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semスキン用のアイコン01 Van Halen "Balance"(1995) semスキン用のアイコン02

  

2007年 12月 08日

a0035172_11211424.jpg「ヴァン・ヘイレンのボーカリストは?」と聞かれたら、僕らの世代にとって、その答えは十中八九ダイヤモンド・デイブ・リー・ロスになるのではないかな。大ヒットアルバム”1984”(1984)でブレークし、彼らをスーパーバンドに押し上げた要因は、ギターヒーロー、エディ・ヴァン・ヘイレンの存在と共に、『ジャンプ』のPVで魅せたデイブ・リー・ロスの底抜けなパフォーマンス、そのボーカルの個性によるところも大きかったと思う。デイブがヴァン・ヘイレンというバンドの象徴的な存在だったことは間違いなかった。だから、ヴァン・ヘイレンがデイブと決別し、サミー・ヘイガーを新たなボーカリストに迎えるというニュース(1985年当時)には誰もが驚き、当初はがっかりしたのである。

当時のサミー・ヘイガーは、ソロのハードロッカーとして有名ではあったが、僕は、”Fast Times at Ridgemont High”(1982)『初体験リッジモント・ハイ』の主題歌や”Footloose”(1984)『フットルース』の挿入歌でしか知らなかった。たまにMTVでソロのPVを観た事があるが、その曲の印象は薄い。僕の知っている彼の曲は、如何にもハードロッカーというべきシャウト系のボーカルスタイルに似合わず、ポップな味わいのあるものであった。が、印象としては地味と言わざるを得ず、アルバムとして聴いたことは全くなかった。

サミー・ヘイガー加入当時はヴァン・ヘイレンとデイブがファンそっちのけの対立をしており、それはおのずとデイブvsエディという様相を呈していた。ハードロックファンの大勢がポップミュージックに寄り添い始めたデイブを見限り、エディ側についたのだと今では思えるが、やはり、当時のハードロックファンにとってギターヒーローの存在はものすごく大きかったのだろう。サミー・ヘイガー版ヴァン・ヘイレンのニューアルバム”5150”(1986)も予想以上の出来で、アルバムもシングル(『Why Can't This Be Love』)も全米No.1を獲得したことにより、その地位は完全に確立したと思われた。

僕自身は、1984年に観たベストヒットUSAでチャートNo.1となっていた『ジャンプ』のPVに魅せられ、それがきっかけで洋楽ファンになった(と言っても過言ではない)という経緯もあったので、デイブのいないヴァン・ヘイレンにあまり魅力を感じていなかった。確かに”5150”(1986)はいいアルバムだと思うけど、正直言って、デイブ時代のようなインパクト、その個性が乏しいという印象だった。ただ、実際のところ、ヴァン・ヘイレンというバンドの元々の特徴は底抜けにドライな味わいなのであるが、それに対してサミー・ヘイガーはウェットなのであり、その融合というのがハードロックバンドとして真っ当な方向に働いたという見方もできた。ヒットした『Why Can't This Be Love』や『Dreams』は正にサミー・ヘイガー調のウェットな曲であるが、これにヴァン・ヘイレンのドライさが融合することにより、楽曲そのものがパワーアップして生まれ変わったわけだ。

88年以降、あまり洋楽を聴いていなかったので、その後のヴァン・ヘイレンに対する関心はなくなっていったのであるが、1995年という年は、会社の寮にケーブルテレビが引かれていたこともあって、例外的にMTVを時々観ていた。その頃に、グリーンデイやトム・ペティ、ボン・ジョビなどの活躍と共に、当時のヴァン・ヘイレンの新曲『Don't Tell Me』のPVに遭遇したのである。このPVには正直驚いた。何に驚いたかと言えば、まずエディの髪型とヒゲである。そして音も80年代のハードロック調とは明らかに違う、所謂90年代の音になっていた。ヴァン・ヘイレンというバンドは、ウェットだドライだと言っても所詮は典型的な80年代のバンドだと思っていたが、そのヴァン・ヘイレンが堅実に変化を遂げているということに驚いたのである。
最近になり”Balance”(1995)をアルバムとして聴き、これがなかなかの名盤であることに思い至り、認識を新たにした。それは多分、僕自身が、90年代を経て、00年代も後半の今だからこその感想なのだとは思う。ニルヴァーナやチリ・ペッパーズ、R.E.M.、レディオヘッドが90年代を代表するバンドだとすれば、そこには80年代とは違うある種の気圧と彩度の変化があり、それは全体的に重々しい音圧とダークな色彩として、僕らに圧し掛かってくるように思える。
90年代とは、無根拠であることの「突き当った」感覚、その閉塞感こそがキーワードとして捉えられる時代である。それに対して80年代とは同じ無根拠でも、それはまだ自覚的に底抜けであり得た幸福な時代であった。そういう意味でヴァン・ヘイレンは80年代のバンドなのである。
そのヴァン・ヘイレンが変化を遂げ、『Don't Tell Me』は、90年代の流れの中に位置する曲、そのハードロック的な達成であると思える。アルバム全体からしてみれば、これまでの第2期ヴァン・ヘイレンの色合いはさほど変わらないが、この1曲のインパクトによって、このアルバムの印象はがらりと変わる。この90年的達成は、ヴァン・ヘイレンというバンドの変化によるものと捉えられるが、多分、それはサミー・ヘイガーがボーカルだったからこそ出来たことであり、結果的に彼らは80年代後半に正しい選択をしていたということになるのだろう。

(それはそれとして、、、、こんな傑作がAMAZONで1円なのだから、不思議なものである)

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Van Halen "Van Halen"(1978)のレビューはこちら!
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by onomichi1969 | 2007-12-08 16:27 | 90年代ロック | Trackback | Comments(2)

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Commented by yanz at 2007-12-18 20:58 x
最近になって知ったのですが,デビッド・リー・ロスはかなりの親日家のようですね.なんどもお忍びで来日しているらしいです.
さて,そのヴァンヘイレンですが,代表曲と言えば,なんといっても”JUMP”ですね(私は”You really got me”にしびれた口ですが).あの華々しい,そして,ある種あの頃のアメリカを象徴していた”JUMP”を,もっとも似つかわしくないAZTEC CAMERAがカバーしたのには驚きました.最初は,ギャグか高等な皮肉なのかと思ったくらいです.でも,そのあとロディフレームが曲を誉めていたのをきいて,それだけいい曲だったのだなあと感心したのを覚えています.
Commented by onomichi1969 at 2007-12-20 00:03
yanzさん、こんばんわ。
JUMPは僕も大好きな曲ですが、ハードロックバンドには似つかわしくないキーボード主体の楽曲でした。本来ギターリフであるところを思い切ってキーボードにしたところがハードロックとしては革新的だったのかもしれませんね。後にも先にもない曲調だったように思います。
ベストヒットUSA(R&R誌)の84年度年間ベスト1だったんですよね。初めてPVを観たときは結構衝撃的でした。。
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