Rock and Movie Reviews : The Wild and The Innocent

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semスキン用のアイコン01 カテゴリ:70年代ロック( 89 ) semスキン用のアイコン02

  

semスキン用のアイコン01 Kate Bush "The Kick Inside"(1978) semスキン用のアイコン02

  

2008年 01月 13日

a0035172_10131197.jpgケイト・ブッシュは僕が好きな女性ボーカリストである。彼女を初めて聴いたのが今回紹介する"The Kick Inside"(1978)『天使と小悪魔』で、高校生の頃にレコードを借りてダビングした。その当時は左写真のジャケットが一般的で、もちろんこのアルバムの音楽的評価の高さもあったが、ジャケットの魅力に惹かれたことも否めない。今、このアルバムに関してはいくつかのジャケットが出ているけど、彼女のコケティッシュな魅力が溢れ、邦題に一番ピッタリなのが左写真のジャケットだと思う。(ちなみにイギリスでのオリジナルは凧<シャレ?>のやつらしい。これもいい)

正直に言えば、当時、僕はケイトの魅力があまり分からなかった。小鳥のさえずるようなと形容されるハイトーン且つチャイルディッシュなボーカル、時にハイテンションでエキセントリックな曲調、19歳の少女から大人への移り変わりを音楽という舞台で表現しつくしたような彼女独特の世界がそこにあった。その女性的な世界観を16,7才の青坊主が理解できなくてもしかたがない。ケイトの音楽には70年代の少女マンガ的な世界観との共通項を感じるが、そういった少女マンガの凄さを僕が本当に理解するのはそれから15年も後のことである。ケイトの魅力も今になってこそ分かるマージナルなもので、その強く意識もせずに大人になってしまった通過儀礼への郷愁がその魅力を理解するためのベースとなっているのかもしれない。

このアルバムでは01"Moving"、03"Strange Phenomena"、05"The Man With The Child In His Eyes"、06"Wuthering Heights"、13"The Kick Inside"などが出色だと思うが、特にヒット曲ともなり、それぞれ『嵐が丘』と『天使と小悪魔』の邦題で知られる06"Wuthering Heights"と01"Moving"は彼女の代表曲であり、誰もが一度ならずも耳にしたことがある、ポップ・ミュージックの名曲と言っても過言ではないだろう。

彼女は、その後の"Never For Ever"(1980)『魔物語』、"Hounds Of Love"(1985)『愛のかたち』等の傑作を発表し、80年代のポップ・ミュージックのフロント・ランナーとなる。その活躍の舞台はイギリスが中心であった為、アメリカでのヒットはさほどではなかったが、それが逆に当時のアメリカ的なコマーシャリズムに毒されていない分、ポップ・ミュージックの本質を素直に追求するアルバムを次々と発表できたのだと思う。
そして、1987年にはピーター・ガブリエルとの共演で"Don't Give Up"をアメリカでシングルヒットさせる。この曲の魅力については以前のエントリィで書いた。

彼女はその曲調やボーカルスタイルをアルバム毎に変化させ、"Hounds Of Love"(1985)『愛のかたち』の頃にはもう大人の女性の魅力、少女趣味とは違う大人の女性の力強さやそこから滲み出る癒しの魅力を存分に発揮するようになる。もちろん彼女自身の声質の変化もあったのだろうけど、それはスティーヴィー・ニックスにしても、マライア・キャリーにしても同様で、女性シンガーが初期の魅力と年を経る毎に培われる魅力に違いが出てくるのはその声質の変化もあるから仕方がない。でも、そこには初期の初々しさと入れ替わるように着実に積み重なる奥深い魅力が確実にあるのだ。

その後は寡作ながらもアメリカでもヒット作を発表し、最新作の"Aerial"(2005)は前作から12年ぶりのアルバムだという。本作も高評価を得ており、彼女の魅力はまだまだ衰えを知らないようで、それはまさにアンチエイジングとでも言うべきものだ。女性が年を経る毎に得る魅力について、僕もようやく理解しつつある。。。
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by onomichi1969 | 2008-01-13 10:46 | 70年代ロック | Trackback | Comments(0)

semスキン用のアイコン01 KISS "Alive!"(1975) semスキン用のアイコン02

  

