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2007年 03月 21日

a0035172_17572647.jpg 『ブレードランナー』のラストシーンは原作を超えていた。
リドリー・スコットは、ラストシーンでルトガー・ハウアーの美しき死に様を見事なまでに演出してみせたが、本作での新たな解釈を持ち込んだラストシーンは、果たしてどうであったか? 
僕は、はっきり言って納得できない。『ブレードランナー』が原作のモチーフを十分に理解した上
で、レプリカントの悲哀と自尊心という「人間らしさ」を新たな軸に加えて作品を原作から悠々と昇華させてみせたのに対し、『ハンニバル』の原作ぶち壊しの甘ちゃんラストは、、、ま、まったくなんてことだ!
ハンニバル・レクターこそ、意識を自由自在に操る「超人」であり、「人間らしさ」を超えてしまったが故に、ある意味で悲哀を備えたレプリカント以上にレプリカント的人物として捉えられるべきではなかったか。それこそリドリー・スコットお得意の分野のはずだ。なのに。。。

『ハンニバル』は言うまでもなくレクター博士の物語である。原作では、レクター登場から3作目にして、レクター自身の独白や過去の物語がようやくと語られる。特に彼自身が経験したトンでもなく残酷な出来事を通じて、彼が既に人間という枠を見事に超えてしまったことが僕らに伝えられるのである。それは映画では語られない。そのことは別にいい。原作は長いし、映画に原作そのものをすべて詰め込むことはできない。ただ、レクター自身が、映画で見られるようなあんなラストシーンに掴まされるような人格では決してないということを分かっているのだろうか。(あの手錠のシーンです。。。) そして、クラリスもレクターと同種であるのなら、あんなラストを導くようなことはしないはずなのではないのか。原作のあの2人して人間界から飛翔する驚愕のラストシーンは何だったのか。

凡百のサスペンスドラマのような結末は、途中までが良かっただけにかなり興ざめである。やっぱり、ここでもハリウッドスタイルの万人向けの座りの良い結末志向が顔を見せているのだろうか。小説『ハンニバル』が哲人ニーチェの思想をベースにした「超人」物語であることをリドリー・スコットが理解していないはずはないのだが。まったく不可解である。 2001年アメリカ映画(2003-11-08 )
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by onomichi1969 | 2007-03-21 17:59 | 海外の映画 | Trackback(3) | Comments(4)

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Commented by 晴薫 at 2007-03-21 19:31 x
同感!
原作のテーマは道徳律を飛び越えていて深くて高くて良かったよね。

映画の結末は凡庸で論外でした。
でもオペラのシーンは素晴らしかった!

onomich1969iさんは本読み人間ですね。
さっき本棚に行ってきました。
Commented by onomichi1969 at 2007-03-21 21:04
晴薫さん、こんばんわ。
小説は面白かったですね。何で映画だと話が変わっちゃうんでしょう?とても残念なラストでした。

う~む、本棚を見られる(というのが分かる)のは少し恥ずかしいものがありますね。やっぱり。晴薫さんは、とてもストレートな方なんですね。(こっそり見て頂ければいいのに、、、)

本読みって程でもないのです。通勤電車の中以外は読まないのですが、乗ってる時間も長いですし、毎日のことですから、塵も積もればって感じですね。
Commented by @ at 2007-03-22 05:26 x
むしろ原作はトンデモな駄本ですよ。前作とのつながりを考えても、あのラストは安直で強引すぎです。
トマス・ハリスの暴走は、最新作ハンニバル・ライジングでよりおかしな事になります。
映画は、スティーブン・ザイリアンとリドリー・スコットによって、原作のアホな部分を大修正したというのが正解です。
Commented by onomichi1969 at 2007-03-23 02:26
ご意見有難うございます。
原作『ハンニバル』がトマス・ハリスの暴走というのは当っているかもしれませんね。それをトンデモ駄本と断じる価値基準が世の中にあることも至極尤もだと思います。ただ、その是非(正解とか、不正解とか)を議論するのは不毛だと思われますので、まぁ反対票に1票入ったということだけ承っておきます。
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