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Rock and Movie Reviews : The Wild and The Innocent

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semスキン用のアイコン01 The Style Council "Our Favourite Shop"(1985) semスキン用のアイコン02

  

2006年 06月 03日

The Style Council \"Our Favourite Shop\"(1985)_a0035172_1514541.jpg僕らの世代にとって、ポール・ウェラーといえばスタイル・カウンシルである。それでもって、スタイル・カウンシルと言えばやはり2ndアルバム"Our Favourite Shop"(1985)になる。このアルバムからは07 Boy Who Cried Wolfや10 The Lodgers (Or She Was Only a Shopkeeper's Daughter)、15 Shout to the Top! がヒットしたが、極めつけは何と言っても14 Walls Come Tumbling Down!である。僕が初めて観たスタイル・カウンシルのPVもコレだった。貧乏芸術家風の(髪型の)ヤサ男ポール・ウェラーが美しきDCリーと絡む、その背景となる旧い街並みやCafe、路面電車などのアイテムが寂れた感じの映像で、当時のMTVでは結構ヘヴィーローテーションで何度も観た記憶がある。曲調はパンキッシュな感じながら、ミック・タルボットのオルガンが軽快で柔らかく、ポールの歌には彼独特の疾走感が漂う。コーラスも素晴らしい。この曲は当時の僕の一番のお気に入りだった。

<Walls Come Tumbling Down!のPV!> ←クリックすると始まるので音量注意!!

スタイル・カウンシルは当時のミュージックシーンの中で、特に日本においてはカルト的な人気があったと思う。初期の2作は彼らのイメージを決定付ける傑作であろう。

1980年頃にポール・ウェラーとピート・タウンゼントが対談した記事を最近雑誌で読んだ。当時はジャムのフロントマンとして若者に絶大の人気を誇ったポール・ウェラーがピートを公然と非難する。若き情熱と才気溢れるポールが大人の分別を説くピートに詰め寄る。「今のあなたに全然魅力を感じない、と。。。」 自身のアイドルとも言うべきピートを批判する、その記事から、ポールという人間の若き実直さ、多くのものを背負っている人間だからこその責任感溢れる実直さを僕は感じた。逆にピートは既に多くのものを失い、荷物を降ろした人間として、ただただ哀しさのみを漂わせていたのだ。

ジャム時代のストレートでオネストで全ての若者の代表のようなポールの出で立ちに対して、スタイル・カウンシル時代のポールは完全に肩の力が抜けた、何かをレプレゼントするのではない、ただ好きな音楽を高じる一人のヤサ男になった。音楽的にも1作目の"Cafe Blue"(1984)ではジャムのナロウな圧縮さとは正反対の拡散性、ジャズ、ボサノバ、ラテン、ピップホップなどのあらゆる音楽を取り込み、それらの音楽の表層を軽やかにサーフしてみせる。そこにジャム時代に背負っていた重き荷物は既にないように思える。ライブエイド等で観たスタイル・カウンシルのステージにしても、ジャム時代の希求性は全くなく、ただ音楽を楽しんでいるという和やかさのみが漂っていた。ポール・ウェラーはジャムの解散によって何を得て何を失ったのだろうか。その転向は彼の必然として彼を何処に誘ったのだろうか。

僕はスタイル・カウンシルを最後にしてポール・ウェラーの音楽を全く聴いていない。実は最近までポール・ウェラーのソロが90年代に大ヒットしたことも知らなかった。故にそのソロアルバムもまだ聴いたことがない。ジャムからスタイル・カウンシルを経てソロ・アーティストとして活躍するポール・ウェラーについて、その人間的な変遷を音楽によって辿ることが彼の生き様を理解することになる。実はスタイル・カウンシルという80年代の典型的なポップ・グループの行く末のみで彼の音楽を閉じてしまっては本当の彼の音楽性というものは語れないのだろう。。。ということで、、、

つづく

by onomichi1969 | 2006-06-03 09:50 | 80年代ロック | Trackback(5) | Comments(8)

