Rock and Movie Reviews : The Wild and The Innocent

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semスキン用のアイコン01 <   2004年 10月 ( 11 )   > この月の画像一覧 semスキン用のアイコン02

  

semスキン用のアイコン01 Bryan Adams "Reckless"(1984) ~80年代ロックの軌跡~ semスキン用のアイコン02

  

2004年 10月 30日

a0035172_18542584.jpg僕が初めて洋楽に興味を抱いたのは新聞の日曜欄に毎週載っていたBillboard週間チャートと注目曲(Coming up !)の紹介記事だった。全米で第2次ブリティッシュインベイジョンの話題が華やかりし1984年頃のことだ。
ベストヒットUSAを一番最初に観た時のR&RのNO.1は、<今でも覚えているが>シンディ・ローパーの’Time After Time’だった。年末に観たベストヒットUSA年間トップ100特集では、カルチャークラブやプリンス、ヴァン・ヘイレン、デュラン・デュラン等のビデオクリップがこれでもかと流れ、その素晴らしさに興奮し、僕はすっかり洋楽の虜になったのだ。
1985年になり、僕も高校生になると本格的に洋楽を聴き出した。隔週で発売していたFMステーションなどのFM誌を欠かさず購入して、ラジオからのエアチェックに熱中した。NHK-FMで過去年度毎のビルボードNo.1ヒットのノーカット特集があれば、ラジオの前で待ち構えてロックの名曲を次々にカセットへ収めた。もちろんカセットのレーベルはステーションで統一した。ベストヒットUSAの他にも洋楽ビデオクリップ紹介番組として、マイケル富岡が出ていたMTVや岡部マリの番組(丸井の提供だったんだけど、番組名が思い出せない;もしかしたら東海ローカル?)を観た。近くにあった貸しレコード屋には毎日のように足を運び(当時1日1枚100円だった)、FM誌の名盤特集で知ったアルバムをとにかく片っ端から借りまくり、ダビングしまくった。いいアルバムは奮発してクロムでの録音にした。中古レコード屋にも特売があれば出掛けた。学校の友達との話題もビルボードやキャッシュボックス、R&Rのチャート予想が多くを占め、僕は完全に洋楽オタクと化した。
そんな生活は3年間続き、受験勉強と洋楽、これが僕の高校生活のすべてだった。1985年~1987年のことだ。1988年春、大学生になると、僕の興味は洋楽から映画にあっさりと移った。今思えば、あの頃は世の中が洋楽ブームに沸いた時期だった。その後、日本でもバンドブームが起こり、イカ天バンド等が活躍、洋楽熱は徐々に冷めていったように思う。これも時代の流れ、高校時代の洋楽少年も例外ではなかった。
長々と思い出話をしてしまったが、今回の紹介は、Bryan Adamsの"Reckless"(1984) である。このアルバムを知ったのはもちろんベストヒットUSAからだ。1984年も暮れのこと。初めて"Run To You"のPVを観たときの感動。今思うとかなり陳腐なものかもしれないけれど、その当時の気持ちに嘘をつくことはできない。このアルバムと前作"Cuts Like a Knife"(1983) は今でも愛聴版だ。ちなみに次作の"Into the Fire"(1986) も好きなアルバムである。80年代中期を駆け抜けた僕の洋楽的青春は、彼と共に始まり、60年代や70年代の名作たちに到達することでひとまず終わりを告げたのである。

<Time After Time のPV!> ←クリックすると始まるので音量注意!!
<Do You Really Want To Hurt Me のPV!> ←クリックすると始まるので音量注意!!
<Jump のPV!> ←クリックすると始まるので音量注意!!
<Hungry Like The Wolf のPV!> ←クリックすると始まるので音量注意!!
<Run to You のPV!> ←クリックすると始まるので音量注意!!
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by onomichi1969 | 2004-10-30 18:54 | 80年代ロック | Trackback(5) | Comments(6)

semスキン用のアイコン01 Humble Pie "In Concert" ~最高のライブパフォーマンス~ semスキン用のアイコン02

  

