Rock and Movie Reviews : The Wild and The Innocent

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semスキン用のアイコン01 David Bowie ”Station to Station”(1976) semスキン用のアイコン02

  

2005年 08月 27日

a0035172_22132640.jpgデビッド・ボウイほど70年代のロックシーンを華麗に駆け抜けたミュージシャンはいないだろう。僕は以前『ジギー・スターダスト』のレビューでデビッド・ボウイはK.WESTの下に佇むZiggy Stardustとして、この作品の中に永遠に封印された、と書いたが、実際のところボウイにとっては、これがほんの一つのステップに過ぎないとでも言うように、その後も華麗に変化し続け、そのスタイルを次々と虚像に変えていくのである。

今季のSIGHT誌が1975年に飛躍したミュージシャンとして、ブルース・スプリングスティーンとデビッド・ボウイの2人を取り上げていた。奇しくも2人とも米英の代表的なディランズ・フォローアーであることを考えれば、これはボブ・ディラン的なロックの真の意味でのメジャー化(大衆化)と言える現象なのかもしれない。但し、ブルース・スプリングスティーンが75年の大ヒットアルバム『明日なき暴走』を境として、セルフ・イメージの固定化を図っていったのとは対照的にデビッド・ボウイはあくまでパブリック・イメージを裏切り続けることにより、ある種の快楽を感じさせる稀有なキャラクターであることを維持し、そのことが彼自身の本当の飛躍を阻害していたということも事実として言えるだろう。(もちろん、本人にとってそれは狙い通りなのだろうが)

今回取り上げるのは、David Bowie ”Station to Station”(1976)である。このアルバムは大ヒットした75年の作品”Young Americans”に続けて発売されたものであり、無駄なキャッチーさを極力排除してシェイプアップされたダンスサウンドと微妙に歪んだメロディが特徴的な傑作である。収録曲は6曲でありながら、その内容は充実しており、バランスは絶妙と言わざるを得ない。アルバムの代表曲であり、10分に及ぶ大作01 Station to Stationからファンキーな02 Golden Yearsの流れがまず素晴らしい。そして、幻想的で美しい03 Word on a Wing、再びアップテンポな04 TVC 15、ロックサウンドが響く05 Stay、ラストを飾るロキシー的なダンディズム06 Wild Is the Wind と、後半も負けてはいない。

この時代のボウイの音楽的変化は必ずしも劇的ではない。”Space Oddity”から始まる70年代の歩みの中で、このアルバムは”Aladdin Sane”、”Diamond Dogs”、”Young Americans”という流れの中に確実に位置するし、次作の”Low”へもスムーズに繋がるのである。
改めて言うまでもなく、70年代のボウイの作品はどれも名作と呼ぶに値するが、当時流行りのダンスサウンドを大胆に取り入れながら、ディスコサウンドとは決して呼べないような歪んだ情念を浮かびだすボウイの声。ある意味で彼のこの声も天才性所以の響きをもつといえるだろう。

SIGHT誌のボウイの記事はRS誌時代のキャメロン・クロウが書いたものだが、これを読めばボウイという人間が計算高く鼻持ちならないアンチロックンローラーでありながら、同時に唯一無比の光り輝くロック・スターであったことが分かる。正に只者ではない、地球に堕ちてきた男、デビッド・ボウイなのである。

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David Bowie “The Rise and Fall of Ziggy Stardust”(1972)のレビューはこちら!
David Bowie "Hunky Dory"(1971)のレビューはこちら!
David Bowie "Scary Monsters"(1980)のレビューはこちら!
David Bowie "Low"(1977)のレビューはこちら!
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by onomichi1969 | 2005-08-27 22:14 | 70年代ロック | Trackback(2) | Comments(6)

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Tracked from RockだっPon!! at 2005-09-24 21:17
タイトル : カメレオン・アーティスト!
Station to Station  / David Bowie [1976] 70年代から第一線で活躍し続けている英国を代表するアーティスト。あらゆるジャンルの音楽を自分流に料理し、第一級品として世に送り出してきた。 デビッド・ボウイ :地球に落ちてきた男 一番最初にリアル・タイムで聴いたボウイのアルバムがコレです。まず1曲目のアルバム・タイトル曲のStation to Station、 汽車ポッポの音がいいんです。当時としては、これが最新のシンセサイザーで作った音だったんでしょう...... more
Tracked from ”Mind Resolve” at 2005-11-17 17:55
タイトル : David BowieのTin Machine ~ ロッ..
        ブログっていうのは、 ”WEB ” と”LOG”というコンピューター用語が合わさった言葉らしいけど 今世紀初頭の、この”流行りモノ”は日本国内にとどまらず、むしろ、 海外のユーザーの、その盛り上がり方はハンパじゃない。 例えば、今や自分でネット・バンク... more
Commented by blues1974jp at 2005-08-31 06:39
トラベルバトン、なんとかクリアです。書き出してみると、行った事のあるところより、これから行きたいところが多すぎて! 
 シン・ホワイト・デューク時代、このあたりの三部作はボウイの現在に続く流れがすでにあるというべきか、80年代の大ポップ路線の胎動というべきなのか微妙ですが、音楽史に残る1枚だと信じます。駅から駅へということで、トラベルバトンのコメントはこちらwに書きました。
Commented by onomichi1969 at 2005-08-31 07:50
blues1974さん、
トラベルバトンご苦労様でした。なかなかよいペースですw
blues1974さんにはボウイをいろいろと勧めていただきまして、、
ここ半年くらいで結構聴きましたよ。
まずは「駅から駅へ」ということで、このあと「低」とかも行こうかなと思ってますぉ、そして「正気の若者」も。。。
Commented by teacherteacher at 2005-09-04 21:43
このCDは、おまけトラックも入れて「8曲」しか収録されていないのに、お腹いっぱい!
中味が、とっても濃いのです。
タイトル曲の「Staition To Station」も、好きな曲ですが
何といっても、2曲目の「ゴールデン・イヤーズ」の、腰砕け感がたまりません。
前作の「ヤング・アメリカン」も、いいですね~(´∇`) ファスシネイション~♪
・・ところで、ススキノで大暴れした話のエントリィは、まだですか? わくわく
Commented by onomichi1969 at 2005-09-22 00:13
teacherさん、こんばんわ。
ボウイの次のターゲットは「ハンキー・ドリー」かな。
チェ、チェ、チェ、チェーンジ~♪

ススキノで大暴れした話はー、
ジンギスカン付きのビアホールで大ジョッキを乾杯で割りまくったこと、ビール飲み放題がビール浴び放題になってしまたこと、噴水で泳いだこと、夜の街を裸で走り回ったこと、まぁこの程度の記憶はありますが、多く記憶にございません。
Commented by taha at 2005-09-24 21:21 x
TBさせていただきました。
LOW、HEROES,もいいですがこのアルバムも好きです。

Golden YearsとTVC 15がいいです!
Commented by onomichi1969 at 2005-09-24 23:12
はじめまして、taha様
70年代のボウイのアルバムはすべて好きです。
その中でも”Station to Station”はトップを争う作品でしょうね。

taha様のブログも拝見させていただきました。
JAPANのレビュー、素晴らしいですね。ボウイとブライアン・フェリーを参照した部分の表現、、とても唸りました!
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