Rock and Movie Reviews : The Wild and The Innocent

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semスキン用のアイコン01 カテゴリ:70年代ロック( 89 ) semスキン用のアイコン02

  

semスキン用のアイコン01 Boz Scaggs "Down Two Then Left"(1977) semスキン用のアイコン02

  

2013年 07月 25日

a0035172_1747250.jpg大ヒット作"Silk Degrees"(1976)に続き、ノリに乗ってるボズ・スキャッグスと若きTOTOのメンバーが見事なコラボレーションを現出した Adult Contemporaryの記念碑的アルバム。

ボズの作品の中では、彼の声が最も艶っぽく、高音で押し捲る、ファルセットに気合すら感じられる。特に代表曲"Hard Times"の声がすごすぎる。この時期だからこその若さと円熟味が混じりあった彼独特の声の艶がある。1曲目の"Still Falling for You"、続く"A Clue"や"Whatcha Gonna Tell Your Man"、"Hollywood"、"Then She Walked Away"も同様に素晴らしい。いつもよりも声に伸びがあって、よっぽど喉の調子が良かったのではないかな。ラストのバラード"Tomorrow Never Came"の声もよく響く。

若きTOTOの面々の演奏もよい。鉄壁のリズム感、力強さと繊細さを併せ持ったポーカロのドラム。弾けつつ、抑える。明快で滑らかなルカサーのソロ。レイパーカーの軽やかなカッティングと対比しつつ。彼らの年齢とキャリアと70年代後半という時代、ボズとのコラボ、この時期だからこその演奏の味わいがある。

"Silk Degrees"にも残っていた泥臭さを完全に洗練に変えた。ボズにとって完全たるAdult Contemporaryの出発点であり、且つ代表作とも言える。次作"Middle Man"(1980)以降は円熟の域に入っていくので、このアルバムこそが彼のキャリアのひとつのピークだったのだと僕は思う。

ボズのアルバムは初期作も素晴らしく、僕はこれまでどちらかと言えば、デビュー作"Boz Scaggs"(1969)や"My Time"(1972)が好きだったのだけど、”Hard Times”や”Hollywood”の力強く、且つ洗練された歌と演奏を聴くたびに、この時期のボズが一番輝いていたんじゃないかと思えなくもない。
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by onomichi1969 | 2013-07-25 20:42 | 70年代ロック | Trackback | Comments(0)

semスキン用のアイコン01 Alice Cooper "Greatest Hits"(1974) semスキン用のアイコン02

  

2013年 01月 04日

a0035172_047346.jpgアリス・クーパーの74年に発売されたベスト盤である。
1971年のLove It to Deathから1973年のMuscle of Loveまで、the Alice Cooper Groupによる5枚のアルバムからの選曲。グラムロック時代、初期のポップ且つヘヴィーなロックテイスト溢れる楽曲をシングル中心に集めている。最大のヒットは72年に全米で7位、全英で1位を記録したSchool's Out。

元祖ヘアメタル? いや、これぞアメリカン・ストレート&へヴィー・ロックの原点である。
その後に現れるKISSやTwisted Sistersにもつながるアカルイハードロックである。彼と彼の音楽は、70年代、政治の時代の終焉と共に必然的に登場したキャラクター主義のはしりとも思える。70年代をすっとばし、80年代っぽいサウンドでもある。70年代前半にしてその後のポップを先取りしている。無思想で下品、誰もが楽しめる大衆ロックである。しかし、80年代的な色褪せを感じさせない。70年代初期のテイスト故に、今聴いても新鮮でカッコいい。ある意味でこの時期の彼特有の時代を超越したサウンドと言っていいかも。

独特のハスキーボイス。へヴィーなギターサウンド。リズム隊の音もよく響く。シンプルなハードサウンドI'm Eighteen、フォーク風グラムな味わいのDesperado、リック・デリンジャーのギターが炸裂するUnder My Wheels、サウンドと演奏共にカッコいい名曲Be My Lover、80年代的なポップサウンドNo More Mr Nice Guy。曲もバラエティに富んでいる。アルバムだったら、1971年の2作、Love It to DeathとKillerがいいかな。

1974年以降、アリス・クーパーはバンドサウンドをあっさりと手放し、ポップに徹するようになる。表層的なキャラの確立と共に彼の楽曲的な個性は急速に失われていくのだ。それもまた時代の必然か。