2004年 10月 30日

a0035172_11295150.jpgHUMBLE PIEの傑作ライブ"King Biscuit Flower Hour Presents In Concert"を忘れちゃいけない。スタジオ版の傑作"Smokin"以降のライブとして、1973年にサンフランシスコで行われたパフォーマンスを収録したものだ。(発売は1996年) 僕の中でスティーブ・マリオットは至上最強のボーカリストである。Small Faces時代の彼も大好きだが、よりハードなR&B調ロックという自らの理想的な音楽スタイルを確立したこの頃の彼の搾り出すような魂のシャウトは涙が出るほど感動的だ。(このアルバムでも最高のラップを聴かせてくれる。)
最大の聴き所は、やはり黒人コーラスとの絶妙な絡みをみせる"Hallelujah, I Love You So"だろう。ハードロックでありながらR&Bであるという、この比類なきスタイルは正しく彼ら独自のものである。ゴスペル調の男女黒人コーラスによるリフレインが響き渡る中、マリオットのラップ調のロックボーカルが被さり、ブルーズ調のギターフレーズが渋くきめまくる。最高である。まるで永遠に続くことを拒むことが出来ない夢想のように、この幻惑的なロックパフォーマンスが僕らの心を捉えて離さない。僕はこのアルバムを初めて聴いたとき、今まで聴いたこともない新しいスタイルにビックリ仰天、吹っ飛んだ(’Blow out’)ものだった。もちろん、クレムソンのブルージーなギターワークも今作で存分に味わえる。とにかく最高のパフォーマンスなのだ。
マリオットのガッツ溢れる歌声とバンド一体となったグルーブ感、黒人たちのゴスペル調のコーラス、この3者の繰り出すアンサンブルを前にして、僕らは平伏せざるを得ない感服の1枚なのである。
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by onomichi1969 | 2004-10-30 11:35 | 70年代ロック | Trackback | Comments(0)

semスキン用のアイコン01 J. Geils Band "Blow Your Face Out"(1976), "Full House"(1972) ~ボストンの栄光を祝して~ semスキン用のアイコン02

  

2004年 10月 30日

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J. Geils Bandの2枚目のライブアルバム"Blow Your Face Out"(1976)。このボストン出身のロックバンドの真骨頂はライブにある。僕は彼らの3枚のライブアルバムを持っているが、どれもみな素晴らしい。ピーターウルフのブルース魂が炸裂する初期の傑作"Full House"(1972)も最高のライブアルバムだ。(出だし2曲から完全にノックアウトされるよ) 後期"Showtime!"(1982)のポップで軽快な味わいも悪くない。だが、やはり1枚選ぶとすれば、中期の2枚組ライブ大作"Blow Your Face Out"(1976)か。このアルバムは、彼らが最もノリにのってる時期のライブシーンを最高の形で切り取った熱きロックンロールアルバムなのである。
ピーターウルフのセクシーでワイルドでラウドなボーカルスタイルには誰もが痺れるだろう。もちろん彼独特の魂を搾り出すようなR&Bテイスト溢れるシャウトに、元DJの特徴をいかした早口ラップ、観客煽りまくりステージングにも圧倒される。J.ガイルズの飛ばしまくりのギター、マジック・ディックの吹きまくりのブルースハープも最高だ。
このアルバムは、全曲全開ブルースフルアクセルの’Full House’に比べると、いくつかのバラードソングを加えてバラエティに富んだ構成になっている。彼らの荒削りでゴツゴツとした味わいに魅力を求めるなら"Full House"になるだろうが、より落ち着いて聴かせるアルバムとなればやはり円熟さを漂わせる"Blow Your Face Out"に軍配が上がる。<まぁ要は甲乙つけがたいのだなぁ> 
とにかく、、、アメリカのストーンズと呼ばれたJ. Geils Band。スタジオ盤はともかくとして、ライブ盤に限って言えば、確実にストーンズを凌駕している。これは、間違いない! ボストン万歳!!
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by onomichi1969 | 2004-10-30 10:08 | 70年代ロック | Trackback | Comments(0)

semスキン用のアイコン01 The Stranglers "Black and White"(1978) ~機械的な生から浮かび上がる根源的な死への衝動~ semスキン用のアイコン02

  

