Boz Scaggs "Moments"(1971)
2005年 03月 05日
彼のアルバムはデュアン・オールマンと共演したアトランティックでのファースト”Boz Scaggs”(1969)からAORの傑作”Down Two Then Left”(1977)まで持っているが、どれもこれも素晴らしい。何が素晴らしいかといって、やはり彼のメロウな歌声、これに尽きるのである。
声というのは、実は繊細な楽器でもある。彼の声は正にその繊細さを特徴とし、そのソウルを音楽として提供する一つのインストゥルメントである。まぁ簡単に言えば、痺れる歌声なのだ。
彼を語る際の骨子はそれに尽きるので、そのことだけを言う為に彼の全てのアルバムを紹介するのはナンセンスというものだ。しかし、まぁそれでは味気ない、ということで、これも全くの個人的な好みで彼のアルバムを紹介するとなると、(と言いつつ、僕は既に以前 ”My Time”(1972) を取り上げているが。。) 彼のレコード会社移籍後の初のアルバムであり、彼のルーツであるR&Bと新しいAOR的スタイルを融合した傑作”Moments”(1971) ということになるであろうか。
このアルバムの出色は、バラードの傑作”03 Painted Bells”であり、”05 Near You”であり、”07 Moments”だろう。もちろん、彼の得意パターンである1曲目のスカッと明るいスワンプ系のナンバーのオリジンである”01 We Were Always Sweethearts”も素晴らしい。
しかし、その中でも一番は、彼の数あるバラードナンバー中、”We're All Alone”や”Slow Dancer”に匹敵する傑作、”05 Near You”であろう。(個人的には、”My Time”(1974)収録の”Slowly in the West”も大好きであるが。。) この曲こそが、彼のメロウな歌声、その本質を最も表現し得たバラードの大傑作なのである。これはもう百聞は一見に如かず(百見は一聴に如かず。。。)である。ぜひ一度聴いてみて頂きたい。女性コーラスに妖しく絡まるボズの歌声は、軽快な楽曲のテンポと相まって、僕らの体をくすぐるように高揚していく。
この歌声を聴かずして、メロウは語れない。。。
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KISS "Alive!"(1975)のレビューはこちら!
by onomichi1969 | 2005-03-05 03:24 | 70年代ロック | Trackback | Comments(4)
最近ではAORというよりも、もっとファンキーでジャジーな音楽をやってるらしいですね
この人にも数々の名曲がありますが、onomichiさんがここで書いていらっしゃる以外に「スロー・ダンサー」も大好きです
基本的に彼の70年代のアルバムにハズレはなしです。デュアンのスライドギターとボズの歌声が妖しく絡むファーストアルバムでの名曲『ローン・ミー・ア・ダイム』も素晴らしいです。
そんなことがあったんですねー。
最初からカバーだと思ってましたが。。