Rock and Movie Reviews : The Wild and The Innocent

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semスキン用のアイコン01 Badfinger "Straight Up"(1971) semスキン用のアイコン02

  

2005年 01月 09日

a0035172_1784453.jpg70年代のロックといえば、バッドフィンガーを忘れちゃいけない。(teacherteacherさんのご指摘通り。。) とはいえ、僕が洋楽を聴き始めた80年代のロックシーンにおいて、これほどまでに忘れ去られた存在も他になかったのではないだろうか。
僕が持っているバッドフィンガーのアルバムは2枚。”No Dice”(1970)と”Straight Up”(1971) である。(ちなみにこのレビューを書こうと思って”Wish You Were Here”(1974)も購入したが、未だ聴いてない;) ということで、僕のバッドフィンガーのイメージを決定付ける曲は、やはり名バラード”Take It All”や”Name of the Game”である。これらの歌が届ける感触は、まさに70年代の空気感、質感、その温度であり湿度であり、それはある種の感慨を僕らにもたらす。

バッドフィンガーはビートルズの正統的なフォロアーと言われる。確かにビートルズの弟分として、アップルレコードからデビューし、ポールやジョージがプロデュースしたので、彼らのアルバムからは、ビートルズが解散せずに仲良く70年代を送ったとしたら。。。こんなん?という雰囲気が漂う。その甘い酸っぱいハーモニーは、ジョンとポール、ジョージのアンサンブルを彷彿とさせ、曲によっては、ビートルズの中-後期のアルバムからそのままスライドしてきたような錯覚すら覚える。
僕が好きなのは、どちらかと言えば”Straight Up”(1971) であろうか。
先ほど挙げた”Take It All”や”Name of the Game”は、彼ら特有のバラードソングである。そこにビートルズの影があるのは仕方ないとしても、やはりこれはバッドフィンガーにしか歌えない、味わいに満ちたバラードソングなのだ。
逆に、これらバッドフィンガーの曲から僕らは日本の70年代グループであるゴダイゴやSHOGUNを思い出すのではないだろうか? そこには、日本的な質感、いや、日本人好みの質感があると言えばいいか。悪く言えば歌謡曲的であるが、僕はそれを仄明るいポップ(来るべき明るさ全開80年代の100ワットポップの前章として)、抒情とポップの拮抗と言いたい。”Take It All” は、確かに僕らの琴線に触れる、とても人間味のある響きを持った曲なのである。
彼らの曲は複雑化していく70年代初期のロックシーンにあって、とても分かり易かった。そういう形(キャラクター)で世に提示されたのだ。それ故に当時はその安っぽさを論われ、80年代には全く省みられなかったのも、それはそれで仕方ないことだったのかもしれない。しかし、彼らのアルバムが忘却の80-90年代を経て、今でも熱心に聴かれ続けているのも事実である。僕はこのバンドが抱えることになる悲劇(中心人物ピート・ハムとトム・エバンズの自殺など)から漂う永遠性、ノスタルジックなイメージ以上に、バッドフィンガーこそ70年代の仄明るいポップに象徴される価値と意義をもつバンドだと思っている。
彼らこそ、60年代から70年代へ移行する中でロックの可能性を捉えそこなったが故に、ある種の哀しみを湛え続けた最も人間味溢れる70年代ロックバンドなのである。その希望と哀しみが交錯する”Take It All”。この曲を聴けば、誰だってそう思うんじゃないか。

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"Wish You Were Here"のレビューは、こちら
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by onomichi1969 | 2005-01-09 17:12 | 70年代ロック | Trackback(2) | Comments(6)

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Tracked from Happieness I.. at 2005-10-12 23:07
タイトル : Badfinger 【Straight Up】
1971年作品 お勧め度:♪♪♪♪♪ 一家に一枚の超名盤 代表曲 ♪Take It All ♪Baby Blue ♪Sweet Tuesday Morning ♪Day After Day このアルバムは胸キュンです。 渋いけれども力強いロックサウンド。 そんなテイストに、これまた「うーんまいった」と唸るひねりある甘さとけだるさ。 混沌としているようで整然としている、 時には傷つきやすい赤ん坊のようで、時には傍若無人な暴君のよう。 まさに裏腹な気分にさせるアレンジが...... more
Tracked from 音楽の杜 at 2008-05-11 20:14
タイトル : Badfinger 「Straight Up」(1971)
ビートルズの弟バンドというレッテルを貼られた名バンド ラズベリーズやパイロット、チープトリックが好きな私にとって、なぜかバッドフィンガーはそれほど聴きこんでいなかったグループです。今ではパワーポップの祖と云われている素晴らしきバンドですね。 ビートルズが興したレーベル、アップルからのデビュー、かつそのメロディがポール・マッカートニーを彷彿させるポップセンス溢れるもののため、常にビートルズのフォロワーと見られていたことは彼等にとってはマイナスに作用したのかもしれません。 本作は彼等の3...... more
Commented by teacherteacher at 2005-01-09 22:22
おぉ!Badfingerじゃないですか?(こうやって、タイプするだけで悲しい)
昔、兄が聴いていたので、何曲かは、今でもはっきりと覚えています。
「嵐の恋」「明日の風」「Without You」「Baby Blue」・・名曲いっぱい。
私が好きなのは「Love Time」っていう地味曲なのです。
とても切ない歌詞のラブソング、真面目に聴いていると泣きそうになります。
・・と、ラブソングが似合わないヨゴレキャラの私がコメント  (´∇`)

Commented by onomichi1969 at 2005-01-09 23:39
Badfingerです。
「嵐の恋」「明日の風」「Without You」「Baby Blue」・・全て名曲です。
「Love Time」は、”Wish You Were Here”に収録されている曲ですね。これは知りませんでした。今後聴いてみます。
Commented by minorock7 at 2005-10-12 23:07
とっても素敵な&賛同するレビューです。
非常にためになりましたのでTBさせていただきました。
Commented by onomichi1969 at 2005-10-13 22:40
minorock7さま、はじめまして。
貴ブログも拝見させていただき、こちらの方こそ、minorock7さんのセレクションにとても共感を覚えてました。
また、よろしくお願いします。
Commented by 240_8 at 2008-05-11 20:16
こんばんは!
古い記事にTBさせて頂きました。
「Take it All」、名曲ですね。
それにしてもピートの早すぎる死は残念です。ショービズに対するマネジメントがもっとしっかりしていれば・・・。
素晴らしい楽曲を創造していた方ですよね。
Commented by onomichi1969 at 2008-05-12 22:45
240_8さん、こんばんわ。
"Take It All"は本当にいい曲ですね。何度聴いても切ないです。
様々な迷いの中で何かを選ばないとならない、そのことの切なさを感じさせます。
そして、そこで失ったものの大きさを、、、しみじみと感じさせます。
70年代の曲なんですよね。これが。
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