2004年 10月 25日

a0035172_1210582.jpgまず、このアルバムのジャケットからして只者ではない雰囲気を十分に漂わせている。The Stranglers 3枚目のアルバム "Black and White"(1978)は、彼らがその独自の音楽性を明確に表現しえた最高傑作だと僕は思っている。
キーボードをフューチャーした一風変わったパンクバンドから、比類なきニューウェイブのリーディングバンドへ。よりシャープでポップなサウンドと幅広い曲調、それでいて彼ら独特のダークでヘヴィーな印象がアルバム全体を貫く。どの曲も彼らにしか出来ない質のものだ。
彼らはパンクバンドと言いつつ、元々が実力派バンドなのである。その特徴は、JJの暴力的なベースラインとヒューの神経症的なギターサウンド、そしてデイブ・グリーンフィールドの明澄なキーボードメロディの正に"Black and White"(不明瞭)とも言うべきアンサンブルに尽きる。それは彼らの音楽の本質である「日常を切り裂く暴力衝動の発露」を表現しうる絶妙の構成なのだ。
一応このアルバムは、Aサイドを'White Side'、Bサイドを'Black Side'と呼んでいる。そう言われれば、確かにそんな気がしてくるが、彼らの表現する音楽は、このジャケット写真と同様に、常に黒と白の輪郭を同時に描くことで互いの色合いをくっきりと見せ付けるのである。一方は白の中に黒を浮かび上がらせ、他方は黒の廻りに白い閃光を穿つ。モチーフは、機械的な生から浮かび上がる根源的な死への衝動であろうか。このアルバムに収録されている日本を題材にした2曲、"Outside Tokyo"と"Death and Night and Blood(Yukio)"にもその対比は見て取れる。
70年代後半を席巻したパンク/ニューウェイブの中にあって、既に独自のステータスを確立していたThe Stranglersであったが、この傑作アルバムは、そんな彼らを伝説にまで押し上げるものになったのである。
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by onomichi1969 | 2004-10-25 12:16 | 70年代ロック | Trackback | Comments(0)

semスキン用のアイコン01 The Who "Quadrophenia"『四重人格』(1973)  semスキン用のアイコン02

  

2004年 10月 25日

a0035172_3261164.jpgThe Whoは、The Beatles、The Rolling Stonesに並ぶ3大ロックバンドのひとつであり、また世界一のライブバンドとも称される実力派バンドである。にもかかわらず、他の二つのバンドに比べ、日本での知名度はめちゃめちゃ低い。ビートスタイルロックのリーディングバンドとして、演奏力、構成力、ライブパフォーマンスのカッコよさは群を抜いており、ロジャー・ダルトリーだけ見ればルックスも悪くない。キースやピートにしても一種独特のカリスマ性を漂わせている。なのにこの人気の無さは何故だろう? これは日本におけるロックの七不思議のひとつである、と言いたいところだが、やっぱり比べる相手が悪かったとしか言いようがないか。。。僕が思うにThe Whoというバンドは、「ザ・ロックバンド」と言っても過言ではないくらいロックの関わる要素に対してパーフェクトなバンドスタイルを持っているし、ロックを哲学として体現し、そのロックというオリジナリティをとことん突き詰めた末にロックオペラに至る彼らの方法論にはとても納得させられるのだ。
とにかく手数の多さに圧倒されるキースのドラミング、早弾きソロが最高に素晴らしいジョンのベース、ブンブン奏法がカッコいいピートのギター、そしてマイクスタンドぶん廻しのロジャーのボーカル。もちろんリーダーであるピートの音楽性を含めて、どれを取っても「素晴らしきロックの世界」なのである。
そんなThe Whoの代表作といえば、世界初のロックオペラであり、壮大なスケールを誇る"Tommy"(1969)、壮絶なるライブパフォーマンスをみせる"Live at Leeds"(1970)、最強のスタジオアルバムであり、演奏的、楽曲的にも文句なしの"Who's Next"(1971)ということになるだろうか。どれもこれも素晴らしいアルバムたちだ。
しかし、ここで1枚選択するとなると、僕はやっぱり"Quadrophenia"(1973)を選ばずにはいられない。それは何故か。確かに"Tommy"(1969)や"Who's Next"(1971)に何の文句もないし、どちらをとってもロック名盤中の名盤と呼ぶに相応しい大傑作である。それぞれにThe Whoの違った色合いを楽しむことができる。しかし、だからこそ、どれか1枚となれば、"Who's Next"(1971)を経た後のロックオペラ集大成、ある意味でThe Whoの真骨頂たる作品"Quadrophenia"(1973)を選ばずにはいられないのだ。人によっては中途半端な印象を受けるのか、このアルバムの人気は必ずしも高くない。楽曲的な魅力のなさを理由にあげる人もいるだろう。しかし、アルバムの構成、演奏、そして幻視されるパフォーマンス、ここにはThe Whoのこれまでの道程のすべてが、言い換えればロックのすべてが詰まっているんじゃないだろうか。このThe Whoの渾身の一作を聴かずして、ロックを語ることはできないのだ。
ちなみに僕は何故かサントラ盤の"Quadrophenia"(1979)を所有している。これは青春映画の傑作、モッズ映画の定番「さらば青春の光」(原題はもちろん"Quadrophenia")のサントラである。というか、ロックオペラ"Quadrophenia"(1973)をモチーフにしてThe Whoがプロデュースしたのが映画作品’Quadrophenia’なのだ。すべてがロックという文化に繋がる、それこそがThe Who又はピート・タウンゼントの行き方なのである。ただ、、、キースはそんなピートの哲学的ロック道についていけなかったのか、ハチャメチャな生き方を貫いたまま78年に急逝してしまう。これもある意味でロック的なのかもしれないが。

