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semスキン用のアイコン01 ランボー 最後の戦場 "Rambo" semスキン用のアイコン02

  

2008年 06月 02日

a0035172_2336810.jpg『ロッキー・ザ・ファイナル』(原題” Rocky Balboa”)に続くスタローンの復活作『ランボー 最後の戦場』(原題”Rambo”)を観た。
今回のランボーは前3作と比べて、ランボーたる所以の孤高感に乏しい。それは殺戮シーンそのもののリアリティに注目が集まりすぎるからか、ミャンマーの内戦という政治情勢をクローズアップしているからか。ただ、『プライベート・ライアン』や『サルバドル』のような先行作を思い出させはするものの、その焦点は定まらず、スタローン特有の娯楽大作の様相も相変わらずである。また別の見方をすればこれはラブストーリーだとも思える。ランボーの行動の動機はサラであり、彼は明らかにサラに恋をしているのだから。そういったいくつかの要素がランボーという個性を軸に寄せ集められ、何か得体の知れないものが出来てしまったというのがこの映画に対する僕の印象である。

機関銃を乱射し、狂ったように大量殺戮を行うラストシーンは現代版『ワイルドバンチ』だと言える。確かにその時ばかりはランボーがウォーレン・オーツに見えた。
『ムダに生きるか、何かのために死ぬか、お前が決めろ』
そのセリフもまさにワイルドバンチ達の生き様、死に様そのものだ。しかし、何かが違う。無残かつ美しく散ったワイルドバンチ達と違う、即物的な殺戮、正統な狂気というべき幻想、その空虚さ、それがこの映画が訴える戦争のリアリティなのだろうか?

『ランボー』と言えば、第一作である。
1982年、僕が中学2年生の頃である。ランボーが一人で多数の警官隊に立ち向かう姿には興奮したし、崖から決死のダイブや森の中でのサバイバル生活、全てがエキサイティングだった。そして、ラストの独白。
『何も終わっちゃいねえ!何も!言葉だけじゃ終わらねえんだよ!俺の戦争じゃなかった、あんたにやれって言われたんだ!俺は勝つためにベストを尽くした。だが誰かがそれを邪魔した! シャバに戻ってみると、空港に蛆虫どもがぞろぞろいて抗議しやがるんだ!俺のこと赤ん坊殺したとかなんとか言いたい放題だ。やつらに何が言えるんだ!奴等はなんだ!俺と同じあっちにいてあの思いをして喚いてんのか!俺にはシャバの人生なんか空っぽだ!』
所謂ベトナム帰還兵の悲劇。それがランボーだった。そこには善も悪もなく、ただ戦闘の記憶と呪縛だけがあった。それは決して単純な戦争ヒーローものではなかったのである。その映画自体を14歳の少年達は喝采したのだ。

『ランボー 最後の戦場』の殺戮シーンは確かにリアルである。そこには職人技とも言うべき、リアリティの追求があり、人が破壊されること、その細やかなシミュレートへの偏狂的なこだわりが感じられる。それは『プライベート・ライアン』でスピルバーグが追求したものであり、ある種の偏執狂でなければできない仕事だろう。それはそれで僕は認める。それは本来失われているものを浮かび上がらせ、僕らは殺戮そのもののリアリティを目の当たりにする。しかし、それはそれだけのことである。戦争とはそういった不条理な暴力であり、破壊であるということを訴えるのも重要かもしれないが、それは何処まで行ってもただそれだけのことなのである。より本来的なのは言うまでもなくその由来である。もちろん、そんなものはこの映画に一切描かれない。

ランボーも第一作から26年経ち、すっかり中年になった。
ベトナム帰還兵の空虚、その自覚的な敗北感は既にない。決死の大量殺戮の後、故郷の牧場に帰るランボー。その牧歌的な風景。
この映画が真っ当な感じがしない、何とも言えない違和を感じさせるのは、いくつかの寄せ集めの要素があまりにも無自覚的に組み合わされているからだと思う。それはまさに、ゲーム的リアリティとでも言うべきフラットな現代性ではないか。それがこの映画の得体の知れなさの最大の要因であると僕は思う。結局のところ、殺戮のリアリティもデータベース化されたパーツでしかないと感じざるを得ないのだ。2008年アメリカ映画
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by onomichi1969 | 2008-06-02 23:51 | 海外の映画 | Trackback | Comments(0)

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