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semスキン用のアイコン01 アリスの恋 "Alice Doesn't Live Here Anymore" semスキン用のアイコン02

  

2009年 01月 03日

a0035172_15113621.jpg子連れの独身女性という設定は、昨今の映画でありふれている。
『アリスの恋』(1974)は、夫の交通事故死によって、アリスが子持ちの未亡人という境遇に陥るところから始まり、家財道具一切を車に詰め込んで、最愛の息子と二人で故郷の町を目指して旅を続ける様子が丁寧に描かれる。まさに70年代のロードムーヴィーである。
彼女らは失い、探し、見つける。彼女は旅の中で昔憧れていた歌手を目指すがすぐに挫折し、幾多の困難に遭遇しつつ、最後のハッピーエンディングで彼女が得るのは将来の伴侶となる「男」であった。

その後のハリウッド映画の流れの中で、子連れの独身女性という設定は、『ドク・ハリウッド』や『フォーエバー・ヤング』等、恋愛ドラマのヒロインの典型となり、『恋愛小説家』や『ショコラ』では子連れであるという境遇そのものがありふれたものとなって、且つ、それが女性の性としての逞しさや優しさの象徴であり、ネガティブな要素でなくなっていくように思える。さらに、『エリン・ブロコビッチ』に至っては、まさにそれこそがアイデンティティの一部であり、女性の自立という「父性」と共存すべきものとして描かれる。もちろん、そこで見事に虐げられているのは全てを失った男性である。
『アリスの恋』と『エリン・ブロコビッチ』で主人公を支える男のキャラクターはとても似ているけど、その扱われ方は180度違う。父性すらも奪われることによって、虐げられる男性は、まさに『エリン・ブロコビッチ』の中で象徴的に復讐されているように思える。
さらに、『ボルベール<帰郷>』に至っては、父親という存在そのものが忌まわしきものとして葬り去られるのである。

以上のことからも『アリスの恋』が女性を主人公として描いた映画として、如何に微笑ましいものであったかが分かる。旅の途中で悪い男(ハーヴェイ・カイテル!)につかまったり、仕事で失敗したり、子供の非行に手を焼いて泣いてばかりいるエレン・バースティン。はっきり言って年はいってしまっているけど、実に可愛らしい女性じゃあないか。。

今や、この映画のクリス・クリストファーソンは僕らの憧れの存在かもしれない。へたに男気を発揮して、殺されて埋められてしまわないように、僕らは常に気を配っていないと、、、男性は分子生物学的にも発生の過程における女性のできそこないで、ただの「使い走り」にすぎないらしいので。(福岡伸一の最新本によるとね) 1974年アメリカ映画
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by onomichi1969 | 2009-01-03 15:24 | 海外の映画 | Trackback | Comments(4)

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Commented by 蟷螂の斧 at 2009-02-28 05:58 x
始めまして。僕もこの映画は好きです。中学生の頃に初めて見ました。そして、先日BSで久しぶりに見ました。管理人さんがおっしゃる通り、アリスは年食っているけどかわいい女性だと思いますね。それと田舎の安レストランで働いている毒舌の女性との友情もいいです。
またお邪魔させて下さい。
Commented by onomichi1969 at 2009-03-01 00:21
蟷螂の斧さん、はじめまして。
僕はこの映画を観たのはここ最近でして、スコセッシの作品の中では殆ど最後の砦でした。でも、よかったですね。アリスがなかなか可愛らしくて。僕も年齢が近くなったのでそう思うのかもしれませんが。。
またよろしくお願いします。
Commented by 蟷螂の斧 at 2009-03-01 04:31 x
レスありがとうございました。
この映画のクリストファーソンみたいに農場経営してる男って逞しくてかっこいいですよね。僕には無理ですが・・・・。
彼がアリスの息子の尻を叩いたらアリスがキレる。あれは母親の本能ですね。いくら好きな男でも「他人が叩くなよ!」って感じです。
Commented by onomichi1969 at 2009-03-02 00:18
クリストファーソンはわりと好きな感じなのですが、彼は典型的な70年代の男ですね。ペキンパー映画の常連でビリー・ザ・キッドは(ちょっと年を食っていましたけど)結構ハマっていたと思います。
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