2007年 12月 22日

a0035172_10443357.jpgキッスの代表作であると共に70年代を代表するライブアルバム。
70年代を代表するライブアルバム、、、と言えば、フリーやオールマン・ブラザーズ・バンド、ハンブル・パイ、ディープ・パープル、ザ・バンド、ボブ・ディラン、ストーンズ、J-ガイルズ・バンド、ボブ・マーリィ、シン・リジィなどなど、いくつかのバンドの作品を思い浮かべることができるけど、ライブのライブらしさを最も体現した作品、ライブの臨場感を思う存分に味わえる傑作といえばやはり、KISS ”Alive!”(1975)だろう。これぞライブアルバムの定番である。
ライブと言えば、2枚組である(これも定番)。1枚目。まずオープニングの"Deuce"からアクセル全開で畳み掛ける、3分台の曲を並べ、まるでジェットコースターのように目まぐるしい展開。ポール・スタンレーとジーン・シモンズのツイン・ボーカルもエース・フレーリーを中心としたツイン・リードの演奏もオリジナル以上のド迫力をみせる。鳴り止まない歓声、ポール・スタンレーの性急な掛け声といかにもロックだぜって感じのMC、彼らのパフォーマンスが透けてみえるような臨場感を味わえる。そしてライブならではの演奏のスピード感とドライブ感。まさにキッス絶頂期のライブにしてベスト盤、それはオリジナル以上の迫力と完成度を見せつけるのである。
2枚目はライブも中盤に差し掛かり、すこし長めの曲を差し挟む。圧巻は何といっても12分にも及ぶ"100, 000 Years"だろう。なが~い間奏でポール・スタンレーが観客を煽る様子がそのまま収録されているのだが、これが全くダレずに飽きさせない。あ~如何にもライブ、これこそロックン・ロール・パーティだって、思わず感嘆してしまう、まさにライブならではの風景を完全パッケージしている名演である。
ラストは、"Rock And Roll All Nite"から"Let Me Go, Rock 'N' Roll"と続き、まさに彼らのロックン・ロール・パーティ・ザ・ナイトに相応しい2曲で締めくくる。
KISS ”Alive!”(1975)は、ロックがパフォーマンスであり、祝祭(パーティ)であること、そして、ハードロックという枠を易々と超え出る、キッスがロックンロールの化身であることを高らかに証明してみせた渾身のライブアルバムなのである。ジャケットもカッコいい!

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KISS "Destroyer" 『地獄の軍団』(1976)のレビューはこちら!
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by onomichi1969 | 2007-12-22 22:15 | 70年代ロック | Trackback | Comments(0)

semスキン用のアイコン01 Thin Lizzy "Black Rose"(1979) semスキン用のアイコン02

  

2007年 12月 02日

a0035172_1047889.jpg70年代のハードロック・バンドの中で、その70年代という時代を象徴するような存在なのがシン・リジィである、と僕は思う。
リン・リジィの代表作と言えば、オリジナルでは”Jail Break”(1976)と”Black Rose”(1979)であり、ライブとしては” Live And Dangerous”(1978)が挙げられる。これら3つのアルバムは全て「買い」である。シン・リジィのというだけでなく、70年代ロックのマスターピースとして、これらのアルバムはやはり外せない。

