Rock and Movie Reviews : The Wild and The Innocent

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2008年 11月 02日

a0035172_1017828.jpg80年代ロックの潮流を作ったのが70年代中期に興ったロックの大衆化と呼ばれるムーブメントであるという。そのムーブメントの破壊的な遂行者がパンク・バンドであったわけだが、より穏便でポピュラリティの側からの変革者として代表格に挙げられるのが、ブルース・スプリングスティーンの『明日なき暴走』であり、ボズ・スキャッグスの『シルク・ディグリーズ』であり、ピーター・フランプトンの『カムズ・アライブ』、キッスの『地獄の軍団』、そしてボストンの『幻想飛行』だったりするわけだ。これらのアルバムはアメリカンロックのひとつのターニングポイントとして、70年代の記念碑的なアルバムと捉えられる。
70年代以降に志向されたハードロックの難解化、様式化という流れ、肥大化したプログレッシブ・ロック、内省化したフォーク&カントリーというジャンルに強烈なストレートパンチをかましたのがボストンの『幻想飛行』(Boston "Boston"(1976))だったといえる。このアルバムの登場は、ポピュラリティから乖離したプログレを瓦解させ、その後の産業ロックという流れの先駆けとなると共に、70年代的なロックをひと括りにして葬り去るだけのストレートでポップな威力を持っていたのである。ボストンの音楽はプログレやハードロックというジャンルに囚われない、ポップという志向をハードというファンクションをもって横断することにより、膠着化したジャンルから軽やかに逸脱したロックであった。ボストンの音楽はその登場と共に新しいアメリカン・ロックの流れを形成し、スティクス、ジャーニー、TOTO、エイジアというフォローアーを生み出す。それはすぐにプログレハードとか、産業ロックとかいうレッテルを貼られて、ひとつのジャンルとして改めて括られることになる。このようにして80年代のロックは定型化していくのであるが、そもそも80年代はサブカルチャーが大衆化し、浸透すると共に、改めて定型化した時代なのだ。

さて、ボストンの『幻想飛行』である。僕は以前、"Don't Look Back"(1978)をレビューした時に『幻想飛行』についても少し触れたので、ここでは敢えて繰り返さないが、とにかくアルバムとして楽曲、構成のクオリティが高く、ポップセンスが本質的であるが故に現代からみても全く古びない素晴らしい作品だといえる。このアルバムは今でも売れ続けていて、アメリカだけでも1700万枚のセールスを記録しており、(発売当時は100万枚である) アメリカンロックの歴史的名盤といっていいだろう。

『幻想飛行』という題名は、おそらく1stチューンの"More Than Feeling"(『宇宙の彼方へ』)の別名であり、曲そのもののイメージを敷衍することによって付けられたものであろう。その題名通りに、このアルバムにはロックが目指すべき幻想がとてもわかりやすい物語とメロディによって提示されている。それはシンプルに僕らの情動に響く、それこそがポップの本質的な味わいであり、彼らのサウンドなのである。

2ndアルバム"Don't Look Back"(1978)、3rdアルバム"Third Stage"(1986)、4thアルバム"Walk On"(1994)も同様に素晴らしい。そして一貫している。76年に生み出されたアメリカン・プログレ・ハードで産業ロックなボストン・サウンドが20年の年月を超えて一貫しているところが、このバンドのまたすごいところである。おそらく、90年代以降にボストンの奏でるポップ・サウンドが現代の若者達にどれほど響くものなのかは分からないが、一貫しているが故にその音楽は時代の波間に突如として顔を出す可能性もある。作品の質は孤高で、その音楽は堂々と聳えているのである。
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by onomichi1969 | 2008-11-02 10:29 | 70年代ロック | Trackback | Comments(0)

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