Rock and Movie Reviews : The Wild and The Innocent

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semスキン用のアイコン01 The Doors ”L.A. Woman”(1971) semスキン用のアイコン02

  

2005年 05月 04日

a0035172_4145962.jpg僕にとっては、ドアーズのアルバムの中で、1st”The Doors”(1967)が最も印象深く、やはり1枚選ぶとすれば、”Break on Through (To the Other Side)”や”Light My Fire”、”Back Door Man”、”The End”といった名曲を含む1stアルバムに落ち着くのだろうと思う。ドアーズの1stアルバムは、ジム・モリソンのカリスマ性とバンドの特徴が見事に結実しており、とにかく圧倒的なのだ。
2nd”Strange Days”(1967)も素晴らしいアルバムである。正直言って、1stアルバムがあまりにも圧倒的で、ドアーズは、1st のラストを飾る”The End”の暗闇を永遠に彷徨っているべきなのだ!と思ったこともあったが、冒頭曲”Strange Days”はそんな暗闇をポップなキーボード音で軽快に切り裂いてみせる。アルバム”Strange Days”はシンプルでポップな佳曲揃いであり、モリソンの浮遊するようなstrangeな歌声も印象に残る。ある意味で1stに匹敵する作品だといえる。
その後は、”The Celebration Of The Lizard”の挫折やモリソンの不調など、楽曲はそれなりであるが、アレンジがオーバープロデュースなどと言われ、あまり評判の良くないアルバムを3作続けて発表する。確かに初期の衝撃性が薄れ、あまりにも普通っぽい、ドアーズライクなドアーズがそこにいる。

そんなマンネリズムを一蹴すべく、71年に発表されたのが彼らにとっての6作目、
”L.A. Woman”(1971) である。

僕はこのアルバムをドアーズのアルバムの中で一番よく聴く。このアルバムは、彼らにとって起死回生とも言うべき充実した内容であり、楽曲も素晴らしいが、演奏もここ数作でみられたオーバーダブ的な音ではなく、ライブ感覚に溢れ、彼ら本来の音を強調した作りとなっている。

まず、”01 The Changeling”のドアーズ風ファンクサウンドが素晴らしい。モリソンのボーカルは決してソウルフルとは言い難いけど、以前にはなかったノリに加え、飄々とした味わいと重厚さを感じさせる。続く”02 Love Her Madly”の軽快感と”03 Been Down So Long”の力強さ、” 04 Cars Hiss by My Window”のストーンズ風ブルージーな味わいも良い。そしてAサイドを締めくくる表題曲”05 L.A. Woman”は楽曲、演奏ともに充実しており、モリソンの声がなんともいえない切実感を醸し出している。歌詞にもL.A.に対する彼らのこだわりを感じる。

Bサイドも冒頭から、エキゾチックな味わいの”06 L'America”、ドアーズ風バラードナンバー”07 Hyacinth House”、ドアーズ風ホットなブルースソング”08 Crawling King Snake”などなど、彼ら特有のダウナーな雰囲気ながらバラエティに富んだ楽曲が続く。
そして、このアルバムのラストを飾るのは、大作”10 Riders on the Storm”である。静謐で重厚な彼らのラストソングに相応しい1曲である。しかし、ジム・モリソンは、このアルバムの冒頭で「自分は確かに壊れかけたが」「変わった俺を見てくれ」と言っていた。

そして、ここでも、
Sweet family will die (気楽な家族は死ぬだろう)
Killer on the road (路上には殺人者が)

しかし、
Our life will never end (人生は決して終わらない)
Gotta love your man (恋人を愛せよ)
と歌う。

このアルバムは、彼らの出発であり、「終わりの始まり」であった。本当の意味で、彼らの”The End”の呪縛からの再出発がこのアルバムだったはずなのである。しかし、それは図らずも「始まりの終わり」となってしまった。
1st”The Doors”は、このラストアルバム”L.A. Woman”によって初めて出口への明かりを灯された。しかし、それは一筋の可能性の灯としか今では認識されない。そういう風にドアーズは幕を閉じる。それがドアーズの歴史であり、ひいては60年代ロックの行く末でもあったのだと、今では感じられるのである。