ボーカル&ベースのフィル・ライノットがシン・リジィの象徴的存在である。このバンドの特徴である「語る」ボーカル・スタイル、ハード且つソウルフルな歌声、そして、そのロックンロール・スピリットはフィル・ライノットの情熱的と言われるキャラクター所以のものである。
シン・リジィのバンドスタイルとして特徴的なのが、レス・ポール・ギターによるツイン・リードである。歴代のギタリストとしては、ブライアン・ロバートソンとスコット・ゴーハム、そして、ゲイリー・ムーア、スノウィー・ホワイト、ジョン・サイクスが挙げられる。スコット・ゴーハム以外は入れ替わりが激しい。
個人的には”Black Rose”(1979)の前面ではじけるようなギター音が好きなので、ゲイリー・ムーアとスコット・ゴーハムのコンビが1番ピタッとはまっているように思う。ギタリストとしてはジョン・サイクスの人気もあるようだが、彼らの80年代のアルバムはこれまでとガラリと変わり、ハードで単調なLAメタル的な音に染まってしまう為、僕にはあまり合わないようだ。(というか、フィルの声が全く出ていないのが聴けない理由、、、)

シン・リジィには60-70年代のポップ&フォーク/ロックの様々な要素を感じることができる。曲によってはまるでドゥービー・ブラザースのような乾いたポップセンスを聴かせ、またボストンのようなプログレハードっぽい曲調があり、ブルース・スプリングスティーンのような言葉の奔流を響かせる、そういったアメリカ的な朗らかさが見られると同時に彼らの出自であるアイリッシュ系トラディッショナルなフォークロアっぽい曲もある。
そして、その叙情性。ツインリードギターが奏でる倍音とフィル・ライノットの響きある声が重なることでさらに増幅する倍音の叙情性。これは彼ら特有の味わいであると同時にバンドの個性そのものである。

フィル・ライノットは70年代ロックを代表するボーカリストである。スティーブ・マリオット、ボン・スコット、そしてリチャード・マニュエル。響きある声をもった天才達は70年代の終わりと共に夭折してしまうようだ。フィル・ライノットも1986年、ヘロインの過剰摂取が原因で死亡し、シン・リジィというバンドも実質的な終わりを迎えるのである。

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by onomichi1969 | 2007-12-02 09:34 | 70年代ロック | Trackback | Comments(0)

semスキン用のアイコン01 Queen "The Night at the Opera"(1975) semスキン用のアイコン02

  

2007年 11月 24日

a0035172_10531881.jpgQueenの最高傑作と言えば、”The Night at the Opera”(1975)『オペラ座の夜』だろう。前作の”Sheer Heart Attack”(1974)も同じような色合いの傑作であるが、色合いが同じであるだけに、そのトータル性や楽曲の良さで比べれば、『オペラ座の夜』に軍配が上がると思う。オペラ座以後の”A Day At The Races”(1976)『華麗なるレース』も同じように『オペラ座の夜』を引き継ぐ(対となる)作品であるが、『オペラ座の夜』という傑作と比べてしまうと全体的に見劣りしてしまう。『オペラ座の夜』の完成度が高すぎるが故に、同じ作風ではもうこの壁を超えることができない、もちろん時代の流れもあったであろうが、クイーンにとっては、その認識の上で、それ以後の”Jazz”(1978)や”The Game”(1980)における路線変換の一端があったと推測できる。

『オペラ座の夜』を圧倒的に劇的な作品としている1番の要素は大ヒット曲『Bohemian Rhapsody』の存在にあることは間違いないが、それ以外の楽曲も素晴らしく、メンバー達の楽曲に関するタレントがこのアルバムに全て結集していると言っても過言ではない。そのバランスのよさといい、スケール感といい、本当に奇跡的と思える。

美しいピアノ連弾のメロディが暗雲のようなギター音に変わり、それを切り裂くような悲鳴にも似た効果音。ブライアンのギターが縦横無尽に駆け巡る。フレディの声、冴え渡るコーラス、『Death on Two Legs』もベスト盤には収録されないが、クイーンを代表する楽曲である。ボーカルエフェクトの効いた短いながら印象的なオペラ『Lazing on a Sunday Afternoon』の次は、我らがロジャー・テイラーの声、『I'm In Love With My Car』である。ハードな曲にロジャーの男っぷりを感じさせる野太いボーカルが映える、ロジャーの曲としては、前作の『Tenement Funster』と並ぶ名曲である。そして、シングルでもヒットしたディーコンの『You're My Best Friend』とブライアンの素朴な歌声が響く『’39』と続く。この2曲もクイーンを代表する名曲であると共にある意味でこのアルバムのひとつのクライマックスであると僕は思う。特に『’39』は何度聴いても心躍るメロディとアコースティックなギター音の響きが個人的に大好きなのだ。そして、ハードな『Sweet Lady』から楽しいオペラ『Seaside Rendezvous』と繋いでAサイドを締めくくる。『Seaside Rendezvous』やBサイドの『Good Company』のような幕間的な繋ぎ曲が効果的に散りばめられていることがこのトータルアルバムの完成度をさらに高めている。

