームフィールドが発見される。ヘロインの過剰摂取が原因とされているが、実際のところ、彼は80年代を生き抜くすべを持っていなかったのだろうと僕は思う。60年代後半に一世を風靡した伝説のギタリスト。彼は、時代に殉じたロック・ミュージシャンの一人だったということなのだろう。
by onomichi1969 | 2011-02-11 23:35 | 60年代ロック | Trackback | Comments(0)