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The Who "A Quick One"(1966)のレビューはこちら!
The Who "Live at Leeds"(1970)のレビューはこちら!
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by onomichi1969 | 2004-10-25 03:30 | 70年代ロック | Trackback | Comments(3)

semスキン用のアイコン01 Brian Wilson "SMiLE"(2004) ~素晴らしい新作~ semスキン用のアイコン02

  

2004年 10月 17日

a0035172_14413450.jpg山下達郎が自身のラジオ番組でブライアン・ウィルソンの新作『スマイル』をひたすら流し続けたそうだ。本人は番組の最初と最後しか登場しなかったとか。このアルバムが発売されたということは、ビーチボーイズを愛する人たちにとって、大事件というか、まさに ‘Dream comes true’ なのだろうなぁと改めて思い至る。
『スマイル』は幻のアルバムである。傑作『ペットサウンズ』(1966)発売後、ブライアンが「アメリカのルーツを探る壮大な旅、アメリカ史のタイムトリップ」というコンセプトで『スマイル』<当初は『堕天使(Damned Angel)』という題名だった>の制作を開始したが、ブライアン自身の不調<ドラッグ、プレッシャー、精神変調などなど>やレコード会社とのトラブルによって、アルバムはお蔵入りになってしまったのだ。<その残骸が『スマイリースマイル』(1967)である> 
以来、いわゆる、「スマイル伝説」(これとかこれなど)と言われる様々な憶測がなされ、マニアの間では『スマイル』のブートが高価で取引された。一般のファンの間でもこの『スマイル』という作品は幻の名作であり、失われてしまったが故の哀しさ、或いは美しさを魅惑的に漂わせる、そういう作品だったのである。幻であることが、多くの人の想像力と好奇心をくすぐる孤高の存在感を示していたわけだ。

そして、ついにブライアンが自らの伝説と呪縛を解放する時が来た。彼は、盟友ヴァン・ダイク・パークスと再びタッグを組んで、37年封印されていたパズルを完成させたのだ。
当時発売されていれば、前作『ペットサウンズ』を超えて、ビートルズの『サージェント・ペパーズ』も平伏し、ストーンズの『サタニック・マジェスティーズ』なんか吹っ飛ぶ世紀の大傑作だったことだろう。一回聴いただけで、その手ごたえをものすごく感じる。確かに、確かにブライアンの“失われた”ファルセットでこの作品を聴きたかったという思いも否定できない。でも、素晴らしい。
この作品は、ブライアンの歴史である。僕らは、『スマイル』を聴きながら、彼の個人史を紐解いているのである。さらには、そこにアメリカの歴史があり、ロック音楽という可能性の魅惑的世界が広がっている。それはパンドラの箱のようでいて、実は玉手箱なのかもしれない。しかし、僕はこうも思う。この『スマイル』という作品は、今のブライアンだからこそ完成し得たのではないかと。彼の暖かさを増した歌声、アルバムジャケットの明るい色合い、そして、ブライアンの茶目っ気たっぷりの笑顔。僕はそう思わずにはいられない。