Bサイドはこのアルバムのもう一つの大作『The Prophet's Song』で幕を開け、美しいメロディの(本当に美しい)『Love of My Life』、幕間の『Good Company』を経て、アルバムの最大のクライマックスである『Bohemian Rhapsody』を迎える。『Bohemian Rhapsody』の素晴らしさについてはもはやここで語るべくもないが、アルバムの楽曲的な頂点にして、クイーンをクイーンたらしめる、唯一無比の、象徴的な代表曲と言える。そのハードな終盤から静かに囁くフレディの声に続いて、ギターオーケストラゼーションによる『God Save The Queen』が壮大なオペラ座の夜を締めくくるエンディングとなる。

やはり、このアルバムは彼らの最高傑作であると共にロックというジャンルの一つの奇跡として語られるべき素晴らしい作品である。作品を聴き終わった後の充実感。圧倒的なスケール。完璧である。
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by onomichi1969 | 2007-11-24 23:05 | 70年代ロック | Trackback(2) | Comments(2)

semスキン用のアイコン01 Black Sabbath "Master Of Reality"(1971) semスキン用のアイコン02

  

2007年 10月 06日

a0035172_1684279.jpgブラック・サバスの代表作と言えば、2nd "Paranoid"(1970)、3rd "Master Of Reality"(1971)、4th "Vol.4"(1972)の3作であろう。重厚なギターリフ、うねるようなベース、シャープに切り裂くドラム、そして地底から響くように唸るボーカル。一般にヘヴィ・メタルの元祖とも呼ばれる彼らのスタイルが確立したのはこれらのアルバムである。歌詞にも黒魔術的な要素が散りばめられているが、楽曲に関しても魔術的、麻薬的な魅力に満ち満ちている。まさに一度病みつきになったら、否応なくハマってしまう音楽なのである。

僕も一時期、この麻薬にハマってしまったくちだが、特に"Master Of Reality"(1971)はよく聴いた。このアルバムはとにかく曲がすごい。オジーの悪魔のような呻きから始まる1曲目Sweet Leafでは、繰り返されるヘヴィー・リフが僕らの三半規管を狂わせ、平衡感覚を失わせるだろう。そしてAfter Foreverの遠くへ逝ってしまいそうなギター音は聴く者を彼方(彼岸)へと誘う。とても危険な曲なのでこれは心して聴かなければならない。さもなければ死神の大鎌によって簡単に魂の尾を切られてしまうだろう。この2曲だけでもう失神しそうな勢いであるが、つづくインストを挟んだChildren of the GraveとLord of This Worldは失神している人間に冷水を浴びせ、針の筵を強制するような焼き鈍し的拷問に近い味わいがある。その味わいは背徳に惹かれる悪魔の魅力と言っていい。Solitudeは一転してフォークロアなバラードソングであるが、その一瞬の心の安らぎは魂を浮遊させる。最後のInto the Voidは比較的スタンダードなヘヴィー・サウンドであるが、その唐突に訪れる終わりが聴く者に禁断症状を与えるようだ。

ブラック・サバスの音楽は、黒魔術そのものであり、聴く者の隣に『デス・ノート』のような死神を必然的に呼び寄せる。しかしそれは恐怖でも畏怖でもなく、非超越的なぎりぎりの人間的な営みであるが故の「死の常態化」とでもいうべきものである。それは儀礼である。死の儀礼。僕らはそのマージナルなメッセージと波動をただ素直に感じ入ればよい。だから心していれば、魂を奪われることはない。(当たり前だけど) そしてその波動は身体の奥底までしみいる。