アリス・クーパーは、1970年代後半以降の低迷期を経て、80年代の終わりに復活する。それも先駆者の必然的な成行、時代は巡り、流行は常に先祖返りするものだから。あとはキャラクターの力だろう。

最近はライブと共に映画にも自身の役で出演、還暦過ぎても相変わらずのご活躍である。2011年にはロックの殿堂入りとのこと。時代を超越し、継続は力なりかな。
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by onomichi1969 | 2013-01-04 11:20 | 70年代ロック | Trackback | Comments(0)

semスキン用のアイコン01 Grand Funk Railroad "Live Album"(1970) semスキン用のアイコン02

  

2013年 01月 03日

a0035172_20471370.jpg70年代初期のアメリカンハードロック、ライブアルバムの最高峰。その大音量。観客の熱狂ぶり。演奏力。疾走するリズム。力強いボーカル。聴いているだけで彼らの迸る汗が見えるよう。これぞライブアルバムである。3ピースバンドらしいインプロヴィゼーション溢れる演奏が凄まじい。

オープニングからラストまでハードで押し通す。Are You Ready。このアルバムの象徴的な1曲である。この曲の前ではどんなハードロックバンドの演奏も吹っ飛んでしまう。ギター、ベース、ドラムの3ピースとボーカル、コーラス、観客の絶叫が一体となった驚きの1曲。

ディストーションが効きまくる音の中、コーラスは意外にも豊かなハーモニーを聴かせる。ハードな中にも、曲のバラエティが富んでいて、スローから入って壮大に盛り上がっていく中盤のHeartbreakerやMean Mistreaterが素晴らしい。

そしてラストに向かい、名曲Inside Looking Outの熱狂。Into the Sunの恍惚。もう何も言えねえ。これぞライブ。これぞロック。アメリカンロック驚愕の1枚。ジャケも最高。
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by onomichi1969 | 2013-01-03 20:53 | 70年代ロック | Trackback | Comments(0)

semスキン用のアイコン01 James Gang "Live in Concert"(1972) semスキン用のアイコン02

  

2013年 01月 03日

a0035172_1820862.jpgアメリカン・ハードロックの原点。70年代初期、世界最高峰の3ピースバンドのひとつ。James Gangである。ジョー・ウォルシュ在籍時の作品としてはRides Again(1970)が有名で、後年のドゥービーに繋がるようなスケール感のあるカラッとしたアメリカン・ロックやスワンピーでブルージーな泥臭いロックを聴かせる。骨太なアメリカン・ハードロックの原点となったアルバムである。

しかし、彼らの真骨頂はライブにこそある。それはテクニカルな3ピースバンドの真骨頂でもある。Live in Concert(1972)は、ウォルシュ在籍時の唯一のオリジナルライブアルバム。これは素晴らしかった。3ピースのライブの核はリズム隊にあり。BBAやクリーム、GFR、ラッシュも同様だが、このリズム隊も素晴らしい。ドラムのジム・フォックス、ベースのトム・クリス。そしてギター&ボーカルがジョー・ウォルシュ。重厚かつアグレッシブなギターが素晴らしい。彼は3曲目と4曲目ではオルガンを担当。それらの曲はギター無しなのだけど、それはそれでまた良し。

但し、このライブアルバム、少しボーカルの音が弱い。ねちっこいベースに叩きまくるドラムの音、自らのディストーションバリバリのギター音にウォルシュ自身の声量が喰われてしまって、少しバランスが悪いかな。ウォルシュの声はすごくいいのだけど。やっぱりギターが歌っちゃいかんのかな。。。でも、当時の多くのライブアルバムも音的には似たようなものだし、演奏の迫力がそれを補って余りある。ライブ感も十分に味わえて、70年代初期のライブアルバムとしては、GFRやハンブル・パイ、フー、オールマン、J.ガイルズ、ジョニー・ウィンターの傑作群に準ずるだろう。

以前、僕はイーグルスのアルバムの中で、Victim of Loveを「80年代ハードロックの原型とも言うべき作品であり、元々がカントリーフレーバーを漂わせながらも常にヘヴィーさを追求してきたイーグルスが到達した楽曲である」と称した。実は、それって70年代初期に既にウォルシュが到達していた領域なのだ。彼は1970年にして、ハードでプログレッシブでカントリーなアメリカン・ロックを完成し、ソロではそれをポップに展開している。70年代中期のボストンやイーグルスの大衆的なハードロックの礎として、ジョー・ウォルシュ、James Gangはそれらの音楽に大きな影響を与えていると思う。大したものである。80年代にアメリカ大統領になろうとした男。ジョー・ウォルシュ。そのバイタリティの凄さ。もっと、もっと評価されてしかるべきロッカーである。
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by onomichi1969 | 2013-01-03 18:26 | 70年代ロック | Trackback | Comments(0)

semスキン用のアイコン01 Johnny Winter "Live Johnny Winter and"(1971) semスキン用のアイコン02

  

