人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Rock and Movie Reviews : The Wild and The Innocent

onomichi.exblog.jp

ブログトップ

semスキン用のアイコン01 The Beach Boys "Surfer Girl"(1963) / "Shut Down, Vol. 2"(1964) semスキン用のアイコン02

  

2005年 03月 13日

The Beach Boys \"Surfer Girl\"(1963) / \"Shut Down, Vol. 2\"(1964)_a0035172_12591531.gifThe Beach Boys \"Surfer Girl\"(1963) / \"Shut Down, Vol. 2\"(1964)_a0035172_12593453.gifビーチボーイズのCDは、いわゆる2in1となっており、1枚分の値段で2枚カップリングCDを買えるからお得である。僕は単純にそう思っているので、このシリーズでビーチボーイズのCDを全て揃えている。
ビーチボーイズのアルバムを1枚選ぶというのは不可能だ。それは、飼っている20匹のネコから1匹選ぶのと同じくらい不可能である。グラビアアイドルから好みの女の子を一人を選ぶのとは訳が違う。愛着とはそういうものだろう。

とはいえ、今回は1回目の紹介ということで、彼らのごく初期の作品から1枚を選んでみた。

The Beach Boys "Surfer Girl"(1963) /"Shut Down, Vol. 2"(1964)
"Surfer Girl"(1963)は、ブライアン・ウィルソンが完全プロデュースした初めての作品である。ブライアン・ウィルソンは天才と言われるが、非凡な作曲能力、アレンジやコーラスワークで発揮される音への拘り、アルバムの構成力、発想力など、ブライアンの光り輝く能力は60年代中期の作品にこそ散りばめられていると言えよう。しかし、ブライアンが天才と言われ、ビーチボーイズの作品が僕らの心を捉えて離さないのは、ブライアンの歌声が漂わせるある種の切なさとその響きがあるからだとも言えないか。
そんなブライアンのファルセットの魅力は、初期のサーフ・ロックでのマイク・ラブの惚けたボーカルとの掛け合いにこそ現われているように思う。もちろん、他のメンバーも含めたコーラスゼーションも素晴らしく、コーラスだけでも聴き応え十分なのだ。
このアルバムは、これでもかというくらいの「サーフィン」「ウェイブ」「サマー」の連発だが、彼らの新たな魅力というか、ネタでもあるホットロッド系の代表曲06 Little Deuce Coupeなども含まれる。やはり出色は、01 Surfer Girlから03 The Surfer Moonの流れ、そして07 In My Roomに08 Hawaii、11 Your Summer Dreamあたりであろうか。

"Shut Down, Vol. 2"(1964)は、さらにパワーアップしている。このころのブライアンの成長ぶりは1作品ごとに目覚しいものがあるが、ここにおいて、彼らの代表曲でもある13 Fun, Fun, Fun、14 Don't Worry Baby、17 The Warmth of the Sun、21 Keep an Eye on Summerあたりで、既に彼らの初期サウンド、サーフロックとバラードの組み合わせも完成形に至ったことが分かるのである。楽曲も素晴らしいが、コーラスとサウンドに厚みが増し、そのサウンド・オブ・ウォールは格段に進歩していると言えよう。
特に、14 Don't Worry Babyを聴いて欲しい。この曲にこそ、ブライアンの天才的に哀しみに満ちた歌声を堪能できる名曲である。メンバーの美しいコーラス(マイクの低音も効果的だ)から浮かび上がるブライアンの切ないファルセットは涙なしには聴けない。その歌声がなぜこんなにも切ない気持ちにさせるのか、それは分からない。僕らの誰しもが持っている心の澱にさざめく波紋を立てさせる、彼の歌声からやってくる天性の響きなのだとしか言いようがない。

ビーチボーイズと言えば、"Today!"(1965)や"Pet Sounds"(1966)が有名であり、ブライアンのコンポーザーとしての天才性は、それらの作品において一般的に言及される。しかし、ブライアンの天才性のもう一面である彼の歌声を堪能するならば、やはり初期の作品がベストであろう。それを味わうことなしにビーチボーイズの素晴らしさを語ることはできないのだ。

つづく

-------------------
The Beach Boys "Little Deuce Coupe(1963) / All Summer Long(1964)"のレビューはこちら!
The Beach Boys "Today!(1965) / Summer Days(Summer Nights!!)(1965)"のレビューはこちら!

by onomichi1969 | 2005-03-13 11:13 | 60年代ロック | Trackback(1) | Comments(2)

Tracked from 音楽の杜 at 2007-08-12 22:08
タイトル : Beach Boys 「Shut Down, Vol. ..
初期ビーチボーイズらしい名曲集 やはり暑い夏にはビーチボーイズを聴かなくてはいけません! 私が大好きなBBソングは「Girls on the Beach」や「Sufer Girl」等BBらしい豊潤なコーラスのメロウソング。そして本作にはその典型的メロウソング「Don't Worry Baby」が収録されてます。 本作は1964年発表のビーチボーイズ5枚目のアルバム。1963年にキャピトル・レコードの車関連の曲を集めたオムニバス・アルバム「Shut Down」が発表されていたことから、本作...... more
Commented by 240_8 at 2007-08-12 22:10
こんばんは!
「Shut Down, Vol2」レビューしたのでTBさせて頂きました。

>13 Fun, Fun, Fun、14 Don't Worry Baby、17 The Warmth of the Sun、21 Keep an Eye on Summer

全て私のツボですね~。特にKeep~ 大好きです。あとWhy do Fools Fall in Love?」も好きです。このアルバム、遊びすぎの楽曲と名曲中の名曲の差が激しすぎますね。
Commented by onomichi1969 at 2007-08-12 23:12
240_8様、こんばんわ。
Why do Fools Fall in Love?もいい曲ですね。
それと、この頃の彼らのバラードは全て最高です。
確かにこのアルバムにはどうでもいいような繋ぎトラックもあって、ちょっと散漫な感じはしますね。アルバムトータルでの完成度は次作の"All Summer Long"に譲るとしましょうw (とはいえ、やはり遊び曲はまだありますけど、、、)
アクセスカウンター