Rock and Movie Reviews : The Wild and The Innocent

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semスキン用のアイコン01 <   2006年 04月 ( 11 )   > この月の画像一覧 semスキン用のアイコン02

  

semスキン用のアイコン01 Foreigner "4"(1981) semスキン用のアイコン02

  

2006年 04月 30日

a0035172_2155568.jpg80年代ハードの定番中の定番である。70年代ハードロックの定型がLed Zeppelin Ⅳならば、80年代はForeigner 4(とTOTO Ⅳ)だ。
80年代初頭にはこの時代を象徴するような定番ロックアルバムが多く生まれるが、僕の中でForeigner "4"(1981)は、Journey "Escape"(1981)、Styx "Paradise Theater"(1981)、REO Speedwagon "Hi Infidelity"(1980)などに並ぶ傑作アルバムである。もう少し幅を広げれば王道Airplayも入れたい。そして(元を糾せばBostonの登場から始まる) この流れは、Asiaというスーパーグループ、そしてTOTO "Ⅳ"(1982)という傑作アルバムを生み出すに至り、グラミー賞受賞の栄誉とともにプログレ・ハード、或いはAORハードロックのひとつの幸福な果実として結実した。そしてその後、Def Leppardらの出現によって、その流れは微妙に移行していくのだ。(Night Rangerはがんばったけどね。。)

上に挙げたバンドの中でも、フォリナーはその名の通りイギリス人とアメリカ人の混成バンドだけあって、イギリス的なダークな味わいとアメリカ的な晴やかなハードさがうまくミックスされた彼ら独特のシャープな曲調を生み出している。
01 Night Lifeから02 Juke Box Hero、03 Break It Up、04 Waiting for a Girl Like Youの流れが特に素晴らしい。ハードロックの定番、02 Juke Box Heroは本家本元の切れ味。ゾクゾクするようなサビのフレーズがたまりませんナ。もちろんバラードナンバーも言わずと知れた定番中の定番、04 Waiting for a Girl Like You。この曲が流れると、思わずチークダンスを踊りたくなるって、ここはパブじゃないゾと。
とにかく、、、80年代ロックの白いカッターシャツ的な定番アルバム。
それがForeigner "4"(1981)、安心のブランドなのである。

<Juke Box Hero のライブ映像!> ←クリックすると始まるので音量注意!!
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by onomichi1969 | 2006-04-30 02:18 | 80年代ロック | Trackback(1) | Comments(0)

semスキン用のアイコン01 Jackson Browne etc. "Fast Times At Ridgemont High"(1982) semスキン用のアイコン02

  

2006年 04月 30日

a0035172_0504373.jpg映画が傑作ならば、その音楽も名作である。
80年代初頭の青春映画のサントラにウエストコースト系ロックの大御所達が一同に会した。
ジャクソン・ブラウンにジョー・ウォルシュ、ドン・ヘンリー、ティモシー・B・シュミット、ドン・フェルダー、グラハム・ナッシュにポコ、そして我が愛しのスティーヴィー・ニックス。。

その中でも冒頭を飾るジャクソン・ブラウンの01 Somebody's Babyは全米で大ヒットし、彼の代表曲となった。この曲は映画のヒロインであるジェニファー・ジェイソン・リーがバイト先で声をかけられた年上の男に誘われて、夜のドライブに出かけ、海辺でセックスに至るところで流れる。そう彼女は既に誰かのものなのだと。。。思春期の男の子が常に思い描く憧れの彼女への甘く切ない妄想を題材にしたこの曲が映画のシーンによくマッチしている。音楽は爽やかでチープな80年代的サウンド・オン・レイディオである。70年代の吟遊詩人、社会派のジャクソン・ブラウンがこの軽々しいナンバーを飄々と歌い切ることが、ある意味で80年代初頭のポップな雰囲気をよく映しているとも言えよう。

<Somebody's Baby のPV!> ←クリックすると始まるので音量注意!!