2012年 05月 05日

a0035172_1794165.jpg白髪のブルーズギタリスト、ジョニー・ウィンター渾身のライブアルバムである。

本作は、70年代ロックを代表するライブ盤の一つだろう。冒頭の音質はあまりよくないが、そんなことを一瞬で忘れさせるほどの熱狂がここにパッケージされている。ロックンロール!!である。サムピックによる怒涛の速弾き、ジョニー・ウィンターのディストーション唸りっぱなしのギター。対抗するのは、孤高のギタリスト、リック・デリンジャー。2人のギターバトルが冴えるGood Morning Little School Girlから早くもノリノリである。ドラムはキャプテン・ビヨンドからの助っ人、ボビー・コールドウェル。(と言ってもあのAORの人とは別人です) 初っ端のドラムソロから爆発して、とにかく手数の多さで、スピード感溢れるライブをぐいぐいと引っ張っていく。

2曲目のIt's My Own Faultは、コテコテのブルーズなのだが、これもスタイリッシュでカッコいい。静寂のブルーズにして、ドカドカと叩きまくるドラム、唸りまくるツインギターは、ブルーズの枠を易々と超える。そして、3曲目がストーンズのカバー、Jumpin' Jack Flash。この曲のウィンターのボーカルの凄まじいこと。喉がおかしくなるのではないかと思うほどにがなりまくる。根性入りまくりのボーカルである。ライブらしいアンサンブル、速弾きのツインギターに絡むリズム隊も素晴らしい。4曲目はライブ盤らしい構成、ロックンロールメドレーである。火の玉ロック。のっぽのサリー。すべてがハードロックである。インタープレイが光るブギーナンバーを挟み、最後を締めるのもロックンロールの定番。ジョニーBグッドである。

ライブらしいノリノリの構成と怒涛の演奏力、ウィンターのボーカルがとにかくすごい。スピード感溢れるロックン・ブルーズ、ロックンロール。ウィンターとデリンジャーの速弾きギターバトル。それを引っ張るコールドウェルのドラミング。とにかく最高! 聴きどころ満載のライブ盤、文句なしの傑作!!
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by onomichi1969 | 2012-05-05 17:29 | 70年代ロック | Trackback | Comments(0)

semスキン用のアイコン01 Beck Bogert & Appice "Beck Bogert & Appice"(1973) semスキン用のアイコン02

  

2012年 05月 05日

a0035172_22563818.jpgロック史上最強の3ピースバンド、、、と言えば、Creamか、Jimi Hendrix Experienceか、BBAか、GFRか、RUSHか、うーん、どれもすごいバンドだ。
3ピースバンドの特徴は、ギター、ベース、ドラムのテクニカルなアンサンブル、そのインタープレイにあると言われる。ボーカル専門が不在の為、思う存分にインタープレイを行えるわけだ。とすれば、その味わいの究極はライブにあり、それぞれのバンドには歴史に残るライブ盤、名演奏がある。

・・・と断言してしまっていいのだろうか?
一抹の不安があるのが、BBAのライブ盤。"Beck Bogert & Appice Live in Japan"(1973)である。このアルバムは日本限定盤であり、正式に全世界で発売されているものではない。録音状態が悪く、演奏も完全ではないというのが巷の評判。特にボガートとアピスのボーカル、コーラスワークが外しまくっており、演奏のミスタッチも多い。

そもそも、BBAの音楽とは、スタジオ盤の"Beck Bogert & Appice"(1973)に代表されるように、当時のハードロックの潮流、ZEP等に比べるとメロウに偏っている。代表曲であるLadyにしても、迷信にしても、ハードロックにしてはポップな曲調であり、Sweet Sweet Surrenderに至っては美しすぎるバラードである。しかし、Ladyを聴けばすぐ分かるようにその演奏力は抜群である。3人のアンサンブルは協調というよりも格闘である。ヴァニラ・ファッジとカクタスで馴らした重量級のリズムセクション、ボガートとアピスにジェフ・ベックがギターで対抗するという構図である。
ハードロックの曲には、ブルーズやフォークロアをベースとした様式があり、その楽曲はポップスと一線を画する。しかし、BBAはその型に嵌らなかった。メロウでポップな曲をハードにゴリゴリと演奏する。そして、その演奏力は、CreamやJimi Hendrix Experienceに匹敵する。ジェフ・ベックもCreamを意識してBBAを結成したのであるから、その演奏スタイルは必然だったのだろう。

