日の名残り "The Remains of the Day"
2009年 09月 19日
彼は自らの役割に生き、その忠実さによって生の充実を得てきた。そこに差し挟まれる仄かな疑義。戸惑い、躊躇しつつ、それでも愚鈍に役割を演じることを選ぶ。それは何という諦念であり、決意なのだろう。沈黙の中に様々な心情を映す。これこそが真のヒューマニティなのだと僕は言いたい。
物足りる作品は、想像力を掻き立てない。物足りない作品こそ、僕らの想像力によって補われ、僕らの為の作品となる。
『日の名残り』が最上のドラマであることは改めて言うまでもない。良質の映画というものは、その良質さ故に、結局のところ、分かる人にしか分からないものなのだろう。1993年アメリカ映画
by onomichi1969 | 2009-09-19 21:56 | 海外の映画 | Trackback | Comments(0)