Tracked from PLUG IN info.. at 2006-06-09 12:15
Tracked from 路上の風景~landsc.. at 2006-06-22 19:19
タイトル : Catch-Flame! | Paul Weller
気だるい日曜日の朝.外はどんよりと曇り空.こういう朝の時間は嫌いではないが,今日はなんとなくこの気だるさを打ち破りたくて,少し前にamazonから届けられていて聴けてなかったこのアルバム「Catch-Flame!」を縦型CDプレーヤーのスロットに差込む.ソロからの曲をメイン..... more
Tracked from All Mod Cons at 2006-07-29 10:09
タイトル : our favourite shop
このころのpaulの花形満likeな髪型以外はすべてにおいて文句なしのアルバムです。彼らがレスペクトするものが飾られているジャケット同様、まさに彼らが好きな音楽をやりまくってます。が、前作よりはモダンソウル路線にまとまっており、アルバムとしての完成度はTSCの中では一番かなと思います。このころから彼らのoriginal UK 7+12 inchコレクションを始めてしまい、大変なことになってしまいます。... more
Tracked from 布袋寅泰とその他音楽と日常 at 2006-08-19 01:03
タイトル : THE STYLE COUNCIL『CAFE BLEU』
Cafe Bleu ロンドンにおけるパンクムーブメントの中心的存在であったTHE JAMは、 アルバムを発表する毎に"黒人音楽へのアプローチ"を試みていたバンドです。 『ALL MOD CONS』あたりから芽生えてきた"黒人音楽へのアプローチ" は、 最終作『THE GIFT』で一気に開花し、より一層本格的になっていきました。 "黒人音楽"という新たなる可能性に手応えを感じ始めたポール・ウェラーは、 それを発展させるためにTH...... more
Tracked from ヴァイナル☆ヂャンキーの.. at 2006-08-21 17:06
タイトル : 目標であり憧れ-Paul Weller-
音楽好きなら、必ず好きな曲やAlbumがある。 当然、好きなBandやArtistがいる。 でも、好きなBandでも嫌いなAlbumは当然ある。 V.J.はRolling Stonesがとにかく好きだけど、嫌いなAlbumも山程ある。 Artistとしては好きでもなんでもないけど、好きなAlbumも山程ある。 そん..... more
Commented by yanz at 2006-06-04 08:55 x
このアルバムはよく聴きました.ジャケットに写ってるポール・ウェラーはおぼっちゃまのようで笑いましたが(^^)
このアルバムの中でもWalls Come Tumbling Downは好きでよく聴きました.今でもふと聴きたくなり,ひっぱり出してきて聴きます.
この曲は,スタカンの中では珍しく,JAMを思い出させる曲.もしかしたらJAM後期に書かれたものか,カフェブリュでの反動が書かせたのかもしれませんね.
度々延期になってますけど,もうすぐライブアルバム「Catch-Flame!」が出ます.SHOUT TO THE TOPやThat's ENTERTAINMENTが収録されていますのでこのアルバムあたりから如何でしょう?
Commented by onomichi1969 at 2006-06-04 10:33
yanzさん、こんにちわ。
Walls Come Tumbling Down! は人気がありますよね。僕も大好きな曲です。ポール・ウェラーのソロはまずは3作目をAmazonで注文したところです。すごく売れたって聞きましたので。。
僕自身はJAMを肯定するとか、スタカンを否定するとかは全くなく、ソロワークを含めてポール・ウェラーの生き様を感じたいということでしょうか。ただ、最近思うのは僕自身も30代後半を迎えて、80年当時にピート・タウンゼントが意識したであろう「ロックの限界」というものがすごく理解できるということです。どんなミュージシャンにもあったであろうそういった折り返し点をどう乗り越えていったのか。なんとなくそういったものに興味を覚えてしまうのです。
Commented by yanz at 2006-06-04 11:38 x
「ロックの限界」という言葉に引かれてまたコメントします.
ロックというとpunkがそうであったように反体制の急先鋒として語られますけど,それだけを求心力にして活動することは,ANGRY YOUNG MANには必然のことですし,リスナーとしてもそれを期待することすらあります.若さというのは,そうものであると思いますしね.
でも,ロックは多様化してきてますし,年齢を重ねるとともに,初期衝動だけでは活動できなくなる地点があるはずです.それをある人は「ロックの限界」と捉えるのかもしれませんね.
それを乗り越えられるのは,いかに音楽そのものに対する興味を失わないかでしょう.P.Wはそれがブラックミュージックであり,批判の対象となった昔聴いたWHOであるはずです.ただし,P.Wの場合少し異なるのは,そういった音楽への執着を持ち続けることに加え,年齢とともに表現方法は違っていますが,メッセージを送り続けてくれているということではないでしょうか?きっと彼は今でもmodsなんですね.そして,その姿勢の変わらなさに人は惹かれるのだと思います.
てっきり尾道の方かと思っていたのですが,違ったようですね(^^)
Commented by onomichi1969 at 2006-06-04 12:59
yansさん、コメント有難うございます。
ポール・ウェラーのソロ作を聴くのが楽しみになりました。
僕自身はWHOこそがROCKという概念を体現したバンドだと思っているので、彼らが70年代後半にぶつかったであろう壁については真摯に受け止めたいと思っています。ある意味でそれは真摯さ故に抱えるべきものだとも思っているのです。
ちなみに、、、出身は静岡で、学生時代は名古屋に6年住んでいました。錦三や女子大小路にもよく行ったなぁ。。。
Commented by ナイアガラ at 2006-08-19 01:08 x
ポールウェラーは死ぬほど好きなアーティストでありまして、
THE JAM、THE STYLE COUNCIL、ソロ...全てのアルバムは制覇してます。
中でも一番好きなのは、やっぱりスタカン時代ですね。
ポールウェラーのソロも傑作揃いですよ。
Commented by onomichi1969 at 2006-08-19 02:02
ナイアガラさん、こんばんわ
ポール・ウェラーの"Stanley Road"は噂に違わぬ素晴らしいアルバムでした。といってもまだ1枚クリアしただけですけど。ジャム時代からソロまで全てを制覇しているなんてすごいですね。素晴らしいです。
僕はとりあえずほどほどにしておきますw
Commented by V.J. at 2006-08-21 17:10 x
はじめまして。
V.J.と申します。
Wellerについての記事拝見しました。
僕と歳が近い?せいもあり、とても共感するところも多く、また、P.タウンゼンドとの対談の話等も興味深く読ませて頂きました。
拙い文章ですが、私もWellerについて以前触れている記事がありますので、TBさせて頂きました。
非常に面白い内容だなぁ。と、思いました。
少し、記事を拝見させて頂きます。
突然のコメント失礼致しました!
Commented by onomichi1969 at 2006-08-22 01:51
はじめまして、V.J.さん。
ウェラー完全肯定!!なんとなく分かるような気がします。
これも彼の人間性、その誠実さのなせる業なんでしょうね。
どんなにスタイリッシュさを装っていても、その表情から滲み出てくるものがありますよね。確かに。
そういうところに魅かれる気持ちはとてもよく分かります。

とりあえず、今後ともよろしくお願いします。
(ブログ拝見しましたが、リンク先も知った方々が何人かいらして、、、とても近しい感じがしましたw)
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