ドン・ヘンリーの甘いバラードやドン・フェルダーの如何にもウエストコースト系って感じの涼しいロックも晴やかだ。スティーヴィーのラブリー・ハスキーを聴けるのも嬉しい。そして、何といってもこのアルバムの中では、ティモシー・B・シュミットの名作カバー05 So Much in Loveが素晴らしい。彼の透明感溢れる歌声がアカペラの名曲によく映える。この曲は最近CMで流れて有名になった。確かに大御所達の競演がとても華々しく、これもまた80年代チックなのだが、それにも増して、実はこのアルバムは当時のニューウェイブ系の若手ロッカーたちの曲が結構聴かせるのだ。Gerard McMahonやRavynsなどという聞いたこともない名前のミュージシャンが歌う曲06 Raised on the Radioや07 The Look in Your Eyesがなかなかよい。The Go-Go'sやOingo Boingoなんていう色物的なグループの曲もグルービーだ。そして、このアルバムでは(当時華々しくデビューした)Louise Goffinの歌も聴ける。。。そう彼女はキャロル・キングとジェリー・ゴフィンの娘だ。彼女の曲04 Uptown Boysも甘ったるい分だけこの映画にぴったりかもしれない。
そうそう青春と言えば、やっぱりグラハム・ナッシュ、そしてポコ。70年代のミュージシャン達が80年代的に輝いています。。

まさに映画のBGMに適したライトな佳曲を集めたサウンドトラックの王道的な名作アルバム、それが"Fast Times At Ridgemont High"(1982)なのだ。

Original Soundtrack "Fast Times At Ridgemont High"(1982)
1. Somebody's Baby / Jackson Browne
2. Waffle Stomp / Joe Walsh
3. Love Rules / Don Henley
4. Uptown Boys / Louise Goffin
5. So Much in Love / Timothy B. Schmit
6. Raised on the Radio / Ravyns
7. Look in Your Eyes / Gerard McMahon
8. Speeding / The Go-Go's
9. Don't Be Lonely / Quarterflash
10. Never Surrender / Don Felder
11. Fast Times (The Best Years of Our Lives) / Billy Squier
12. Fast Times at Ridgemont High / Sammy Hagar
13. I Don't Know (Spicoli's Theme) / Jimmy Buffett
14. Love Is the Reason / Graham Nash
15. I'll Leave It up to You / Poco
16. Highway Runner / Donna Summer
17. Sleeping Angel / Stevie Nicks
18. She's My Baby (And She's Outta Control) / Jost/Palmer
19. Goodbye, Goodbye / Oingo Boingo

映画のレビューは、こっち!
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by onomichi1969 | 2006-04-30 00:55 | 80年代ロック | Trackback(1) | Comments(2)

semスキン用のアイコン01 初体験 リッジモント・ハイ "Fast Times At Ridgemont High" semスキン用のアイコン02

  

2006年 04月 18日

a0035172_1491174.jpg原題は"Fast Times At Ridgemont High"である。
それが邦題となると何故か『初体験 リッジモント・ハイ』。
これはどう考えても誤訳ではないかと思うのだが、幼少の頃はそんなことも分からず、「初体験」というなんとも甘くエロチックな響きにつられてこの映画を観たのは確か。中学生の頃、幾たびか深夜にTV放送されたこの映画を親に隠れてこっそりと観たものである。。。
今回、久々にこの映画をDVDで観て、これは80年代の『アメリカン・グラフティ』なのだということに気がついた。フィービーのポロリばかりが注目される(それは強烈すぎるから仕方ない)けど、内容自体もどうしてなかなか面白くって、結構笑えるし、晴れやかでちょっと切ない気分にさせてくれる、正に青春映画の傑作なのだ、、、たぶん。

まずキャストがいい。
ジャンキーのサーファー、ジャック役のショーン・ペンが馬鹿すぎる。。。
等身大の彼女、ステーシー役のジェニファー・ジェイソン・リーがとっても普通。。。
ポロリが眩しい我らがアイドル、リンダ役のフィービー・ケイツはやっぱり可愛いね。。。
あなたの妄想のおかげ。。。ステーシー兄、ブラッド役のジャッジ・ラインホルドも若々しい魅力が爽やかだ。
他にも端役ながら、エリック・ストルツやアンソニー・エドワーズ、それからウォレスト・テイカーやニコラス・ケイジも出ている。
あまり有名じゃないけど、ジェニファーに絡むマーク役のブライアン・バッカーとマイク役のロバート・ロマノスもいい。