繰り返し聴いている内にこの新しいアルバムの世界に素直に浸れるようになってきた。これは『スマイル』という作品だ。断片ではない壮大な作品だ。「作品」を素直に味わう、その喜び。久しぶりにそんな思いをしみじみと噛みしめている。ありがとう、ブライアン。素晴らしい作品だよ。
                      
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by onomichi1969 | 2004-10-17 14:19 | 00年代ロック | Trackback(4) | Comments(6)

semスキン用のアイコン01 Boz Scaggs "My Time"(1972) semスキン用のアイコン02

  

2004年 10月 17日

a0035172_0164435.jpgボズ・スキャッグスのアルバムの中から1枚選ぶというのもなかなか難しい。初期のR&B路線もいいし、出世作「Silk Degrees」(1976)以降のAOR路線も大好きだ。ただ、これまでマイナーな作品を紹介してきた関係上、ここでもやはりマイナー路線を貫かせてもらうw
"My Time"(1972)は、ボズの4枚目のソロアルバムになる。(幻のデビュー作「BOZ」(1966)を加えれば、実質的に5枚目) 既に初期のブルース/R&B路線から都会的なAORサウンドへと繋がる萌芽が十分に見られる。ただ、アラン・トゥーサンの"Old Time Lovin," "や"Full-Lock Power Slide," "Hellow My Lover"などにスワンプ系R&Bの良質さをまだ残している。
このアルバムの出色はやはり彼のオリジナル・バラード"Slowly in the West"であろう。個人的には彼のバラードで一番好きなナンバーだ。彼のメロウな歌声がシンプルなメロディに程よく嵌まる。確かに彼の代表曲である"We are All Alone"や"Slow Dancer"のような派手な叙情性はないが、徐々に盛り上がりつつ、引いていくメロディはある意味で静かな叙情性を感じさせ、妙にゾクゾクしてしまうのだ。
僕がこのアルバムを一番好きなのは、この1曲があるからかもしれない。そのくらい痺れるナンバーなのだ。

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Boz Scaggs "Moments"(1971)のレビューはこちら!
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by onomichi1969 | 2004-10-17 00:19 | 70年代ロック | Trackback | Comments(0)

semスキン用のアイコン01 Richard Manuel "Live at the Getaway"(1985) ~失われた歌声~ semスキン用のアイコン02

  

2004年 10月 16日

a0035172_17134968.jpgとても哀しいアルバムである。
リチャード・マニュエルは、言わずと知れたザ・バンドのメンバーであり、初期ビッグ・ピンク時代のフロントマンである。ザ・バンドとは、リチャード・マニュエル(p,key,dr,vo)、ロビー・ロバートソン(g,vo)、レヴォン・へルム(dr, mandolin,vo)、ガース・ハドソン(org,p,key,vo)、リック・ダンコ(b, violin,g,vo)の5人組で、1968年に「Music from Big Pink」でデビューし、解散するまでの10年間の音楽活動の中でアメリカン・トラディッショナルやR&Bに根ざしたロックの傑作を数々生み出した伝説のバンドである。「I Shall Be Released」「Lonesome Susie」「Tears of Rage」、そして「Whispering Pines」。リチャードのエモーショナルで切ないファルセットは、ザ・バンドの提供するバラードソングになくてはならない要素だった。もちろん、彼特有のR&Bテイスト溢れるシャウト唱法も素晴らしい。ともすれば乾いた味わいのザ・バンドの楽曲に艶を与えていたのは間違いなくリチャードの声だった。もちろん、彼の軽快なピアノやとぼけた味わいのドラミングも忘れがたい。
しかし、ザ・バンドがアルバムを重ねる毎にリチャードの影は段々と薄くなっていく。殆んどの楽曲をロビーが手がけるようになり、ボーカルもレヴォンが中心となっていく。
「ラスト・ワルツ」でリチャードは殆んど脇役だった。あの映画の中でリチャードがボーカルを取った場面がどれほどあったか。
70年代、リチャードがアルコールとドラッグに溺れ、精神にも支障をきたすようになったことは知られている。まともな音楽活動ができず、ザ・バンドの中でも浮いた存在になっていったことは想像に難くない。(浮いた存在という意味ではロビーも然りだったろうが) しかし、レヴォンにしてもリックにしても、ザ・バンドのメインボーカリストはリチャードであり、彼をおいて他にはいないと常に公言していたのだ。僕らが思う以上にそれは自明のことであるのだろう。
「Whispering Pines : Live at the Getaway, Saugerties, NY」(2002)は、ザ・バンド解散後のリチャードが1985年ウッドストック(ビッグ・ピンクの近く!)で行ったソロライブを収録したものである。ザ・バンドを聴いたことがない人は、いきなりこのアルバムから入ってはいけない。まず、ザ・バンドのオリジナルアルバムを順番に聴いていくことをお薦めする。それから、このアルバムを聴くのだ。そこにかつてのリチャードの繊細な歌声やインスピレーション溢れる熱情は存在しない。僕らは彼の失われた歌声を、あの響き渡るファルセットを想像し、その喪失をなぞるだけなのだろう。このアルバムから、彼が音楽を本当に楽しんで演奏している様子、そのリラックスをした姿勢を感じることができる。リックやバンド仲間とのやり取りも確かに微笑ましい。しかし、僕にとってはやはり、永遠に失われてしまったもの、そのかけがえのなさを思い知らされる、そういう色合いのアルバムなのである。その哀しさ故に、僕はこのアルバムを殆んど聴いていない。
このアルバムに収められたライブから半年後、リチャードは自殺し、その存在自体も永遠に失われた。
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by onomichi1969 | 2004-10-16 17:20 | 80年代ロック | Trackback(3) | Comments(5)