<追記>
気がつけば、このエントリーで記事数100件でした。
はやいもので、、、
ちょっと覚書:100件の記事 | 264件のコメント | 24件のトラックバック | 5,131アクセス数 (2005年5月4日 10:16)
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by onomichi1969 | 2005-05-04 04:41 | 70年代ロック | Trackback(1) | Comments(14)

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Tracked from 音楽の杜 at 2007-07-28 08:10
タイトル : The Doors 「L.A. Woman」(1971)
ジム・モリスンの遺作であり、骨太なドアーズのアルバム 今年はドアーズ結成40周年ということで、これからドアーズ関連のアルバムがいろいろとリリースされます。まずは25日のベスト盤、8月29日のオリジナルアルバム6枚の紙ジャケ化と続きますね。 さてドアーズですが、この偉大なるバンドをご存知ない方も多いのではないでしょうか? 1960年代後半を中心に活躍したバンドで、ヴォーカルのジム・モリスンの文学的かつ風刺の効いた詞と、セクシャラスなステージング、ブルースを土台にオルガンを中心に据えた独特の...... more
Commented by teyukun at 2005-05-04 11:11 x
こんにちは。
たまに無性に#2,5を聞きたくなるのでかけます。
今回onomichiさんのレビューをみて、改めて聞くと、全曲カッコいい・・・。
もう少しこのアルバムを聞きなおしてみます。
Commented by teacherteacher at 2005-05-05 00:13
「 Love Her Madly」、かっこいいですね~。
ドアーズだったら「まぼろしの世界」と「太陽をまちながら」が、ヘビーローテーション!
・・・関係無いけど、オルガン弾きのレイさんは、テクニシャン~(´∇`)
ベーシスト不在のバンドなのに、オルガンでリズム刻んでるし、すごいと思う。
Commented by onomichi1969 at 2005-05-05 09:12
teyukunさん、おはようございます。
この『LAウーマン』というアルバム。かなりシャープです。
ジョンレノンの『スターティング・オーバー』もそうですが、これほど始まりを象徴するラストアルバムはないのだと思うのです。。
Commented by onomichi1969 at 2005-05-05 09:32
teacher2さん、おはようございます。
レイさんのオルガンは素晴らしいですね。
そしてギターのロビーさんも忘れちゃいけないです。(コンポーザーとしても優秀でした。『ハートに火をつけて』の作詞作曲!)
確かにドアーズはベースレスバンドでレイさんとロビーさんがそれぞれベース音を補うことでサウンドを構築していきます。ロビーさんも、ピックを使わず、親指でベース・ノートを弾きながら、他の指でソロを弾く独自の奏法を確立します。
『ハートに火をつけて』の間奏も素晴らしいですねー。
ドアーズは演奏だけでも十分に聴かせるバンドであることは間違いない!のです。
Commented by oldblues at 2005-05-05 17:36
onomichiさん、みなさん、こんにちは
現在職場から繋いで書いてます。ぼちぼち帰りたいけど、6時から会議もあるんだよなあ(泣)

それはさておき、記事数100件達成ですか。すごいですね~
しかも今このサイトを覗いたら、いきなり記事が増えてるし・・・
今後も頑張ってくださいね

さて、ドアーズですが、僕は「太陽を待ちながら」の1曲目「ハロー・アイ・ラブ・ユー」が一番好きなんですよ。シングルでヒットしたし、けっこう思いでもあるもので・
ん、ちょっとミーハーですか?(笑)
Commented by teyukun at 2005-05-05 21:21 x
こんばんは。
DOORSは、どのアルバムにも聞きどころがあって一枚を選ぶのはとても難しいですね。

