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semスキン用のアイコン01 わが母の記 semスキン用のアイコン02

  

2012年 05月 04日

a0035172_18451452.jpg感動した。主人公の役所広司、その母親の樹木希林、素晴らしいキャストだった。

父親の死を境に徐々に痴呆の症状が顕在化していく母親の姿。その演技は、あまりにも自然で、人間味あふれていて、多くの人が自らの歴史の中の自分の祖母、或いは母親の姿を思い出したのではないだろうか。『歩いても 歩いても』でもそうだったけど、自然体で人間の凄味のようなものを醸し出せる樹木希林の姿は本当にすごい。それは悪意とか善意とかに区別できない、単純ではない、人間の得体の知れなさの断片であり、言葉の網の目から零れ落ちて、言い澱んだり、躊躇ったり、言い間違えたりしつつ出てくる感情でもある。人間の自然って本来そういうものなのだな。

主人公が子供の頃に書いた詩を思い出すシーン。何故、自分が湯河原に残されたのか。母親が夜中に誰を探していたのか。彼は全てを理解し、母親を赦す。そして涙を流す。しかし、主人公が母親に捨てられたという意識こそが彼の文学的源泉だったということも確かなのだ。夏目漱石も「母親に捨てられた子供」だった。愛情に対するある種の不幸な思い、その傷は、文学性を養う。

沼津の海のシーンもよかった。お互いがお互いを理解し赦しあうこと。何と感動的なことだろうか。母親を背負う主人公。その名前を呟く母親。とても幸福なシーンに涙が溢れた。
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by onomichi1969 | 2012-05-04 18:49 | 日本の映画 | Trackback(1) | Comments(0)

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Tracked from センタのダイアリー at 2012-05-06 00:41
タイトル : わが母の記 ★★★☆☆
ここに出てくる母は単なる認知症の女性ではない。 戦時中を子供を抱えながら生きてきた一筋縄ではいかない強い母なのである。 三人の娘と妻、そして2人の妹という主人公を囲む女性とは当然、母への理解も対応も異なり、そのような環境が母という一人の存在だけではなく、作家である主人公の作品にいかに強く深く影響を与えたか、詳細に描かれている。 樹木希林はこうした家族の中で母という存在を、それまでの壮絶な人生を感じさせるような迫力をもって演じている。 ユーモアを交えながらすべてを見透かしたかのよ...... more
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