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semスキン用のアイコン01 The Band "Moondog Matinee"(1973) semスキン用のアイコン02

  

2006年 12月 10日

a0035172_1110934.jpg"Moondog Matinee"(1973)は、ザ・バンド、世紀の傑作ライブアルバム"Rock of Ages"(1972)の後に出されたオリジナルアルバムであり、全曲ロックンロールやR&Bのオールディーズの名曲に彩られたカバー集である。次作の"Northern Lights-Southern Cross"(1975)が復活作であり、後期の傑作という位置づけである為、本作は言ってみればリハビリ的な、ちょっとした息抜きのような感じとして見られがちである。
しかし、このアルバムは形こそカバー集ではあるが、ザ・バンドの歩みには欠かすことの出来ない彼らのオリジナルであり、血と肉であり、改めて言うまでもなく、彼らの重要な作品、大傑作なのである。まぁ彼らのアルバムは全て傑作であるので、それはもう言わずもがなではあるのだが。

オリジナルアルバムの流れから言うと、初期2作が優れた楽曲とコンセプチュアルな流れで構成された完成度の高い作品で、世間的にも最大級の賞賛を浴びたのに対し、その次に発表した2作はあまり芳しくない評判で、ロビーの作曲能力もここまでか、などと言われていた(らしい)。確かに初期2作のアコースティックでウッディーな魅力は時代と共に失わざるを得ない運命であっただろうし、楽曲の方もマンネリ化は避けられず、それが楽曲自体の良質な印象を薄くしているのかもしれない。その芳しくないオリジナル2作の後に発表したのがカバー集というのがいかにもというか、あまりにもバンドの内実を示しているようであるが、このカバー集はやはりバンドにとってみても優れたオリジナル作品群の一部であり、彼らのバンドとしてのスタイルと精神を確実に内包している傑作なのである。そして、このアルバムは次作の集大成的傑作である"Northern Lights-Southern Cross"(1975)に確実に繋がり、ここでの素晴らしい楽曲群と3人のボーカリスト達の熱唱への明らかな布石となっている。

そう、僕の言いたいことはこういうことだ。ザ・バンドは楽曲面では2作目以降、ロビー・ロバートソンに支えられているし、後期は特にロビーのバンドというように見られることが多い。(まぁ実際のところそうだったのだろうが) しかし、3人のボーカリストは健在であるのだ。僕にしてみれば、"Moondog Matinee"や"Northern Lights-Southern Cross"は、レヴォンとリックとリチャードのボーカルが冴え渡る、そういう輪郭のはっきりしたアルバムであり、そういう意味での傑作なのである。
特に"Moondog Matinee"は古の名曲を扱った全編カバー集であるが故にその思いは強い。もちろん"Third Man Theme"のようなトラッドなインストナンバーで聴かせる音楽的一体感もバンドの大きな魅力ではあるが。

まぁ、四の五の言わずにリチャードの3. Share Your Love、7. Great Pretender 、リックの10. Change Is Gonna Come を聴いてみればよい。素晴らしい、、、(リックのアウトテイクバージョンCrying Heart Blues もいい!) ひびきのあるうたを聴かせることができる、うたごごろをもった希代のボーカリスト2人(レヴォンのロックンロールもいいけどね) こころが震える、なみだが溢れる、うたを聴くだけでそんな感情を抑えることができなくなる、そんなボーカリストは他にブライアン・ウィルソンやジャニスなど数える人しかいない。そんなうたうたいが2人もいるんだから、このバンドはすごいじゃあないか。
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by onomichi1969 | 2006-12-10 10:57 | 70年代ロック | Trackback(2) | Comments(0)

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