音楽は、80年代ウエストコーストロックのオンパレードだ。(サントラのレビューは、こっち!
出だしのThe GO GO'sに、トム・ぺティの"American Girl"、スティーヴィー・ニックスにポコ、そして、ジャクソン・ブラウンである。ジャクソン・ブラウンの名曲『誰かが彼女を見つめてる 』("Somebody's Baby")はしばらくの間この映画のサントラでしか聴けなかったのだ。この曲はジェニファー演じるステーシーが母親におやすみを言った後、自分の部屋の窓から抜け出し、恋人と夜の街に繰り出す際に流れる。
原作/脚本が元ローリングストーン誌の学生記者キャメロン・クロウだけにロック・センスが光る作品だ。

ストーリーはあるようなないような。。。
ジャックはラリってやたらと裸になってばかりいるし、ブラッドは肝心なことがうまくいかない自分をもてあましていて、ちょっと悩める青年っぽいけど、結局は能天気。ステーシーはセックスのことで頭が一杯でスレっ子のリンダからセックスの指南ばかり受けている。マークはそんなステーシーに惹かれていて、マイクはダフ屋まがいの金稼ぎに余念がない。
基本的にはステーシーの物語が軸。ステーシーが初体験し、段々と男慣れしていくんだけど、マイクとの過ちによる中絶という事件を経て、即物的な快楽から本当の愛に目覚めていく。。。ってな感じかな。ドラッグ、セックス、妊娠、中絶、、、そんなテーマもあっけらかんと描いていて、全く悲壮感がない。今を楽しむという、まさにポップな感覚が映画を貫いている。

会話は洒落ていて、ロックテイスト溢れる。
そうそう、映画の中でマイクが知ったかぶりしてマークに教える「女の子と付き合う時の5ヵ条」って知ってるかな?
第1条 ホレていることを顔に出すな
第2条 主導権をにぎること
第3条 何が起こってもアセらぬこと
第4条 食事の時は彼女の好みを聞いて注文すること
第5条 (これが一番重要だが)ベッドインする時はLed Zepelin ⅣのA面をPUSH ON

素晴らしいご指南でした。。。

映画の最後に登場人物たちの後日談があるのはアメリカン・グラフティと同じなんだけど、ジャックは海で溺れたブルック・シールズを助けてお金を手に入れ、その金でヴァン・ヘイレンを自分の誕生日パーティに招いたんだって。。。人を喰っているというか、なんというか。

兎にも角にも、この映画、80年代を代表する青春グラフティ。
僕らの青春が如何にアホでしょうもなくって、単純だったのかを思い出させる。その感覚はすごく底抜けで、それが80年代のポップなんだナ。1982年アメリカ映画

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みんなのシネマレビュー 『初体験 リッジモント・ハイ』


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by onomichi1969 | 2006-04-18 22:29 | 海外の映画 | Trackback(2) | Comments(6)

semスキン用のアイコン01 Electric Light Orchestra "Time"(1981) semスキン用のアイコン02

  

2006年 04月 11日

a0035172_11417.jpg充実のコンセプトアルバム。
今回の宝箱は宇宙船そのものとなって、時間と空間が織り成す4次元のSF的世界へと旅立った。
このアルバムはバラエティ豊かなELOのアルバムの中でも最もコンセプチュアルな作品で、アルバム構成にしても、楽曲にしてもかなり作り込まれているとの印象を受ける。ある意味で最もインパクトのあるアルバムともいえる。そういうわけで、一部にはこれまでの作品に比べオーバープロデュース気味との批判もあるけれど、そもそもELOの魅力はそのオーバープロデュース的な演出による夢物語への誘いにある。それはディズニーランドと同じコンセプトなのだ。だからある意味でElectric Light Orchestra "Time"(1981)こそが最もELO的な作品であると言ってもいいのではないか。(ただ、確かに色合いがくどいので繰り返し聴くには食傷ぎみ、ちょっと飽きやすいかもしれない。。。でも、、、いいアルバムだよ~。)

