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semスキン用のアイコン01 David Bowie "Scary Monsters"(1980) semスキン用のアイコン02

  

2006年 04月 03日

a0035172_212772.jpgシルエットや影が革命を見ている
もう天国の自由の階段はない

俺、現実から閉め出され、何が起こっているか分からない
何処に教訓はあるか、人々は指を折られている
こんな独裁者に卑しめられるのは哀しい

新聞は書きたてるさぁ!

難民の記録映画、標的を背にした恋人達
道に石を投げれば粉々に砕け、昨日に蓋をすれば恐怖は増す
俺の頭に弾を撃ち込めば、新聞は書きたてる。。。

- David Bowie "It's No Game, Pt. 1"
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ボウイの華麗なる70年代を締めくくる傑作であるのと同時に、その後の80年代の低迷を考えれば、彼の最後のピークであり、分岐点ともなった作品。それがDavid Bowie "Scary Monsters"(1980) である。
冒頭を飾る"It's No Game, Pt. 1"や"Scary Monsters (And Super Creeps)"、"Ashes to Ashes"などの名曲を含む。アルバムを通し、ボウイの狂気性とポップセンスが融合しており、まさにそこには狂気の潜行という、来るべき80年代を予感させるモチーフを見出すことができる。楽曲的にいえば、ボウイ的ギタリズム、ギターサウンドへのこだわりが特徴的だ。ロバート・フリップやピート・タウンゼントのギターがこのポップなアルバムをより硬質でメタルチックに彩る。

このアルバムの特徴は、冒頭と最後を飾る二つの"It's No Game"に現れているかもしれない。前に狂気性とポップセンスの融合という言葉を使ったが、モチーフである"It's No Game"の二つのバージョンがそれぞれのパート(狂気とポップ)を担っていることを考えれば、それは融合というよりもある意味で分離のようにも思える。ボウイは何故、このアルバムに"It's No Game"の全く違う二つのバージョンを収めたのか。ひとつは日本語の逐次通訳を絡ませたボウイの絶叫で、まさに彼の70年代を引き摺る狂気を演出したバージョンであり、もうひとつはその後の"Let's Dance"(1983)にも通じるポップで凡庸なバージョンである。これがこのアルバムに通底するある種の二重性、微妙な不調和を紐解く鍵となるのではないか。

80年代とは、70年代までのあからさまな狂気が無意識という領域に潜行した時代と言われる。それは、無根拠な能天気さと空虚さが同居した時代でもあり、それは同時にポップの勝利とも呼ばれた。
1969年に地球を飛び立ち、狂気に囚われたボウイは、常に世界を超える存在であり続けた。70年代、時代は結局、ボウイに追いつくことが出来なかった。そして80年代を迎え、ボウイは時代が別の方向へと向かっていることを痛切に感じたはずだ。ボウイは自らの思いを秘め、氷を斧で叩き割り、そこへ降り立つ決心をする。その結果こそが冒頭の"It's No Game, Pt. 1"に対する最後の"It's No Game, Pt. 2"だった、、と思えなくもない。

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David Bowie “The Rise and Fall of Ziggy Stardust”(1972)のレビューはこちら!
David Bowie ”Station to Station”(1976)のレビューはこちら!
David Bowie "Hunky Dory"(1971)のレビューはこちら!
David Bowie "Low"(1977)のレビューはこちら!
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by onomichi1969 | 2006-04-03 02:27 | 80年代ロック | Trackback(1) | Comments(2)

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Tracked from 昔の洋楽が好きなのでつ(.. at 2006-08-20 23:49
タイトル : デヴィッド・ボウイ 「スケアリー・モンスターズ」
今日のジャケ画は、David Bowie 「Scary Monsters」 70年代のグラム時代、米国に渡ってのダンディ時代、 そして実験的なベルリン時代と、 七変化の如く鮮やかに変化しながら時代をリードし駆け抜けてきたボウイ。 本作では80年代の幕開けにふさわしい、ゴ...... more
Commented by もりたん at 2006-08-20 23:53 x
ども!イッツ・ノーゲームのナレーションの台詞だ~!(・∀・)b
「新聞は書きたてなさ~~いっ」
この特徴ある威圧的な声がいつまでも耳に残るんですよね。
というか、このナレーションの女性、羨ましいです~!(^^ゞ
プロのナレーターの人じゃなくて、ボウイの知人だかの紹介で
見つけた人だっていうウワサを聞いたことあるんですけど
一体何者なんでしょうね??(^^ゞいまだに謎w
Commented by onomichi1969 at 2006-08-21 00:25
ども!もりたんさん。
声の主は、ピーター・ガブリエルとの共演経験もあるパーカッション奏者、廣田丈自氏夫人のミチ・ヒロタさん、、、だそうです。

確かに素晴らしい声で、この歌の印象を決定付けていますよね。
最初はボウイ自身が歌う予定だったそうですが、もしそうだったらまた違った印象になっていたでしょうね。ボウイは当時から日本語で歌を歌いたかったようで、それは後に実現することになりますが。。。

http://www.dzppr.com/disc/davidbowie/bowiealbum3.htm
http://itsnogame.blog31.fc2.com/blog-entry-14.html#m14
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