semスキン用のアイコン01 Bruce Springsteen "The Wild、The Innocent and The E Street Shuffle"(1973) semスキン用のアイコン02

  

2004年 10月 16日

a0035172_10345586.jpgブルーススプリングスティーンの代表作を挙げるとすれば…
「アズペリーパークからの挨拶」(1973)や「明日なき暴走」(1975)、「Born in the USA」(1984)あたりが妥当なところだろうか。もしかしたら、「The River」(1980)が一番という人がいるかもしれない。ちょっと地味だけど「闇に吠える街」(1978)を推す人もいるだろう。
しかし、僕は敢えて彼の2作目「青春の叫び」(1973)を代表作として挙げてみたい。原題を「The Wild、The Innocent and The E Street Shuffle」(1973)という。
このアルバムほど彼のアグレッシブなロックンロールが前面に押し出されているものはない。さらにアレンジもバラエティ豊かで、全体を通してスピード感に溢れる。1作目に通じる彼独特の蒸せかえるようなボーカル(言葉の奔流といわれる)を確かなバンドサウンドで支えている。ボーカルの暑苦しさにも増して都会的でスリリングなサウンドの印象が濃い。
この2作目の批評として、「アズペリーパーク…」で掴み「明日なき暴走」で完成される彼のスタイルの中間段階であるということから全体的に中途半端な、さらには散漫な印象を受けるということが聞かれる。
しかし、僕にしてみれば、「これほど完成度の高いアルバムはない!」と思えるのだ。
僕は「アズペリーパーク…」も好きなアルバムだけど、そこに足りないものがあるとすれば、バンド特有のグルーブ感だ。ボーカルの暑苦しさに耐えられるだけのバンドサウンドこそ彼には必要だったのである。
しかし、E-StreetBandと組んだ「青春の叫び」でこの問題はすっかり解消されている。ここには跳び上がるほどのグルーブ感が溢れているのだ。70年代的なジャンルごった煮サウンド、スリリングな展開、立ち眩らみ蒸せかえる言葉の奔流。それは新しいサウンドの始まりだったはず。
では、3作目「明日なき暴走」はどうか。僕にはここにひとつの分岐点があったと思う。よりシンプルでソリッドなサウンドへの移行である。2作目で完成形に達したサウンドスタイルをここで早くも変化させているのだ。現在の位置から俯瞰的にみれば、彼のこのサウンドスタイルの移行は80年代の主流を既にして捉え、「Born in the USA」の大成功を予見させるものであった。
これ以降の彼のアルバムは彼自身のスタイルの確立とともにワンパターン化の方向を目指してしていく。(と僕には思える) 時に「The River」のような冗長なアルバムをも産み落とす。
「The Wild、The Innocent and The E Street Shuffle」は、稀有なマスターピースであり、今聴いても全く色褪せない珠玉の作品である。後にも先にもないそのワイルドでイノセントな印象は僕らを深く強く揺さぶるのである。