テレビドラマの主題歌ともなった名曲02 Twilightがまず素晴らしい。そして、05 Way Life's Meant to Be、11 21st Century Man、12 Hold on Tight、、、これら曲はELOの集大成的作品であり且つ新しいELOサウンドでもあると思う。基本的には前作の"Discovery"(1979)の流れを踏襲し、楽曲はシンセ中心という構成を確立しているが、すべての点において、ひとまわりパワーアップしたようだ。音が重厚なわりにメロディは親しみやすく、とにかくポップである。
その他、近未来的なサウンド03 Yours Truly, 2095に、幻想的な04 Ticket to the Moon、それにオーソドックスなバラードの07 Rain Is Falling、インストの06 Another Heart Breaksも好きなナンバーだ。斬新なSF的ロックンロール08 From the End of the World、と10 Here Is the News、とぼけた味わいの後期ELO風な09 Lights Go Downもなかなか良い。
そして、なんと言っても、アルバムの最初と最後に01 Prologueと13 Epilogueがあるのが素晴らしい。そう、アラビアンナイトでも何でも、物語にはプロローグとエピローグがあるものなのだ。この作品が一つの夢物語であることがここに宣言されていると言っていい。

これぞコンセプトアルバム。そのポップな達成。それがこの作品の最大の魅力だ。
やっぱりELOは、、、やめられない。。。

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Electric Light Orchestra "A New World Record"(1976)のレビューはこちら!
Electric Light Orchestra "Out of the Blue"(1977)のレビューはこちら!
Electric Light Orchestra "Discovery"(1979)のレビューはこちら!
ELO "Balance Of Power"(1986)のレビューはこちら!
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by onomichi1969 | 2006-04-11 01:27 | 80年代ロック | Trackback(2) | Comments(2)

semスキン用のアイコン01 Electric Light Orchestra "Discovery"(1979) semスキン用のアイコン02

  

2006年 04月 11日

a0035172_0133773.jpgELOは、このアルバムからシンセサイザーを楽曲構成の中心据え、よりキャッチーでポップなサウンドを目指した。楽しい音たちの集まり、アルバムがまるでヒットパレードのトレジャーボックスようだ。ジャケットからしてアラジンの魔法のランプを彷彿とさせる、その宝箱を開けると、流れてくる音楽が魔法のように僕らを夢物語の舞台、まるでディズニーランドのような別世界へと誘う。

Electric Light Orchestra "Discovery"(1979)は、ヒットメーカーELOの面目躍如たる大ヒットポップアルバムである。
1曲1曲のクオリティが高く、正にすべてがシングルカットできると言われた通りに充実している。(実際に各国盤を含めれば9曲中8曲がシングルになっているそうだ。。。)
01 Shine A Little Loveの軽快な滑り出しから、アルバム中最もポップセンス溢れる名曲02 Confusion、切ないバラード03 Need Her Loveに、魔法の如き楽しいアドベンチャーソング04 The Diary Of Horace Wimp、歌謡ポップ的な05 Last Train To Londonに、美しきスペースサウンド、このアルバムのクライマックスとでも言うべき06 Midnight Blue、そして、典型的なELOサウンドが楽しい07 On The Runと08 Wishingをはさみ、ELO最大のヒットナンバーでロック調の09 Don't Bring Me Downで締めくくる。。

まさに宝箱のようなアルバムだ。
そのわくわくする期待感、それこそがスペースサウンドなのだ。やっぱりELOはいいナ。

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Electric Light Orchestra "A New World Record"(1976)のレビューはこちら!
Electric Light Orchestra "Out of the Blue"(1977)のレビューはこちら!
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ELO "Balance Of Power"(1986)のレビューはこちら!
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by onomichi1969 | 2006-04-11 00:28 | 70年代ロック | Trackback | Comments(0)

semスキン用のアイコン01 Electric Light Orchestra "Out of the Blue"(1977) semスキン用のアイコン02

  