"Paranoid"(1970)も"Vol.4"(1972)も素晴らしいアルバムである。しかし、さすがに3作続けて聴いたらちょっと身体に効きすぎてしまうかもしれないので、気をつけたほうがよい。
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by onomichi1969 | 2007-10-06 17:45 | 70年代ロック | Trackback(1) | Comments(0)

semスキン用のアイコン01 Linda Ronstadt "Hasten Down The Wind" 『風にさらわれた恋』(1976) semスキン用のアイコン02

  

2007年 09月 15日

70年代の歌姫、ウエストコーストの女王と言えば、リンダ・ロンシュタットである。(あと、オリビアとスティーヴィーとで当時のかしまし3人娘!)
そのリンダの代表作と言えば、“Don't Cry Now”(1973)、“Heart Like A Wheel”『悪いあなた』(1974)、“Prisoner In Disguise”『悲しみのプリズナー』(1975)、“Hasten Down The Wind”『風にさらわれた恋』(1976)、“Simple Dreams”『夢はひとつだけ』 (1977)、 “Living In The U.S.A.”『ミス・アメリカ』(1978)あたりになろうか。(この中では“Don't Cry Now”(1973)は聴いたことがなく、Greatest Hits 1のみ所有) この時代のリンダのアルバムはどれをとっても外れがない、というか、どれが突出しているということもなく、平均的に優れた作品であると言える。アルバムの構成として、ひとつの型が出来上がっており、あとは曲勝負というところだろう。

ということで、リンダの代表曲と言えば何か?
Long, Long Time、Desperado、You're No Good、The Dark End Of The Street、Heart Is Like A Wheel、Willing、Tracks Of My Tears、Heat Wave、Many Rivers To Cross、I Will Always Love You、Lose Again、The Tattler、Hasten Down The Wind、It's So Easy、Simple Man, Simple Dream、Tumbling Dice、When I Grow Too Old to Dream、Alison、Mohammed's Radio

なんとなくパターンが見えたような気がする。
オリジナル・ナンバーの他、クラッシック・ロックン・ロールのカバー、カントリー風バラード、同時代ロックのカバーなど、これらの組み合わせをアルバム毎に構築しているわけだ。同時代のロックのカバーもリンダが歌うとたちまちスタンダード・ナンバーとなる。

リンダのアルバムは雑誌の名盤特集では常連であるが、我がデータによると、

FMステーション 歴史に残る100枚のレコード(1985年 No.9 4/22-5/5)選出
“Living In The U.S.A.”『ミス・アメリカ』(1978)

週間FM 名曲名盤200(1986年 No.4 2/10~2/23号)選出
“Prisoner In Disguise”『悲しみのプリズナー』(1975)

FM fan AMERICAN ROCK ベスト・アルバム100(1986年 No.17 8/11~8/24号)選出
“Don't Cry Now”(1973)

ワッツイン特選 ロックCD名盤コレクション(1990年1月号)選出
“Heart Like A Wheel”『悪いあなた』(1974)

となっている。各人の好みによってその代表作も分散していると言えよう。

ただ、ジャケットで選ぶなら、断然、“Hasten Down The Wind”『風にさらわれた恋』(1976)である。これには誰もが異論ないはずだ。。。ということで、いつもより大きく、、、

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彼女の魅力はそのよく伸びる歌声と情感溢れる節回しにあると思う。作品はどれが一番とは言いがたいけど、どの作品もリンダの魅力が程よく分散しつつ凝集している。正に70年代ロックのエッセンスが詰まった作品ばかりで、この時代の歌姫の称号はやっぱりリンダにこそ相応しい。
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by onomichi1969 | 2007-09-15 11:52 | 70年代ロック | Trackback | Comments(0)

semスキン用のアイコン01 Boston "Don't Look Back"(1978) semスキン用のアイコン02

  

