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Rock and Movie Reviews : The Wild and The Innocent

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semスキン用のアイコン01 タクシー・ドライバー "Taxi Driver" semスキン用のアイコン02

  

2007年 07月 17日

タクシー・ドライバー \"Taxi Driver\"_a0035172_1145325.jpgこの映画のテーマは「正義」の行く末だろう。世の中に「正義」への根拠がなくなって久しい。
主人公が愚直に信じる「正義」の観念とはうらはらにその向かうべき対象は奇妙なねじれを見せる。一見するとそれは単なる狂人の妄想に思えるし、ラストの展開は「暴力衝動」の発露そのものに見える。スコシージ自身もデニーロの圧倒的な存在感を軸として、そういう見せ方をしているから、この映画自体がストーカー的な狂気へのひそやかな共感という見方をされることも分かる。
しかし、始めに戻るが、やはり、この映画のテーマは「正義」の行く末である。僕らは今やこの「正義」の意味についてあまり自覚的でない。当時、アメリカがベトナム戦争を「正義」の戦争として遂行していた時、主人公の「正義」は確かにあったはず。「正義」への従属こそ人を生かしめた時代があり、その後それは「懐疑」の象徴に代わった。ベトナム後ですら、主人公はあまりに「正義」への従属に愚直であり、そういう人間像として、主人公は「正義」に殉じようと奮闘し、最後にはヒーローにさえなるが、それはあまりに滑稽な達成であった。「正義」という観念にとって、それはもの哀しいラストなのである。「正義」や「ヒーロー」という言葉に空虚な響きしか覚えない現代の僕らにとって、その歪さは自明すぎるだろうか。「正義」は「小さなラディカリズム」へと変遷し、今では「狂気」そのものになってしまったのだろうか。失われた「正義」に心を震わせること自体が既に時代遅れな感覚なのだろうか。1976年アメリカ映画(2003-07-27)

by onomichi1969 | 2007-07-17 01:16 | 海外の映画 | Trackback(1) | Comments(0)

Tracked from 写真よ 静かに笑え at 2007-07-19 10:07
タイトル : 『TAXIDRIVER』
 「ここから飛び出して、何かをやりたいと思っている。   でも・・・よく・・・わからん。     飛び出して・・・何かをやってみたい。   いろんな考えはあるんだが・・・   自分でもわからん・・・ 」    1976年作品/アメリカ  監督■マーティン・スコセッシ...... more
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