2006年 04月 09日

a0035172_12265044.jpgElectric Light Orchestra "Out of the Blue"(1977)は、ストリングス/オーケストラ構成によるスペース・ポップミュージックとでも言うべきスタイルを完成させたELO中期の代表作である。
バンド或いはミュージシャンは、彼らがノリに乗っている時期に決まって2枚組みのアルバムを出す。その魁は言わずと知れたボブ・ディラン。。。ディランに限らず、ビートルズにしても、ストーンズにしても、フー、ZEP、エルトン・ジョン、Mac、そしてクラッシュにしても、溢れる音楽の奔流は常に2枚組みアルバムに行き着くのだ。(本当言うと、傑作は2枚組みの1つ2つ前にあったりもするが。。。)

ELOの場合、それが"Out of the Blue"(1977)である。
"A New World Record"(1976)によって成功を収めた彼らがその勢いのままに製作したら、2枚組みになってしまった、という感じだ。その為、このアルバムには一切の無駄がない、とは言えない。タイトに収められた"A New World Record"に比べ、このアルバムには幾多の遊び的な要素を感じるが、それはある種の余裕からくるものなのだろう。それが僕らにとって、とても心地よく感じるし、それこそがこのアルバムの大きな魅力でもあるのだ。

ELOは次作以降、完全にシンセサイザー中心の楽曲編成に変わる。このアルバムはELOにとって当時の集大成的作品と言って構わないだろう。
ELOはその後、バンド編成を幾たびか変えていくが、どのアルバムにも彼ら特有の音楽的煌き、そのキラキラとした夢遊感とワクワクとするような高揚感がある。僕はやっぱりELOが好きだナ。

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Electric Light Orchestra "A New World Record"(1976)のレビューはこちら!
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by onomichi1969 | 2006-04-09 12:34 | 70年代ロック | Trackback(2) | Comments(0)

semスキン用のアイコン01 The Beach Boys "Today!"(1965) / "Summer Days(Summer Nights!!)"(1965) semスキン用のアイコン02

  

2006年 04月 08日

a0035172_2156117.jpga0035172_21563625.jpgビーチボーイズと言えば、、、サーフィン&ホットロッド
当時、アメリカ西海岸の若者文化に直結したこれら2つの嗜好的イメージがビーチボーイズのコマーシャル戦略であり、彼らの曲やビジュアルには常にサーフィン&ホットロッドという2つのアイテムが盛り込まれた。これはビーチボーイズだけではなく、当時の音楽そのものがこれらのイメージをバックアップするファンクションに過ぎなかったのであり、そのチープさは足掻きようもなく自明のものであったのだ。

しかし、ビーチボーイズは、そんなサーフィン&ホットロッドという枠組みの中で数多くの名曲を生み出していく。それはひとえにブライアン・ウィルソンという優れたコンポーザーがいたからであろう。ブライアンの曲には彼特有の叙情があり、それが彼らの美しいコーラス、そしてブライアンの悲しみを湛えたファルセットによって歌われたとき、彼らにしかない、きらめくような輝きを放つのである。
“All Summer Long”(1964)は、初期ビーチボーイズの集大成的な作品であり、サーフィン&ホットロッドという枠組みを守りながらも、サーフロックというファンクションを軽々と超え、高い音楽性を実現したトータルアルバムとでも言うべき傑作であった。

ビーチボーイズにとって、もはやサーフィン&ホットロッドというイメージは一種の呪縛でしかなく、それを払拭することが彼らの次のステップにつながるはずである、、、というのは40年後の僕らからみれば火を見るより明らかであるが、当時はそう簡単には行かなかったようだ。また、ビートルズ等のブリティッシュバンドがチャートを賑わせる中、ビーチボーイズにとっても売れる作品を作ることが至上命令であり、レコード会社から常にヒットを確実視された彼らにかかるプレッシャーは並大抵ではなかった。それによって、ブライアンは精神に変調をきたすようになり、コンサートツアーへの同行を拒否し、スタジオワークに専念するようになる。

