Rock and Movie Reviews : The Wild and The Innocent

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semスキン用のアイコン01 Neil Young : Heart of Gold (2006) semスキン用のアイコン02

  

2012年 07月 14日

a0035172_1110212.jpgニール・ヤングのライブ・ドキュメンタリー映画である。

ニールとメンバーのインタビューは冒頭のみ。あとはひたすら彼のライブ・ステージを映す。ニールのライブ映像と言えば、クレイジーホース名義のハードロックギンギン、インプロヴィゼーション満載の"Year of the Hose"がある。1997年のジム・ジャームッシュ監督作品。こちらは、クレイジーホースに関心がない人にとって、単なるノイジーなおっさんバンドのステージを遠目に延々映している退屈な作品に見えるかもしれない。確かにエンターテイメントには程遠い作品である。

それに比べたら、本作はかなり観られるのではないかな? 場所がカントリーの聖地、ナッシュビルのライマン・オーディトリアムということで、ニール・ヤングのカントリー作品を中心にした曲構成となっている。音響が素晴らしく、温かみのある演奏がよく響く。特に後半は、"Heart of Gold"や"Old Man"、Needle of the Damage Down"など、有名な曲が続くので全く飽きさせない。彼にとってはナッシュビルに所縁のある"Harvest"、"Comes a Time"、"Harvest Moon"の3枚の傑作アルバムからの選曲が中心となっているのもいい。(個人的には80年代の"Old Ways"も仲間に入れてほしかったなぁと。。。)

本作の監督はジョナサン・デミである。ジョナサン・デミと言えば、彼の出世作、Talking Headsのライブ・ドキュメンタリー映画"Stop Making Sense"が有名である。これは、舞台演出をライブに取り入れた楽しい作品で、演劇的要素あり、アコースティックあり、ダンスあり、ポップアートあり、映像としてもライブ盤としてもエンターテイメント溢れる傑作だった。そもそも"Stop Making Sense"にはライブで盛り上がっているはずの観客が殆ど映らない。ライブ映像というよりも映像作品そのもの、音楽エンターテイメント映像作品である。バックショットなんかはスコセッシの"The Last Waltz"を彷彿とさせて、この絵がすごくカッコいいんだなぁ。

本作"Heart of Gold"も観客を一切映すことなく、ステージ上で演奏するニールや共演者たちの所作をひとつひとつ丁寧に映す。その絵がとても綺麗。ニールが歌う表情のアップ。ギターを爪弾く指の動き。ハーモニカを吹く時の口元。共演者たちとの距離感。彼の奥さんでもあるペギー・ヤングを含め、ギタープレイヤーたちが総勢で一列に並ぶ"Comes a Time"と"Four Strong Winds"。まるでスタジオ映像のように、演者たちのひとりひとりをじっくりと映し出す。観ている僕らはライブの観客の一員ではなく、まるでバンドの一員になったような錯覚に陥る。

アットホームなステージ。その中心に孤高として高音の声を響かせるニール・ヤングの立ち姿、その表情。彼は歌う。目をつぶり、そして、遠くを見つめる。彼が見ているもの。ロックの魂。60年代後半から70年代にかけて、人々を虜にし、消えていったロックの魂たち。すっかりold manとなりながらも威光に満ちたニールの表情を通して、「それ」を映し、捉えたことによって、本作は、スコセッシの"The Last Waltz"と並び、音楽ドキュメンタリー/ライブ映画の傑作になったと思う。2006年アメリカ映画
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by onomichi1969 | 2012-07-14 22:23 | 海外の映画 | Trackback | Comments(0)

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