ドリーム・ガールズ "Dreamgirls"
2007年 03月 10日
この映画に関して、音楽及び音楽史的な事実と違うだの、ストーリーが陳腐で残念だなどという意見は全くの的外れ(で残念)な観方だと言わざるを得ない。そういう画一的な観方でこの映画は捉えられないと僕は思う。全編に響き渡る「うた」は、その浅薄なシチュエーションを越えて、僕らにある種の「身体的な意味性」とも言うべき感動(それはジャッキー・チェンのアクション映画から受ける感動にも似たもの)を訴えかける。それは従来の映画における分かりやすく意味の通った(そうであることを求められる)セリフ回しという映画的常識、その不自然なリアリティを方法論的に(自覚的に)変容してみせるのだ。(例えば、市川準『東京夜曲』で描かれる人々の会話が、その聞き取り難さ故に、各人の「ためらい」という身体性をリアルに表現するのと呼応する) 改めて言えば、『ドリーム・ガールズ』こそは、今、僕らの物語に求められる「身体的な意味性」を、映画的なコミュニケーションを、「うた」の響きによって体現している方法論的に革新的な映画なのではないかと思うのだ。(これこそがロックやソウルの感動であり、物語との融合である)
それには、言うまでもなく、ジェニファー・ハドソン抜きにはこの映画を語れない。これは彼女の映画なのである。。。と、ビヨンセとエディ・マーフィーを忘れてはいけないか。もちろん、ビヨンセのとことんまでダイアナを表現してみせたポップセンス(これも身体性か)も素晴らしい。エディ・マーフィーも頑張った。JBというか、ピケット風なシャウトあり、マーヴィン風のメロウ・サウンド、且つポリティカル・ソングもあり、マーヴィン&タミー風なデュエットあり、いろんなスタイルが楽しめて、MTV時代の"Party All The Time" の軽いノリとは全然違う、彼の奥深さを感じた。
これだけ感動できて、楽しめるんだから、この映画は傑作でしょう。やっぱり。
あと、観終わってから、この映画の監督が『シカゴ』の脚本家だということを知って、すごーく納得したナ。2006年アメリカ映画
by onomichi1969 | 2007-03-10 22:03 | 海外の映画 | Trackback(4) | Comments(6)
2月17日から全国公開された映画『ドリームガールズ』を観てきました。 『Ray』でオスカーを獲得したジェイミー・フォックスとエディ・マーフィ、そしてビヨンセ・ノウルズを主要キャストに迎え、さらに今年のアカデミー賞の助演女優賞の最有力候補の呼び声高いジェニファー・ハドソンの熱演も話題だったし、60年代のダイアナ・ロス&ザ・シュプリームスの実話を基に作成され80年代に大ヒットしたミュージカルの映画化というのも期待大でした。 やや郊外のシネコンで公開初日のレイトショーを観たのですが、客の入りは3~4...... more
鳥肌立ちっぱなしだった。途中まで(特にエフィ脱退まで)は息をつかせぬ展開で、文句なし。そこからちょっと話の展開も読めてしまうし、テンションが落ちてしまったように感じたけど、最後に盛り返したね。映画の客席の人と一緒に拍手したくなった、しなかったけど(なんと....... more
この前久しぶりに映画を観に行きました。 めちゃ映画とか観に行きたかったけど、 なかなか観る機会なくて....。 で、観たのは ドリームガールズ も~う かなりおもしろかった! 好きな映画べスト3に入るくらい!! 笑いもあって、感動ありって感じ... more
コメント&TBありがとうございました。
こちらからもTBさせて頂きましたので、宜しくお願い致します。
この映画は確かに明確なモデルはあっても、単に史実をなぞっているわけではないので、"らしい"ところに気が付いたら思わずニヤリとしたり、素直に楽曲を楽しんだり、パフォーマンスに熱狂したりと、感じるままに楽しめばイイですよね。
ますます"ぶー子"化した(笑)ジェニファー・ハドソンの圧倒的な歌唱力には、オスカーを獲って当然かなー、と思いますし。
こんばんは、コメント+TBありがとうございました。
想像以上に面白かった「ドリームガールズ」、最高でした!
・・先週観た、「●フューム」は、激しくつまらなかったけれど・・
音楽や、俳優さんたちの演技、ストーリーも良いのですが
身長152cmの私では、絶対に着こなせないような、ステージ衣装も◎!
「シカゴ」って見てないんですが,おもしろいんでしょうか?
主演のブリジット・ジョーンズのひと(名前忘れ)の、ルックスが苦手で
イマイチ、観る気になれないんで
こちらこそコメント&TB有難うございます。
ぶー子がオスカーを獲ったんですね。お父さんはとても嬉しいですw 本当は主演女優賞をあげたいところですが、やっぱり主役もリードもかわい子ちゃんのビヨンセだから仕方がないですね。それも世の流れなのでしょう。
でも、ビヨンセも素晴らしかったですね。あの美しさはやっぱり尋常じゃないです。
こちらもコメント&TB有難うございます。
『シカゴ』は面白いですよ。
やぎさんの苦手なレニー・ゼルウィガー、僕もそれまではあまり好きじゃなかったんです(なんだこのぶー子は!って思ってましたよ、そういえば)が、この映画の彼女はいいです。キャサリン・ゼタ=ジョーンズは、『シカゴ』でぶー子(本家)と同じオスカーを獲ったんですよね。彼女もすごくカッコよかったですよ。あとは、ジョン・C・ライリー。彼がまたまたいい味を出しているんです。これが。。。
あの、マーヴィンっぽい曲が良さそうでしたね。
面白い映画でした。
TBもありがとうございます。k-hikoさんのエントリーとは着眼点がかなり似てますね。面白いです。でも、女性の趣味は違うのかな?
上のレビューでは書かなかったけど、あと、エディ・マーフィーの笑顔というか破顔というか、あの強烈なスマイルがうたの最中に出てくるというのがとてもしっくりきましたね。刑事ドラマの時は単に憎たらしい顔だと思ってましたけど。。。いい顔でした。