ブライアンは精神に変調をきたしたことで、自らの弱さを否応なく直視することになった。弱さを直視するということは、自らを見つめなおすことである。それは彼の曲作りに大きな影響を与えたはずだ。これまでの彼の曲にみられた叙情性は更に内省的となり、赤裸々に自分を表明する歌詞も加わるようになった。しかし、弱さを直視し続けることはとても辛い作業だ。人は常に弱さを抱えているにも関わらずそれに目を瞑り、常にそこから、その孤独から逃げ出したいと思う。そして強さを仮装するのだ。ブライアンは弱さを表明する。そして、彼はその弱さの表明と引き換えにして、ドラッグに手を染めるのだ。ドラッグは孤独を孤高の芸術に変えた。まるで悪魔の実のように。

The Beach Boys “Today!”(1965)は、サーフィン&ホットロッドを廃し、新しいビーチボーイズのソフトロック的なイメージを提供した。また、ブライアンはスタジオワークによって、彼が思い描いたフィルスペクター風のサウンドオブウォールをこのアルバムで実現する。冒頭の01 Do You Wanna Danceから02 Good to My Baby、そして大ヒットした05 Help Me, Rhondaまで、前半のアップテンポのナンバーはこれまでと同様な曲調ながら、1曲1曲がより作りこまれた印象を受ける。そしてA面最後を飾る06 Dance, Dance, Danceは、ある意味で象徴的な曲である。村上春樹の小説の題名ともなったこの曲、コーラスワークが絶妙で、ブライアンのファルセットも冴える初期ビーチボーイズを代表するナンバーであるが、それは同時に初期ビーチボーイズの最後を飾る曲にもなっている。
そして、このアルバムの白眉はB面に並ぶスロー~ミドルテンポのラインナップであろう。ブライアンの叙情性はより内省化された曲調となり、美しいコーラスと静謐なメロディは音の厚みと共にビーチボーイズの音楽を新しい境地へと導いた。
僕が好きなのは、B面2曲目の”08 I'm So Young”である。実験性を湛えたB面の曲群の中では凡庸な曲調だし、彼らのオリジナルでもないけど、この曲は確実に僕らの心に響く。それはたぶんこの曲には物語があるからだと思う。僕にとっては彼らの曲の中でも十指に入る傑作である。
それから、07 Please Let Me Wonder、09 Kiss Me, Baby、10 She Knows Me Too Well、11 In the Back of My Mindと、どれも聴き応えがある素晴らしい曲であり、どの曲も深く切ない。
改めて言うが、このアルバムのB面シリーズはビーチボーイズにとっての新しい境地であるのと同時に、ロック史におけるエポックメイキングな達成であり、このシリーズがなかったら、ビートルズの後期傑作群も生み出されなかったであろう。

The Beach Boys “Summer Days(Summer Nights!!)”(1965)は、“Today!”とその後の傑作”Pet Sounds”(1966)に挟まれて、あまり目立たない作品である。タイトルが示すように全体的なイメージとしてはToday!以前に戻ったような感じだが、アルバムとしての完成度というかアレンジの斬新性、その安定感はToday!以上であり、次作の”Pet Sounds”に向け、ブライアンがまた、アーティスティックな意味で一歩ステップアップしたことを十分に感じさせる。
このアルバムには美しき名曲19 California Girlsが収められている。僕らの世代にはデイブ・リー・ロスの底抜けに明るいカヴァーが有名かもしれないが、この原曲の美しさとそこはかとなく漂う切なさ、その素晴らしさには比すべくもない。
その他にも、15 Then I Kissed Herや21 You're So Good to Me、インストの22 Summer Means New Love、23 I'm Bugged at My Ol' Manが僕のお気に入りである。さらに美しいコーラス曲24 And Your Dream Comes Trueは、このアルバムがビーチボーイズにとっての「最後の夏」を象徴するものであり、それが「終わって」しまったことを僕らに思い至らせるのである。

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The Beach Boys "Surfer Girl(1963) / Shut Down, Vol. 2(1964)"のレビューはこちら!
The Beach Boys "Little Deuce Coupe(1963) / All Summer Long(1964)"のレビューはこちら!
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by onomichi1969 | 2006-04-08 22:30 | 60年代ロック | Trackback(2) | Comments(4)

semスキン用のアイコン01 近況 semスキン用のアイコン02

  