2007年 07月 22日

a0035172_0513424.jpgボストンと言えば、やはり衝撃のファーストアルバム”Boston”(1976)『幻想飛行』を取り上げるべきだろう。
その象徴たる”More Than a Feeling”は何度聴いても素晴らしい名曲だ。「ボストン以降」という言葉もあるように、彼らの登場はアメリカン・プログレ・ハードとでも言うべきひとつのジャンルを確立させ、ボストンの大ヒットという流れの中で、以降のカンサス、ジャーニー、スティクスといった一連のバンドもその音楽的方向性を決めていったのだろうと思う。音楽史的な意味でも彼らのファーストは、70年代中期のピストルズやブルース・スプリングスティーン、ボズ・スキャグスのアルバムと並び、ジャンルは違えどロック史のターニング・ポイントに位置づけられる、80年代への道筋を示す重要な作品であろう。と同時に、当時のヒットシーンの中では、ピーター・フランプトンやフリートウッド・マックの大ヒットアルバムによって象徴されるロックのメジャー化、大衆化、商業化の代名詞でもあったのである。

しかし、僕が洋楽を聴き始めた1984年頃、ボストンは完全に過去のバンドであった。1978年の2作目以降全くアルバムを出していなかったのだからそれも当然のことであったが、ジャーニー、スティクス、フォリナー、TOTO等が活躍していた当時、ボストンの作品は、僕らにとって、ジャンルのパイオニアでありながら最後に行き着くべき歴史そのものだったのである。

僕にとってボストンのアルバムは1st”Boston”(1976)と2nd”Don't Look Back”(1978)に尽きる。(というかそれしか知らない) これら2作品は完全に地続きのアルバムである為、どちらのアルバムが良いかなどと言う問いはあまり意味がない。
。。。と言いつつ、ここでは、”Don't Look Back”(1978)を取り上げてみた。

冒頭を飾る”Don't Look Back”は、”More Than a Feeling”と並ぶ名曲である。特に出だしのギター音は、エイジアの”Heat of the Moment”と共に僕らの琴線に響く必殺のフレーズである。また、”Don't Look Back”はアルバムを超えた”More Than a Feeling”の続編でもある。アルバム自体も2つでひとつの作品のようなものだから、1stアルバムの唯一の不満とでも言うべき純然たるバラードの不在も2ndの”A Man I'll Never Be”という大作の存在によって解消されてしまうのだ。
分厚くて温かみのある独特のギターサウンドと華麗なコーラスワーク、時に声と音が一体と化し、その空間的広がりが僕らの想像力をかき立てる。まさにスペーシー・サウンドである。その手触りもまたロックの新しい可能性のひとつだった。

やはり聴くならば、1st⇒2ndと続けてかけたい。どの楽曲も聴き応え十分の作品ばかり。独特のギターサウンドもバラエティにも富んでいるし、それでちょうどお腹いっぱいくらいなのだ。

"Something About You"や"Let Me Take You Home Tonight"も素晴らしい曲だし!
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by onomichi1969 | 2007-07-22 01:08 | 70年代ロック | Trackback(1) | Comments(2)

semスキン用のアイコン01 Jackson Browne "For Everyman"(1973) semスキン用のアイコン02

  

2007年 05月 05日

a0035172_10551291.jpgジャクソン・ブラウンの70年代に残した作品は全て傑作である、という言葉がAmazonのレビューに載っていたけど、それはまさにその通りであって、その中でどれが一番いいとはとても言えない。

"Late for the Sky"(1974)
"The Pretender"(1976)
"Running on Empty"(1977)

の3作はいろいろな雑誌で彼のベストであり、且つ70年代のウエストコーストを代表するアルバムであるとされているが、確かにファースト"Jackson Browne"(1972)からのDoctor My Eyesのトップ10ヒットがあったものの、アルバムセールスで言えば、上記の3作が彼の70年代の代表作と捉える見方は至極妥当なものである。しかし、実を言えば、そこには彼の1stと2ndアルバムが確実に上記の列に連なっていること、そして、楽曲の質という点でみれば、特に"For Everyman"(1973)は上記3作に比する、彼の若々しく瑞々しい魅力が溢れる傑作であることをここで言っておきたいのである。