ジェフ・ベックの70年代は、第2期ジェフ・ベック・グループから始まり、BBA、そしてソロ・ワークに続く。第2期の2枚のアルバムはボブ・テンチとマックス・ミドルトンという2人ジャズ&ソウルの達人に負うところが大きいが、特に2枚目のオレンジアルバムは今聴いても全く古さを感じさせない、ブラックミュージックとロックが融合した音楽性豊かな傑作である。BBAをそれと比較してその優劣を論じるのは少し違うだろう。BBAと比較すべきはCreamやJimi Hendrix Experience、当時のGFR等である。そうすれば、逆にBBAのアルバムのすごさが浮かび上がってくる。

Ladyを聴いてみてほしい。イントロから爆発する手数の多いアピスの重いドラミング。ビシビシ決まる。バトルを繰り広げるベックのギターとボガートの速弾きベース。迸る緊張感。日本でのライブ盤もこの名曲 Ladyに至ってはライブのクライマックスとでも言うべき激しい演奏となる。いつまでもこの世界が続いてほしいと思う。しかし、曲は短い。BBAの特徴からすれば、凡庸な演奏でしかないSweet Sweet SurrenderやI'm So Proudの位置づけに戸惑ってしまうのも仕方がない。結局のところアルバムとしてみれば中途半端な印象はぬぐいきれないか。やはり、もう1作。トータルとしてLady級の演奏と緊張感が持続したようなアルバムがあったなら、BBAこそがロック史上最強だったろう。
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by onomichi1969 | 2012-05-05 09:51 | 70年代ロック | Trackback | Comments(0)

semスキン用のアイコン01 ZZ Top "Fandango"(1975) semスキン用のアイコン02

  

2012年 05月 04日

a0035172_23211467.jpg70年代の3ピースバンドとして忘れてならないのがZZ Top。その代表作と言えば、"Fandango"(1975)である。

僕ら80年代のMTV世代からすれば、ZZ Topと言えば、LegsやSleeping Bagに代表されるシンセとハードブギーを融合したデジタルサウンド、そしてコミカルなPVが特徴のキワモノ的なバンドとして思い出される。

しかし、彼らの真骨頂は、ブギーとブルーズに彩られた70年代の名作"Fandango"にこそある。このアルバムはA面がライブ、B面がスタジオ盤となっており、クリームの60年代後半の名作を思い出させる。しかし、このアルバムは、どちらかと言えば、B面のスタジオ盤が素晴らしい。特に渋いブルーズ曲、Blue Jean Bluesがしびれる。ビリー・ギボンズのギターとボーカルが泥臭くも洗練されていて素晴らしい。洗練されたピーター・グリーンと言ったらよいだろうか。
彼らの特徴はやっぱりハードブギー!と言えば、名曲Tushである。こういった曲をさらっと演奏するところがカッコいい。A面のライブでのロックロールショーなんかも60年代後半のフリートウッド・マックを彷彿とさせる。これもまたカッコいい。

Sleeping Bagもいいけど、70年代の名作"Fandango"は今聴いても全く色褪せていない、洗練されたブギーの名作なのだ。
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by onomichi1969 | 2012-05-04 23:28 | 70年代ロック | Trackback | Comments(0)

semスキン用のアイコン01 Gary Moore "Back on the Streets"(1979) semスキン用のアイコン02

  

2011年 02月 11日

a0035172_21501758.jpgゲイリー・ムーアが他界した。70年代の流れを汲む至高のロック・ギタリスト。ジョニー・ウィンターよりも先に逝ってしまうとは。。。

レスポールの重厚で甘い音色がハイトーンに響く。そして速弾き。僕の中でゲイリーと言えば、シン・リジィの"Black Rose"(1979)が真っ先に思い浮かぶ。スコット・ゴーハムとのツイン・リードは、ポップでハードでクリアに響くギターサウンドの倍音の魅力があった。その流れで彼のソロ・アルバム"Back on the Streets"(1979)もよく聴いた。あと聴いたのは、80年代のライブ盤"Rockin' Every Night - Live in Japan"(1983)や"Wild Frontier"(1987)くらいである。。

