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semスキン用のアイコン01 Roxy Music "Siren"(1975) semスキン用のアイコン02

  

2006年 09月 24日

a0035172_10543285.jpgロキシー・ミュージックはその誕生から終焉まで、自らの音楽的理想へと着実に歩を進めた。その到達点が"Avalon"(1982)であり、そこを終点とした直線には微小なばらつきしかない為、彼らの道程に明確な分節点は見出し難い。

ロキシーを歴史的に見れば、デビュー作"Roxy Music"(1972)から"Siren"(1975)を前期、"Manifesto"(1979)からラストアルバム"Avalon"(1982)までを後期と呼び、それぞれをグラム&アバンギャルドな早熟期、アダルト・オリエンテッドな成熟期と称することができるだろう。
彼らの前期と後期の間にある4年の活動休止期間には、当時最大のロック・ムーブメントであるパンクの潮流が起こっており、ディスコから派生したダンスミュージックの類型もほぼ出来上がりつつあった。
その前後でロキシー・ミュージックは"Siren"で一度解散し、"Manifesto"で復活するわけだが、このロックの大きな分節点にを挟んで作られたロキシーの2作品の間に明瞭な方向性の違いはあるのだろうか?答えは否である。改めてこの2作品を聴いてみれば、これらが確実に繋がっていることが分かる。それも時間軸を横軸として直線的に。
これを音楽的形而上性と呼ぼうか。
ボウイが作品によってゆるやかな振幅を描いていったのとは対照的にロキシーの行き方は直線なのである。そこに感じるのはヨーロッパ形而上的な合理性、幾何性、科学的なゆるぎなさに裏打ちされた歴史性なのである。その絶対性は、当時のロック的な背景にもほとんどぶれない。それは同時にロキシーの歴史性、絶対性であり、彼らの音楽的道程の大きな特徴といえるだろう。

しかし、そんな彼らのヨーロッパ的な歴史性を反映した行き方とは別に、彼らの音楽性そのものには別種の確信を見出すことができる。それが反ヨーロッパ的な非対称性の美という追求なのだ。そもそもロックとは非対称的な音楽であり、対称性の破壊を前提にしたものである。そこに調和があるとすれば、それは非線形にならざるを得ない。イングランド庭園の対称的な美と日本の寺院の枯山水的な美を思い浮かべてみて欲しい。日本的な非線形的調和の美。これこそがロック的な調和であり、ロキシーの目指した究極の美であろう。それはその根本からして反ヨーロッパ的なのだ。

今回、彼らの5枚目であり、前期最後のアルバムでもある"Siren"(1975)を取り上げる。
本来、彼らの直線性を考えれば、その到達点であり、歴史の終わりである"Avalon"(1982)を紹介すれば話も終わりなのだが、それで彼らの魅力を語りつくせるか?といえばまたそれも違うのである。音楽性とそこから沸き立つ魅力の関係は必ずしも直線ではない。それがロックの文学的視点であり、僕はやはり"Siren"(1975)も大好きなアルバムなのだ。

このアルバムはロキシー前期の集大成であり、最高傑作として位置づけられている、そのことに全く異存はない。彼らの音楽性に対する評価は右肩上がりなのだから。
ロキシーの名曲として名を馳せる01 Love Is the Drugや02 End of the Lineは既にしてブライアン・フェリーのダンディズムがポップミュージックとして成熟しつつあることをうかがわせる。3作目の"Stranded"(1973)あたりから見出せる、ある意味で真っ当なロック志向はここにきて彼ら独自の美的世界を掴まえつつあるのだ。
03 Sentimental Foolや07 Both Ends Burningには彼らのインストルメンタルな魅力、音への拘りを感じさせ、また09 Just Another Highでの抑えられた叙情性は、そのまま"Manifesto"(1979)の1曲目に繋がるではないか。

いよいよ次は"Avalon"(1982)か。
"Avalon"という最後の作品に込められた魅力。その究極性が僕らに何を届けるのか僕は語りたいと思う。その音楽的分析や評価についてはもはや語りつくされているし、素人の僕が付け足すことは何もないということも実際のところなのだが。。

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Roxy Music "Roxy Music"(1972)のレビューはこちら!
Roxy Music "Manifesto"(1979)のレビューはこちら!
Roxy Music "Avalon"(1982)のレビューはこちら!
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by onomichi1969 | 2006-09-24 10:51 | 70年代ロック | Trackback | Comments(0)

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