グレン・フライとの共作である01 Take It Easyは、イーグルス版とは違い暗く重々しい雰囲気で、とても気楽にいこうぜって感じには聞こえないけど、それも彼の思慮深い味わいのひとつである。そこから続くLPのAサイド、02 Our Lady of the Well、03 Colors of the Sun、04 I Thought I Was a Child 、05 These Daysはどれも珠玉の名曲であり、演奏も素晴らしく、構成も清新な流れがある。比較的スローな曲調で押し切る構成は"Late for the Sky"(1974)を既に彷彿とさせる。特に04 I Thought I Was a Childは、彼のキャリアの中でも最高の名曲のひとつに数えられるのではないだろうか。静かなピアノの音色で始まり、爽やかなギターフレーズが被さる、ジャクソン・ブラウンの辿々しくも響く声が、その響きの倍音が独特の節回しと共によく心に届く。

「賢いイノセンスであり、魔法であった。あなたの笑顔に接するまで僕は子供でしかなかった。たなびく笑い声、その目に映る分別によって、僕は何処に行くべきか知った」 

とてもぐっとくる言葉。

Bサイドもスライドギターが唸るロックンロール06 Red Neck Friendから始まり、ミドルテンポ或いはスローソングの07 The Times You've Come、08 Ready or Not、09 Sing My Songs to Me、10 For Everymanが並ぶ。この構成も"Late for the Sky"(1974)と同じか。。。ただ、全体的に言えば、このアルバムの方が仄かに漂う土の香りが少し濃い。それは数曲で印象付けられるスライドギターの乾いた味わいによるものかもしれない。

いずれにしろ、このアルバムも素晴らしい。彼の変わらない魅力の礎がこのアルバムには在るし、その後の彼の確信的な生き方を想起させる瑞々しい言葉と音の奔流が有る。
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by onomichi1969 | 2007-05-05 11:21 | 70年代ロック | Trackback(1) | Comments(4)

semスキン用のアイコン01 Jackson Browne "Jackson Browne"(1972) semスキン用のアイコン02

  

2007年 05月 05日

a0035172_10384641.jpgジャクソン・ブラウンについては、以前のエントリーで"Late for the Sky"(1974)、"The Pretender"(1976)、"Running on Empty"(1977)の3つのアルバムに対する自らの思い入れを書いた。彼のうたは言葉を伝える、と同時にその言葉は響きを伝える。彼は歌がさほど上手いというわけでもないし、声に無二の特徴があるというわけもない。しかし、素朴に言葉を伝える彼の声には彼特有の静かに伝わる優しい響きが確かにあるのだ。だからこそ、英語を母国語としない、言葉の意味をさほど理解できない僕らにも彼のうたは深い感慨をもたらすのであろう。それは確実に心に沁みるのである。
うたを響かせることができる歌い手のことを僕らは天才と呼ぶ。ブライアン・ウィルソン、ジャニス・ジョプリン、スティーブ・マリオット、そしてボン・スコット。ジャクソン・ブラウンもタイプは違えど、そういった天才に連なるボーカリストの一人だと言えるのではないか。

今回、取り上げるのは"Late for the Sky"(1974)以前のアルバムで、彼の原点とも言えるファーストアルバム"Jackson Browne"(1972)である。
比較的地味な曲調が並ぶ為、以降のアルバムに比べて印象が薄いかもしれないが、上記に示した彼のうたの響きはこのアルバムでも変わらずそこに在る。

ジャクソン・ブラウンのうたには必ず希望がある。それはこのファーストアルバムから以降、70年代を通して変わらない彼のスタイルとなっているが、彼の差し示すストーリーはそのうたの切実な響きと相まって、僕らの胸に深く沁み入る。だからこそ、そのストーリーは、過去の輝かしい思い出や現在の焦燥、それが未来の希望に続く隘路へと僕らを確実に導く。