"Back on the Streets"は、シン・リジィのフィル・ライノットがボーカルとベースで参加しており、曲によってはシン・リジィそのものとも思える。もちろん、それだけではなく、ゲイリー自らボーカルをとる表題曲やインストの"Hurricane"のようなスピード感あふれるハードな楽曲もいい。あと、メロウな味わいのある"Flight of the Snow Moose"や"Song for Donna"、そしてフィル・ライノットの甘いボーカルをフューチャーした"Parisienne Walkways"『パリの散歩道』(ピーター・グリーンから譲り受けたレスポールでの演奏というのがまた痺れますね)など、この辺りの楽曲にゲイリーの趣味がよく表れているのだろう。

ゲイリーは、1969年に17歳でフィル・ライノットも在籍していたアイルランドのスキッド・ロウというバンドでプロデビューする。長い芸歴のわりに、まだ50代という早すぎる死であった。ご冥福をお祈りします。
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by onomichi1969 | 2011-02-11 21:28 | 70年代ロック | Trackback(1) | Comments(2)

semスキン用のアイコン01 Miles Davis "Tribute to Jack Johnson"(1971) semスキン用のアイコン02

  

2011年 01月 03日

a0035172_9224769.jpg最近、電化マイルスにハマっている。
電化初期の代表的なオリジナルアルバムである"In a Silent Way "(1969)、"Bitches Brew"(1970)、"Tribute to Jack Johnson"(1971)、"Live-Evil"(1971)、そして"On the Corner"(1972)あたりを繰り返し聴いている。これらのアルバムは、それぞれに特色があって、どれとして同じではない。にも関わらず、どれもがアルバムとして完成されていて、唯一無二の傑作であり、エレクトリックジャズというか、ジャズロックというか、それはもう電化マイルスという明瞭たるジャンルの中にそびえ立つ5つの崇高な頂といっていいだろう。

その中でもっともロック色の強いアルバムといえば、"Tribute to Jack Johnson"ということになるだろうか。アルバムは、25分強の2曲のみ。特にジョン・マクラフリンのギターとビリー・コブハムのドラムがいきなり炸裂するロック全開の1曲目Right Offが最高である。マクラフリンとコブハムがひとしきりロックした後を受けて、マイルスのトランペットが同じようなテンポでロックを鳴らし始める、その導入部が何とも言えずしびれる。電化マイルス第1期のドラムといえは、ジャック・デジョネットが不動のメンバーであるが、このアルバムのロック・テイストを引き出したのはビリー・コブハムの力強いビート感覚溢れるドラミングだろう。当時の批評曰く、「Bitches Brewのすべてのフラッシュが1つの輝かしいイルミネーションに集約した」のがJack Johnsonなのである。

前作"Bitches Brew"がジャス史上最高のセールスを記録したのに対し、Jack Johnsonは、レコード会社から殆ど無視され、全くと言っていいほど売れなかった。マイルスは、そのことを「ダンスのできる音楽、ロックに近すぎたからだ」と回想している。「白人のロック・ミュージシャンがやるような音楽を黒人のジャズ・ミュージシャンがやってしまったことに皆戸惑った」のだという。マイルスらしい感想だと思うが。。。

Jack Johnsonには、スライ&ファミリーストーンとジェームズ・ブラウンの曲からのリフの引用がある。当時、マイルスは、スライやJBの音楽を支持しており、また、ジミ・ヘンドリックスやサンタナと交流があった。状況的にはマイルスが最もロックに近接した時期であり、以降、そのベクトルはファンクへと向かうことになる。ジョン・マクラフリンは、マイルスから一言「ジミ・ヘンドリックスのように弾いてくれ」と言われたという。実際、マイルスは、後年、ピート・コージーというジミヘン風のサイケなギタリストを手に入れるわけだが。。

