Rock and Movie Reviews : The Wild and The Innocent

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2008年 09月 07日

a0035172_2233627.jpg結構ぐっときました。僕は3時間という長さが全く苦にならないほど、また観たいなぁと思えるほどこの映画に、そしてこの映画の作者に共感しました。
この映画の基本は、ミニマリズム的な展開なのですが、その全体的なトーンは一つの統一感として世界の(世紀末的な)不安感を表しているように感じます。登場人物達が抱えるナラティブ、その生き難さの感覚は多分に象徴的に僕らの生のリアリティに重なるのです。僕にはこの映画がそのリアリティに耐えうるだけの誠実さを作品の水脈としてもっていると感じることができたのです。
そして、この映画がすごいのは、登場人物達が迎える自己のカタストロフに対して、最後に「かえるくん」を登場させていることです。アルトマンの『ショートカッツ』にも似たような展開がありましたが、今回のかえるくんはそれにも増して寓話的な意味合いがあるように思えます。なんてったってかえるくんなのですから。このかえるくんの登場は突発的で、非現実的であるが故に違和感を持つ人が大半かもしれないけれど、これはこの物語が物語であるが故の重要な象徴(しるし)だと思うのです。個人のカタストロフを超えた圧倒的な理不尽さという意味でもあり、個人のネガティブな「あり得る」を超えた広くポジティブな「あり得る」という意味でもある。異常なものが一周ひっくり返って救済への光となるような、そんな感触かもしれません。それは村上春樹の『かえるくん、東京を救う』を思い起こさせます。あの小説のかえるくんは暴力と救済のパラドックスの象徴でした。
今、僕らは世紀末を越えて、新たな時代を生きています。しかし、世界はいつでもかえるくんを登場させる準備があるのです。それは変わらず、ある種の象徴(しるし)として。。。1999年アメリカ映画(2002-04-18)
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by onomichi1969 | 2008-09-07 22:21 | 海外の映画 | Trackback | Comments(2)

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Commented by blues1974jp at 2008-09-17 00:35
ほんのちょっと前・・・って思ってたら9年前になるのでしたか、これ。
トム・クルーズの宗教家的ペテン師役の熱演がなつかしい・・・は、もしやあの“伝道者”ぶりが地だったりしたら、それはちょっとヤですけど。あの歌がリンクするシーンがとても良かったです。かえるくんは、実話にもとづいての登場だったのでしたっけ。
Commented by onomichi1969 at 2008-09-19 04:19
1974さん、こんばんは。
竜巻かなにかで魚とか蛙が空から降ってきたというのは実際にあった話とも言われますね。アメリカの諺に「空から蛙が降ってくる」というのがあり、人生が行き詰まって身動きがとれなくなる事を意味するそうです。旧約聖書でエジプトに天罰として降らされるのもかえるくんでした。
土砂降りのことをIt rains frogsとも言うそうで、、、案外、空からふってくる蛙というのは映画の中で男の子が言うように「そういうこともありうる」ものなのかもしれませんね。比喩的な意味合いにおいても、現実的なものとしても、ある種のしるしとしても、そういう可能性を受け入れることは悪いことじゃないような気がします。。
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