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semスキン用のアイコン01 インディアン・ランナー "The Indian Runner" ~時代遅れの震え~ semスキン用のアイコン02

  

2004年 07月 10日

a0035172_35223.jpg正義漢の兄と落ちこぼれの弟のお話。兄弟は、話の展開にしたがって徐々に心が離れていくようにみえる。理解しあえるようでいて、それはどんどん遠くに離れてしまうのである。そのことの理由は語られない。最終的に警察官の兄が犯罪者となった弟を追跡するシーンにまで至り、父親は兄弟の確執とは関係のないところで意味もなく自殺する。図式はありふれているし、話としても結構単純だ。しかしそのモチーフは僕にとって切実に思えた。

兄は弟を追いながらそのことの意味を理解できない。弟は兄に追われながらその理由を失っている。自分の心さえ掴めない寂莫感にお互いが自覚的ではあるけれど、最後に兄が弟を見逃すシーンに言葉はなく、ただ「アイ・シャル・ビー・リリースト」(byザ・バンド)が流れるのみ。「いつかきっと僕は解放されるだろう」
あー、なんてリアリティのないフレーズだろうか。そのことの空虚さが心を締め付ける。

「インディアンランナー」はたぶん時代遅れな映画だ。すべてに自覚的でありすぎる分、それはもう時代遅れなのだ。僕らはその時代遅れの気分でしか、もう心を震わすことができないかもしれない。それはとても切ないことだけど…。

<ちなみに冒頭で、狼の力を盗んで鹿狩りをするインディアンの逸話が出てくる。弟の中で幻影のように現れるインディアンとは、自分自身に潜む凶々しさとその神々しさが一体となったスピリチュアル・イメージであり、その「らしさ」に理由がない絶対的な存在としての強迫観念でもあるのだ。>1991年アメリカ映画(2002-01-17)
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by onomichi1969 | 2004-07-10 03:53 | 海外の映画 | Trackback | Comments(2)

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Commented by ひな at 2009-02-26 00:21 x
こんにちは。
『インディアン・ランナー』観ました。
苛立ちや不安が暴力に転化してしまう弟の姿は、若かりし日のショーン・ペン自身を見ているような気がしてきました。私の勝手な見方ですけど。
ショーン・ペンは家族を持ち、穏やかな日々を獲得できたわけですが、この映画の登場人物は破滅の道をたどってしまった。ニューシネマ的な映画ですよね。弟の心情・理由について、説明的なものも一切なく、立ち直るチャンスだったのに…、家族ができたのに…なぜ??と見終わった後もずっと考えてしまいます。
Commented by onomichi1969 at 2009-02-27 00:56
こんばんは。
『インディアン・ランナー』を観たのは17年前。まだ学生の頃でした。
あの頃観たからこそ、僕はこの映画に胸を抉られたのだろうと思います。
上のレビューはまだその頃の気持ちをかなり引きずっていてw、今ならまた違った観方ができるのかもしれないなぁと思ったりしてます。
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