名曲01 Jamaica, Say You Will、語りが特徴的な03 Song for Adam、アカルイ曲調のジャクソン・ブラウン風のロックンロールであり全米でトップ10ヒットとなった04 Doctor My Eyes、確実な手触りを感じる08 Looking into You、そして希望へとつながる10 My Opening Farewell

彼の曲にはドラマがある。それはナイーブでありながら、それぞれに力強さを感じさせる。

そして、傑作セカンドアルバム、さらに佳曲が揃う"For Everyman"(1973)へと彼の道程は続くのである。
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by onomichi1969 | 2007-05-05 10:53 | 70年代ロック | Trackback | Comments(0)

semスキン用のアイコン01 AC/DC "High Voltage"(1976) semスキン用のアイコン02

  

2007年 04月 28日

a0035172_8532415.jpgAC/DCが80年代初期にバカ売れした際、彼らの音楽は子供向けの単純で無内容な煩いだけのロックと揶揄されたという。当時のNWOBHM(New Wave Of British Heavy Metal)という流れはある意味でハードロックの80年代への移行だったと思うが、AC/DCの評価はまさにその流れの典型とでも言うべきものだったろう。AC/DCはその過激なステージの影響もあって、70年代中期にはパンクロックと同列視されたというから、そういった彼らだからこそ、うまく時代の流れに乗っかることができたと言えるのかもしれない。(ボン・スコットが短髪から長髪に変えたのもそれなりに意味があったのだろう) 彼らの楽曲があまりにもワンパターンでプリミティブな分かりやすいタテノリのロックであり、そのパフォーマンスはアンガス・ヤングの尻出しが飛び出すほどに幼稚でパンク的なノリで、また、歌詞もかなりくだらない内容であるから、彼らの存在は70年代的な様式の破壊者(パンク)であるとともに、底抜けな明るさとある種の喪失感が渾然となった80年代という時代の典型的なバンドだったと言えるだろう。

そんなバカロック的な彼らのスタイルの頂点が全世界で4300万枚を売り上げたモンスターアルバム"Back in Black"(1980)になるのだろうが、前のレビューで書いた通り、僕の中でAC/DCの魅力は、ボン・スコットのボーカルスタイルと密接に結びついている為、彼のいないAC/DCは明らかにその魅力が一段落ちてしまうと感じられる。

AC/DCと言えば、アルバムに関しても金太郎飴のようなワンパターンさで語られることもあるが、初期の"High Voltage"(1976)について言えば、彼らのベースであるブルーズのフレーズをそのまま生かした渋い(大人の)楽曲03 The Jackや07 Little Loverがあり、シンプルなパンクロック調の楽曲である01 It's A Long Way To The Top (If You Wanna Rock 'N' Roll)や06 Can I Sit Next To You Girlがあり、かつ彼ら特有のバカロックの典型でありOiパンクのハードロック版という言うべき傑作05 T.N.T.があり、割合としては以降のアルバムに比べて古典的なブルースロックの味わいがかなり強いが、だからこそ、全体として、なかなかバラエティに富んだ構成だと感じるのである。もちろんアンガス・ヤングの前面に押し出されたシンプルなリフから繰り出されるAC/DC的タテノリロックの特徴はアルバム全体を貫いている。元々、アンガス・ヤングのギタースタイルはブルースロックのプリミティブでエッセンシャルな部分に強く根ざしているのだ。

そして、改めて言うけれども、やっぱりこのアルバムもボン・スコットのボーカルが素晴らしい。ブルースロックを歌わせたらポール・ロジャースのような抑え(寸止め)がほどよく効いており、かつスティーブ・マリオットのようなシャウトの中にもソウルが響く。

ボン・スコットはもっともっと評価されていいボーカリストだと思うのだが、彼こそは70年代に殉ずべきボーカリストだったのかもしれない。彼の声の味わいは何というか、70年代的なのだ。

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AC/DC "Highway to Hell"(1979)のレビューはこちら!
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by onomichi1969 | 2007-04-28 09:14 | 70年代ロック | Trackback | Comments(0)

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