>ジョンレノンの『スターティング・オーバー』もそうですが、これほど始まりを象徴するラストアルバムはないのだと思うのです。。

まったくこの言葉には、同調させていただきます。
Commented by onomichi1969 at 2005-05-06 01:55
oldblues様、こんばんわ。
休日勤務ご苦労様です。ちなみに僕は10連休の完全休暇ですw
まだまだ休みが続きますねー。GWにこんな休めるのは初めてなので、とても嬉しいです。

『太陽を待ちながら』も結構人気が高いようで。。
『ハロー・アイ・ラブ・ユー』も大ヒットしましたからね。
改めて聴き直してみると、結構いけますねw このアルバムも。。。
Commented by onomichi1969 at 2005-05-06 02:00
teyukun様、こんばんわ。
ドアーズのオリジナルでは、『モリソン・ホテル』だけ持ってません。『LAウーマン』に繋がるアルバムなので、やはり聴いておこうかなと。。
今度買うぞリストに挙げておきました。

<今度買うぞリスト>
イアン・デューリーのライブ
ドアーズ『モリソン・ホテル』
Commented by teyukun at 2005-05-06 23:49 x
こんばんは。
『MORRISON HOTEL』も名曲“WAITING FOR THE SUN”をはじめ、佳曲ぞろいですね。
僕は、特に『THE SOFT PARADE』を好んで聞きます。
“THE SOFT PARADE”のぐるぐる廻る感じがたまりません。

<今度買うぞリスト>面白いですね(笑)。
Commented by teacherteacher at 2005-05-07 04:03
こんばんは~(スミスネタに、コメント出来ない、あぁぁ・・)
>イアン・デューリーのライブならば「Straight From The Desk」がイチオシ!(高いけれど)
音は悪いのですが、バンドの絶頂期のライブなので、ノリが違ーーーーう!
更に、故・チャーリー・チャールズ+ノーマン・ワット・ロイのリズム隊の絡みに悶絶必至!
ファンキーベーシスト、ノーマンのプレイは熱いぜ~(´∇`)
Ian DuryのMCも面白いでごんす!平気で「ア●ホ~ル~♪とかFuckin’とか言うんだ・・このおやぢは。 Oi Oi~♪
「Do It~」の再発盤のdisk2!幻のライブスティッフの音源がーーー!
おまけトラック無しの紙ジャケ盤も良いのですが、このライブ音源には涙です!
・・・ドアーズの「ハローアイラブユー」、ジョン・ベルーシの「ネイバーズ」に
使われてましたね(D・エイクロイドがパスタを作るシーンw
Commented by onomichi1969 at 2005-05-07 20:34
teyukunさん、こんばんわ。
『ソフト・パレード』もつくり込まれた傑作ですね。
うーむ、やっぱりドアーズの作品は全ていいです。
Commented by onomichi1969 at 2005-05-07 20:39
teacher2さん、こんばんわ。
スミスネタは全くかすりませんか。。。(ねらい通りの内角低めw オサレ路線ですな)
<今度買うぞリスト>のイアン・デューリーのライブは、もちろんteacherさんのお薦めで入れてあります。
悶絶必至のライブ楽しみですねー。

Commented by 240_8 at 2007-07-28 08:12
おはようございます。
TB有難うございます。
今更お恥ずかしいのですが、ドアーズはシングル曲は知っていても、アルバム単位で聴くのは本作が初めてかもしれません。
そういった意味で本作、1曲1曲はいわゆるシングルカット作品ではないものの、アルバムとして非常に味わい深いものですね。
ソリッドなドアーズもかっこいいです。
Commented by onomichi1969 at 2007-07-29 13:55
240_8様、こんにちわ。
確かにカラフルなイメージの"Sofe Parade"に比べて"L.A. Woman"はソリッドでアーシーで力強い印象がありますね。そこがこのアルバムの魅力なのでしょう。(前作の"Morrison Hotel"はいまだ未聴なので僕は分かりませんが先の2作の中間的味わいがあるようです。。。)
なんだかんだ言っても、ドアーズの6作は全て名盤と言ってもいいのでしょう。たぶん。

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