2006年 04月 07日

地方駐在も一段落し、実家で静養中のonomichiです。
一応、自宅待機でも病気療養でもなく、単なる休暇ですw

リフレッシュ‐きゅうか〔‐キウカ〕【リフレッシュ休暇】
-企業が社員に心身ともにリフレッシュしてもらうという意味で、年齢や勤続年数に応じて特別に与える長期休暇。

ということで、勤続10年目の恩賞(実はもう12年目なのだが、特例として休暇を延期してもらっていた)として、2週間休むことになりましたが、既に1週間ボーっと過ごしてしまいました。。
この1週間でやったことと言ったら、
①新しいバイオを買った。(Tシリーズ)
②古いバイオを修理に出した。
③ドラえもんとグルミットの映画を観た。
④ダ・ヴィンチ・コートを読んだ。
⑤日々のお買い物の為の車出し。(アッシー)
そんなとこでしょうか。。

仕事のことはすっかり頭からトンデいるので、もう十分にリフレッシュしたような気もするけど、そろそろこの休みを利用した「何か」をしようかな、と思いつつ、そういうのは休む前に計画するものだろ!今頃考えてちゃ世話ないや。。。
子供の春休みも終わり、日中はすっかりやることがなくなってしまった。まぁ、とことんまでのんびりしよう。ZZzzz
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by onomichi1969 | 2006-04-07 11:30 | お知らせ | Trackback | Comments(4)

semスキン用のアイコン01 佐野元春 『VISITORS』(1984) semスキン用のアイコン02

  

2006年 04月 06日

a0035172_22243667.jpg20年ぶりに聴いた!
当時の問題作『VISITORS』!!


僕が佐野元春を初めて聴いたのは中学1年も終わりかけの頃だ。クラブの先輩の部屋に遊びに行った時のこと、その先輩は当時さほど有名じゃなかった佐野元春にかなり入れ込んでいて、部屋に入るなりテープを取り出し、如何に彼の音楽が斬新でスマートで素晴らしくて、自分がどんなにそれに夢中であるかを力説しながら、自分でエアチェックしたサウンドストリート「元春レディオショー」を僕らに聴かせたのだ。
流れてきたのはオープニングを飾るスターダスト・キッズ。。。

それまで歌謡曲の他は、オフコース、チューリップくらいしか興味がなかった僕にとって、佐野元春の歌は少なからず胸を衝かれるものがあった。爽やかなロックンロール、カタカナの溢れた洒落た歌詞にキャッチーなメロディ、そして都会的なビート。確かにこんなポップな日本の音楽はこれまで聴いたことがなかった。。。とその時に言ったかどうかは覚えていないけど、その先輩からは早速、『SOMEDAY』を借り、テープにダビングした。少年が佐野元春の音楽に夢中になるのに全く時間はかからなかった。その後直ぐにコンピレーション盤とも言うべきベストアルバム『No Damege』が出て、これも先輩に借りてダビングし、『SOMEDAY』と合わせて、それこそテープが擦り切れるまで繰り返し聴いたものだ。『SUGARTIME』に心躍らせ、『ROCK&ROLL NIGHT』に心震わせた。気がつけば、今度は僕が学校の友達に佐野元春の音楽の素晴らしさについて語るようになっていたのだ。

その頃、佐野元春はニューヨークに滞在していて、現地でのレコーディングの様子や暮らしぶりが毎週のようにラジオから伝えられた。今思えば多少なりともスノッブな感じがしないでもないけど、当時はそんなライフスタイルがカッコよく感じられ、次回作への期待を十分に煽るものだった。

これまでLPを買ったことがなかった僕は佐野元春の新作発売が予告されると、すぐさまレコード店で新作LPを予約した。そう、僕が初めて買ったLPが佐野元春の『VISITORS』だったのだ。そして、、、『No Damege』のようなアルバムを期待していた人々(僕も含め)はその新作に完全に裏切られることになる。

『VISITORS』というアルバムは僕らにとっては扱いづらい作品だった。確かに佐野元春がここで行った音楽の斬新さについては認めるし、それがニューヨーク滞在の成果だと言われれば納得もする。しかし、突然現れた日本語のラップや強烈すぎるビート、斬新な音作りを僕らは心の底から受け入れることができなかった。そう、それはあまりに唐突すぎたし、僕らが期待したもの、『ガラスのジェネレーション』をもう一度と思う気持ちは完全に裏切られたのである。

