CHARA 『Junior Sweet』(1997)
2005年 10月 09日
その後、CHARAは岩井俊二の大作映画『スワロウテイル』に主演し、映画の挿入歌をYen Town Bandのボーカルとして歌って大ヒットさせる。サントラもヒットし、彼女自身のベスト盤も発売、いよいよ彼女自身のブレークも間近、オリジナル・ソロ発売への期待が膨らんだものだ。
そこへ満を持して登場したのが、本作"Junior Sweet"(1997)ということになる。
先行シングル「やさしい気持ち」はCMとタイアップして売れるべくして売れ、その余勢を駆ってのアルバム発売であった。全ての条件が揃い、最高の状況でアルバムが発売される。アーチストにとっての最高作というのは往々にしてそういった時の勢いの中で生まれるものなのだろう。
彼女にとっての最高の時の最高のアルバムはそれを正当化するだけの充実した内容となっている。
1.ミルク
2.やさしい気持ち(しあわせ・ヴァージョン)
3.しましまのバンビ
4.私の名前はおバカさん
5.タイムマシーン
6.勝手にきた
7.どこに行ったんだろう?あのバカは
8.私はかわいい人といわれたい(オリジナル・ヴァージョン)
9.ジュニア・スウィート
10.花の夢
11.愛の絆
12.せつないもの
楽曲は佳曲揃いで、構成的なバランスも良い。
僕はこのアルバム以外では、BestとYen town bandしか持っていないのだが、以前のアルバムに比べて色合いがバラエティに富んでいるし、とにかく曲がいいと思う。1,2,9が特に秀逸か。。
CHARAの魅力とは、その独特の歌声にある。決して上手いとはいえないけれど、確実に僕らの心に届く響きがある。それはたぶん彼女が心を振り絞って歌う、その魂(ソウル)から届けられる歌声であり、それが正にオンリーワンの、彼女にしかない表現力なんだと思う。そういうオンリーワンの魅力があるからこそ、彼女こそが日本一の女性ボーカリストだといっても過言でないとさえ僕は思うのだ。
とにかく"Junior Sweet"は、彼女の一番輝いていた時期が見事にパッケージングされたアルバムなのだと思う。そもそも輝きというのは永遠ではない。それは言ってみればバトンリレーのようなものだ。アーチストからアーチストへ伝えられるバトン。だからこそ僕らはそんな輝きの連鎖を愛すべきロックの名盤として聴き連ねていくのだ。
by onomichi1969 | 2005-10-09 23:22 | 日本のロック | Trackback | Comments(0)