THE WILD、THE INNOCENT and THE E STREET SHUFFLE
E-Street では little angel が step を踏み、少年達は shuffle し続ける。7月8日の Asbury Park。 Sandy は恋人を見送り、 Kitty は Big Pretty と別れてこの街に帰ってくる。Wild Billy のサーカスは Nebraska で夜を迎え、57th street では Spanish Johnny が Jane におやすみをつぶやく。そして、、、Rosalita は街に出て行き、 New York では Jazz-Men 達が Billy と Jackie の為に serenade を歌う…今夜。
By B.Springsteen&Onomichi


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Bruce Springsteen “Born in the U.S.A” (1984)のレビューはこちら!
Bruce Springsteen & the E Street Band "Live-1975-85"(1986)のレビューはこちら!
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by onomichi1969 | 2004-10-16 10:39 | 70年代ロック | Trackback | Comments(4)

semスキン用のアイコン01 Fleetwood Mac "Live at the BBC" ~ブリティッシュ・ブルーズ・ロックの王道~ semスキン用のアイコン02

  

2004年 10月 15日

a0035172_23542613.jpgフリートウッド・マックが大好きである。このバンド、中心人物がコロコロ変わっていくが、何故かどの時代も例外なく好きなのである。(ミック・フリートウッド(dr)とジョン。マクヴィー(b)だけは常に変わらない。だからバンド名も変わらないw) 大別すると、ピーター・グリーン/ジェレミー・スペンサー/ダニー・カーワンが中心となった初期、ボブ・ウェルチ/クリスティン・マクヴィーが中心の中期、リンジー・バッキンガム/スティーヴィー・ニックスが加入し「Rumors」等の大ヒットを飛ばした後期に分けられるだろう。この3つの時代で音楽性は全然違う。
初期フリートウッド・マックとは、別名ピーター・グリーンズ・フリートウッド・マックという。完全なるブルーズ・ロック・バンドである。彼らの地位を確立した2ndアルバム「Mr Wonderful」や名曲「Black magic woman」を含む3rd「Pious Bird Of Good Omen」、USのコンピレーション盤「English Rose」、音楽性の幅を広げた「Then Play On」などのの幾つか傑作アルバムを残している。
初期フリートウッド・マックと言えば、ピーター・グリーンが常に注目されるが、実は3人のタイプの異なるコンポーザー/ギタリストが存在し、そのバランスが絶妙なのである。ブルース求道者のピーター・グリーン、ロックンロール大好きジェレミー・スペンサー、そして優しきフォークロア愛のダニー・カーワン。(ある意味で、ZEPのスーパーコンポーザー/ギタリスト、ジミー・ペイジを3つに分けたらこんな感じになるのではないだろうか。というか、この3人を融合し、ハードな味付けをするとジミー・ペイジになるか。なんとなく。。。) そんな3人の全く違った個性が楽しめるのが「Live at the BBC」(1995)だ。これは67-70年にBBCに残した音源を集めたコンピレーションアルバムであるが、彼らのオリジナルソング以外にも様々カバー曲が収録されている。特にジェレミーのプレスリーばりのロックンロールソングは結構聴きどころではないだろうか。
もちろん、オリジナルソングもライブ感覚の演奏が映えている。一曲目の「Rattlesnake Shake」はロングバーションのインプロヴィゼーションが痺れるし、名曲「Stop Messin' Round」や「Albatross」、「Oh Well」もオリジナルアルバムとは違った味わいで魅せる。
実は、僕はこのアルバムのUS盤をイトーヨーカ堂のワゴンセールで見つけた。購入価格1100円(新品)。その日1日、すごく得した気分でアルバムを聴きまくったことは云うまでもない。
まぁとにかく、フリートウッド・マックのアルバムはどれもお薦めだけど、この「Live at the BBC」は値段だけではなく、曲目、演奏、どれをとってもかなりお得なアルバムなのだ。

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Fleetwood Mac "Heroes Are Hard to Find"(1974)のレビューはこちら!
Fleetwood Mac "Bare Trees"(1972)のレビューはこちら!
Fleetwood Mac "Rumours"(1977)のレビューはこちら!
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by onomichi1969 | 2004-10-15 23:58 | 60年代ロック | Trackback(1) | Comments(4)

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