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Rock and Movie Reviews : The Wild and The Innocent

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semスキン用のアイコン01 Billy Ocean "Greatest Hits"(1989) semスキン用のアイコン02

  

2009年 05月 31日

Billy Ocean \"Greatest Hits\"(1989)_a0035172_13164090.jpgビリー・オーシャンは、80年代中期のベストヒットUSAの常連であり、全米で3曲のNo.1と2曲のNo.2ヒットを含め、8曲のトップ10ヒットを量産したヒットメーカーである。彼はトリニダード・トバゴ生まれでUK育ち、元々ロンドンをベースに活躍していたR&Bシンガー&ソングライターらしいが、当時は、"Big Bam Boom"(1984)のホール&オーツや同じUKのワム!に代表されるソウル&ポップなダンスミュージックに対する黒人側からの回答のように受け止められたと思う。一見地味な存在ながら、マイケル・ジャクソンやライオネル・リッチーからの流れをうまくフォローして、意外なほどに多くのヒット曲を飛ばした。当時、黒人のポップシンガーというのはわりとニッチな位置で、ラップ以前の80年代という時代の中では、その曲の良さと歌の上手さもあり、そのポップセンスが時代のニーズにピタッと嵌ったのだと思える。

Billy Ocean "Greatest Hits"(1989)は、ビリー・オーシャン絶頂期のヒット曲を寄せ集めたものである。トップ10ヒットの名バラードLove is Foreverが選から漏れているのが少し残念だけど、"Suddenly"(1984) 、"Love Zone"(1986) 、"Tear Down These Walls" (1988)という3枚の大ヒットアルバムからシングルカット12曲が並ぶ贅沢な構成となっている。

今、改めて聴いてみれば、それらはまさしく80年代中期を代表するポップであり、ダンスミュージックであり、バラードである。1. When the Going Gets Tough, The Tough Get Going(全米No.2:映画の主題歌で大ヒット)、2. License to Chill(全米No.32:これは007主題歌予定だった曲らしいが直前に却下→題名変更)、3. Caribbean Queen (No More Love on the Run) (全米No.1:ファーストヒットでNo.1) 、4. There'll Be Sad Songs (To Make You Cry) (全米No.1:2度目)、5. Loverboy(全米No.2)、6. Suddenly(全米No.4)、7. Get Outta My Dreams, Get into My Car(全米No.1:3アルバム連続でNo.1獲得)、8. Love Zone(全米No.10) 、、、という流れは当時のヒットパレードそのものでありつつ、曲の良さで売っていただけあって、なかなか聴かせるシリーズである。特にSuddenly~なんていう曲はサビのメロディがとても響く、素晴らしいバラードだと思う。

ワム!のジョージ・マイケルも似たような音楽的傾向をもつミュージシャンだと思うが、同時期の彼が良質なポップセンスとソウルフルな歌声を武器にアイドル・グループからブラック・コンテンポラリーの方へ接近していったのと違い、ビリー・オーシャンはブラック・コンテンポラリーの側からポップシーンへと滑り出た人である。その世界でアイドルになるのは無理な話として、彼の登場が「深化」を否定したところから始まったが故に、80年代後半以降(本アルバム以降)の行き場を失ったのは致し方ないことかもしれない。
ちなみに、マイケル・ジャクソンは、ブラック・コンテンポラリーからポップの世界にいちはやく踏み込んで、人種やアイドルなどという枠を超えたスーパースターとなったが、その音楽的な行き場のなさ故に、彼の凋落は案外と自然な出来事だったのかなと改めて思えた。

by onomichi1969 | 2009-05-31 13:13 | 80年代ロック | Trackback | Comments(0)

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