Rock and Movie Reviews : The Wild and The Innocent

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semスキン用のアイコン01 AC/DC "High Voltage"(1976) semスキン用のアイコン02

  

2007年 04月 28日

a0035172_8532415.jpgAC/DCが80年代初期にバカ売れした際、彼らの音楽は子供向けの単純で無内容な煩いだけのロックと揶揄されたという。当時のNWOBHM(New Wave Of British Heavy Metal)という流れはある意味でハードロックの80年代への移行だったと思うが、AC/DCの評価はまさにその流れの典型とでも言うべきものだったろう。AC/DCはその過激なステージの影響もあって、70年代中期にはパンクロックと同列視されたというから、そういった彼らだからこそ、うまく時代の流れに乗っかることができたと言えるのかもしれない。(ボン・スコットが短髪から長髪に変えたのもそれなりに意味があったのだろう) 彼らの楽曲があまりにもワンパターンでプリミティブな分かりやすいタテノリのロックであり、そのパフォーマンスはアンガス・ヤングの尻出しが飛び出すほどに幼稚でパンク的なノリで、また、歌詞もかなりくだらない内容であるから、彼らの存在は70年代的な様式の破壊者(パンク)であるとともに、底抜けな明るさとある種の喪失感が渾然となった80年代という時代の典型的なバンドだったと言えるだろう。

そんなバカロック的な彼らのスタイルの頂点が全世界で4300万枚を売り上げたモンスターアルバム"Back in Black"(1980)になるのだろうが、前のレビューで書いた通り、僕の中でAC/DCの魅力は、ボン・スコットのボーカルスタイルと密接に結びついている為、彼のいないAC/DCは明らかにその魅力が一段落ちてしまうと感じられる。

AC/DCと言えば、アルバムに関しても金太郎飴のようなワンパターンさで語られることもあるが、初期の"High Voltage"(1976)について言えば、彼らのベースであるブルーズのフレーズをそのまま生かした渋い(大人の)楽曲03 The Jackや07 Little Loverがあり、シンプルなパンクロック調の楽曲である01 It's A Long Way To The Top (If You Wanna Rock 'N' Roll)や06 Can I Sit Next To You Girlがあり、かつ彼ら特有のバカロックの典型でありOiパンクのハードロック版という言うべき傑作05 T.N.T.があり、割合としては以降のアルバムに比べて古典的なブルースロックの味わいがかなり強いが、だからこそ、全体として、なかなかバラエティに富んだ構成だと感じるのである。もちろんアンガス・ヤングの前面に押し出されたシンプルなリフから繰り出されるAC/DC的タテノリロックの特徴はアルバム全体を貫いている。元々、アンガス・ヤングのギタースタイルはブルースロックのプリミティブでエッセンシャルな部分に強く根ざしているのだ。

そして、改めて言うけれども、やっぱりこのアルバムもボン・スコットのボーカルが素晴らしい。ブルースロックを歌わせたらポール・ロジャースのような抑え(寸止め)がほどよく効いており、かつスティーブ・マリオットのようなシャウトの中にもソウルが響く。

ボン・スコットはもっともっと評価されていいボーカリストだと思うのだが、彼こそは70年代に殉ずべきボーカリストだったのかもしれない。彼の声の味わいは何というか、70年代的なのだ。

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AC/DC "Highway to Hell"(1979)のレビューはこちら!
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by onomichi1969 | 2007-04-28 09:14 | 70年代ロック | Trackback | Comments(0)

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