20年ぶりに『VISITORS』を聴いてみて、当時のいろいろなことを思い出したが、改めて20年前に彼が行ったこと、そのベクトルの正しさを切に感じた。アルバムから流れてくる音と声に思いのほか古さを感じないのだ。20年前には馴染めなかった日本語のラップも今では殆ど違和感がないし、逆に20年という歳月に揉まれた分、『COMPLICATION SHAKEDOWN』や『NEW AGE』は感動的ですらある。なんというか、そのベクトルの方向性の正しさと適正な強度がある種奇跡的で、それが感動的なのだ。

当時、僕が佐野元春を聴いたのは『VISITORS』までで、それ以降のアルバムは聴いていない。彼の音楽に惹かれる気持ちはもう失われていたし、それは後戻りができないような急速さで訪れたのだ。僕にとっては、洋楽、それも60年代や70年代のロックに興味が移ったことが大きかったけれど、佐野元春にとっても『VISITORS』以降は音楽的に低迷していた時期だったように思う。
日本のロックにとって、80年代後半はシーン全体がようやくポストパンク的な位置に立った状態だった。悲しいかな『VISITORS』を創り上げた佐野元春にとって、その事実は自分が10年も先んじていることが明らかとなったということであり、それによって自らの進むべき道を見失ったとしても、それはそれで仕方のないことだった、と今では感じられるのだ。
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by onomichi1969 | 2006-04-06 23:41 | 日本のロック | Trackback | Comments(0)

semスキン用のアイコン01 David Bowie "Low"(1977) semスキン用のアイコン02

  

2006年 04月 03日

a0035172_33059100.jpgDavid Bowie "Low"(1977)は、ボウイの音楽キャリアにおけるピークを現出した最高作であり、同時に70年代から90年代のロックを代表する金字塔とも言うべき傑作アルバムでもある。
前作"Station to Station"(1976)もかなり完成度が高い素晴らしいアルバムだったが、さらに音に対する拘りを深く追求し、彼のアーティストとしての天才性をまざまざを見せ付けたのがこのアルバムである。天才性、、、その哀しみは海のように深く、そしてボウイ自身の足取りのように軽やかだ。

楽曲的にはもはや言うことはない。冒頭のインスト01 Speed of Lifeから02 Breaking Glass、03 What in the Worldの流れはリズムが特徴的な前作のダンスサウンドを引き継ぎ、尚且つそこにシンセを多用したテクノサウンドという新たな境地を見出すことができるだろう。ポップな04 Sound and Visionや06 Be My Wifeもバランスよく配置され、近未来的なテクノサウンドである07 A New Career in a New Townも素晴らしい。そして、極めつけは08 Warszawaであり、09 Art Decade、11 Subterraneansという、後半の重厚なインストナンバーである。この時代において、音楽という狂気、その可能性をLowとして表現しえたのは、ピンクフロイドとボウイくらいなものではないか。
ロックという表現方法の中で、この08 Warszawaという曲はひとつの極致なのだと僕は思う。ボウイは70年代の様々の音楽的変化の中でロックにおけるある種の地平を軽々と飛び越えてしまったようだ。哀しいかな、それは時代そのものを飛び越え、ある意味で時代を先取りしすぎていた。
しかし、ボウイほど時代に対して過剰なミュージシャンはいないのだとも思う。それ故に常に変化が必要だったし、それは狂気という形をとって時代そのものを掴み、それを超えたのだ。

80年代のポストパンクも90年代のダウナー系も源流を辿ればこのアルバムに行き着くだろう。ロック史としてみれば、このアルバムは"Ziggy"以上にもっと評価されて然るべきなのだ。時代はこのアルバムに追いついたのだろうか? 今でも聴くたびに新しさを感じる、ある種の究極性がこのアルバムには宿っているようだ。それそこそがボウイの天才性であり、この作品を傑作にしている本当の所以なのだと思う。

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by onomichi1969 | 2006-04-03 13:20 | 70年代ロック | Trackback | Comments(0)

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