最近、マイルスの自叙伝を読んですごく感銘を受けた。1940年代後半のNYアップタウン「ミントンズ」でのバードとディズと若きマイルスの初めて邂逅、その時のセッションの様子など、当時の熱いジャズシーンの息遣いがリアルに伝わってくる。マイルスが語るチャーリー・パーカーやコルトレーンの人物像やジャズ・ジャイアンツの時のセロニアス・モンクとの一件など、とにかくマイルスの語り口が素晴らしい。彼の語り口そのものがジャズを奏でているような、リズミカルで、読む手をぐいぐいと引き込む。本書は1980年代後半の著作で、60歳を越えたマイルスが過去の出来事を年代別に語っていく構成なんだけど、その記憶力たるや尋常じゃない。描写が細かすぎて、臨場感というかライブ感覚溢れすぎ。。。訳者中山康樹氏はブライアン・ウィルソンの自叙伝も手がけていて、そっちもすさまじい内容だったけど、マイルスのもすごかった。マイルス・デイビスっていうのは、歴史を作り、それを自ら総括してしまったという意味で、ジャズの帝王、指揮者であり、また文学者だったのだなぁと感じた。まぁおすすめです。
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by onomichi1969 | 2011-01-03 23:29 | 70年代ロック | Trackback | Comments(2)

semスキン用のアイコン01 The Police "Outlandos d'Amour"(1978) semスキン用のアイコン02

  

2010年 10月 06日

a0035172_22142625.jpgイギリスのスーパートリオ ポリスの1stアルバムにして、最高傑作。高度な技術に裏打ちされたスピード感あふれる演奏と晴やかなポップチューン。特に演奏は、スチュアート・コープランドのドラミングが曲ごとに個性を発揮していて、疾走するタム回しもカッコいいし、スネアとハイハットのコンビネーションによる硬質なリズムもいい。やっぱり一番は2曲目の"So Lonely"だろうか。この曲はポリスの良さが詰った名曲であると共に70年代後半のニューウェイブを代表する楽曲だと思う。

前述のスチュアート・コープランドのドラムに絡むのはアンディ・サマーズの緻密に構成された変幻自在な分散和音中心のギター演奏、神経症的にエフェクトされたギターソロである。そしてスティングの軽快且つテンポよく響くベース音。極めつけはスティングのこの時期特有の高音域で押しまくる突き抜けたようなボーカルである。特に"So Lonely"後半のテンポを落としてから段々と盛り上げていって、最後にサビに繋がるところの息苦しい程に性急な展開はメチャクチャカッコいい。スティングの絞り出すような高音はまさに"So Lonely"仕様とでもいうべき、この時期に特有のもので、これ以降のアルバムではもう聴くことはできない。このアルバムはスティングにとって最も声の状態がよかったのだろう。声というのは徐々に衰えるものだ。ブライアン・ウィルソンやマライア・キャリー、ケイト・ブッシュ、リチャード・マニュエルも同様で、彼らの初期のアルバムに価値があるのは、その最良の歌声が記録されているからだと僕は思う。

"So Lonely"を含めた出だし3曲("Next You"→"So Lonely"→"Roxsanne")の高い完成度と衝撃度がこのアルバムの、そしてポリスの全てを物語っているとすら思える。続く中盤の2曲"Peanuts"と"Can't Stand Losing You"もよい。ここではスティングのベースがうねりながら軸となり、3人の演奏力とアンサンブルのバランスの良さを見せ付ける。"Born In The 50's"はサビが凡庸すぎるけど、サビ以外のところは気合いが入っていてよい。

ジャズプレイヤーのスティングとプログレバンドでドラムを叩いていたスチュアート・コープランドと大学で音楽を専攻していたアンディ・サマーズがバンドを組む。ポリスという分かりやすいだけの「??」なバンド名も、当時流行のパンク調の楽曲を取り入れたことも、彼らなりの売れる為の戦略だったという。バンド名はともかくとして、彼らがパンクを売りにしたことは今にして思えば絶妙の選択であり、大正解であったと僕には思える。その後のアルバムで徐々に彼らが本当にやりたかった音楽に移行していき、最終的には個々の趣味の違いにより袂を別つことになるわけだが、彼らの本当にやりたかったことが彼らにとっての(ロックにとっての、僕らにとっての)最良の選択だったとは必ずしも言えないのではないか。これは人生も同じで、最もやりたかったことが最良の選択であるとは限らないわけで、逆に人から懇願され期待されて選んだ道こそが最良の選択の場合もあるのだ。

1stアルバムは、ポリスの最高傑作だと僕は思う。彼らが売れる為に選択した戦略がポリスというトリオの個性に最もフィットしたスタイルを生み出したのだ。それはちょっとした異質の配合であり、違和であり、思いもかけないものだったのだろうけど、それこそが、ある意味で名作が生み出される必要条件なのかもしれないと思った。
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by onomichi1969 | 2010-10-06 22:32 | 70年代ロック | Trackback | Comments(0)

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