Rock and Movie Reviews : The Wild and The Innocent

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semスキン用のアイコン01 The Band "The Band"(1969) semスキン用のアイコン02

  

2009年 01月 28日

ローリングストーン誌(日本版)の2月号に"100 Greatest Singers of All Time"という特集があって、ふむふむと思って見てみると、1位がアレサ・フランクリン!2位がレイ・チャールズで、以下は次のような順位だった。

3位 エルヴィス・プレスリー
4位 サム・クック
5位 ジョン・レノン
6位 マーヴィン・ゲイ
7位 ボブ・ディラン
8位 オーティス・レディング
9位 スティーヴィー・ワンダー
10位 ジェイムズ・ブラウン

至極妥当な順位だと思う。特にアレサの1位は納得で、僕が選んでも彼女のトップ3は外せないだろう。さすがローリングストーン誌である。

順位が下がってくると、日本ではあまり馴染みがない人も入っていたりして、このあたりにオールド・アメリカンっぽい選定の特徴が見られる。そして、91位にいましたよ。リヴォン・ヘルムが。

残念ながら、ザ・バンドからはリヴォンのみのエントリーだったけど、僕がトップ10を選ぶなら、リチャード・マニュエルとリック・ダンコは必ず入れるだろう。僕の中でリヴォンは3番手なんだな。でも、リヴォンを推薦している以下の文章にはすこしグッときた。

リチャード・マニュエルの声は、痛みと闇を感じさせるところがいい。リック・ダンコも声に濃い影とエキセントリックさがある。そのなかで、リヴォンの声は頑丈な作りの古い農家のようだ。農地の真ん中に長年立って、雨風や嵐、豪雪にもびくともしない。 ジム・ジェイムス(マイ・モーニング・ジャケット)
というわけで、久々の音楽レビューは、ザ・バンドである。
ザ・バンドのレビューとしては、これまでライブアルバムの傑作"Rock of Ages [Deluxe Edition]"(1972)"Moondog Matinee"(1973)を紹介してきた(あと、リチャードのソロライブ、Richard Manuel "Live at the Getaway"(1985) や雑誌関連でUNCUTの記事の紹介も有りです)が、やはり彼らの傑作と言えば、初期の2作と"Northern Lights-Southern Cross"(1975)になるだろう。その中で、今日はたまたま手にとった"The Band"(1969)を紹介してみたい。

a0035172_22372886.jpgこのアルバムは彼らの最も重要な作品に挙げられることが多いが、その理由はアルバムがコンセプチュアルであるということ、尚且つ、曲自体も優れていて、彼らの名曲と言われる作品が揃っているという点にあろう。ハーモニーだけなら1作目が傑出しているが、このアルバムにはザ・バンドの音楽を象徴する物語性(精神性、存在そのものから醸し出される雰囲気といったようなもの)があり、それ故に、以後のアルバムを含めて彼らを代表する作品となったと思える。
このアルバムがあまりにもに完璧であるが故に3作目以降が見劣りすると言われているが、僕は3作目"Stage Fright"(1970)も好きだし、曲のラインアップだけみれば、3作目以降も名曲揃いである。
しかし、"The Band"(1969)は特別なのである。なんというか、そこにはザ・バンドという偉大なる物語性があり、それこそが作品の存在感となり、他を寄せ付けない風格となっていると感じる。(そういう意味でジャケットも素晴らしい)

リチャード・マニュエルの搾り出すような独白から始まる冒頭のAcross the Great Divideに始まり、リヴォンの力強い歌声が響くRag Mama Rag、リヴォンの実直な歌声にリックの影のある声が絡むThe Night They Drove Old Dixie Down。そしてリックのソロでWhen You Awakeに、リヴォンの代表曲でもあるUp on Cripple Creek、リチャードの名曲Whispering Pinesが続く。Whispering Pinesはリチャードのファルセットが切ないバラードの傑作だけど、この曲のリヴォンのハーモニーも素晴らしい。本当に泣けてくる。
そして、リヴォン&リックのJemima Surrenderに、リチャード&リックのRock'n' Chair、リックのLook Out Clevelandに、リチャードのJawbone、リックの名曲The Unfaithful Servantに、最後を飾るのは、リチャードのジャジーな佳作King Harvest (Has Surely Come)である。

ボーカルにスポットを当ててみたが、こうやって曲を追っていくだけで、如何にこのアルバムが絶妙で、隙がなく、完璧であるかを再認識させられる。そして、3人のボーカリストの中で、特にこのアルバムに関して言えば、やはりリヴォンの活躍が光る。僕の中では3番手だけど、やっぱり彼こそはザ・バンドの実直さの象徴であり、屋台骨なんだな。彼らの歌声そのものが北アメリカの歴史や風土を象徴しており、それが作品の物語性を生み出しているとも思える。もちろん、作品自体のコンセプトも旧き良きアメリカ/フロンティア精神を象徴するものであり、そういった完成度も高い。

1作目から受け継ぐハーモニーと物語性、そして、楽曲中心の色の強い以後のアルバムのスタイルが本作で絶妙に融合したことにより、この時期だけの特別なアルバムになったとも思える。
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by onomichi1969 | 2009-01-28 21:44 | 70年代ロック | Trackback | Comments(0)

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