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semスキン用のアイコン01 『男はつらいよ』全48作鑑賞に寄せて semスキン用のアイコン02

  

2012年 04月 29日

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約5ヶ月間かけて「完寅」達成しました。
映画『男はつらいよ』全48作鑑賞ということです。

最初は10作くらいで終わりにしようと思ったのだけど、あまりに面白くて次も次もとなる。そんな感じであっと言う間に全48作。最後の6作くらいはなかなか時間がつくれず、観れない時期が続いて、すごーく気持ちが悪かったのだけど、なんとかラストスパートでゴールすることができましたw

個々の作品の感想については、備忘録に書いたので、そちらを参照してほしいのだけど、総じていえば、『男はつらいよ』は最高に面白い!
初期には初期の溌剌とした面白さがあり、8作目から17作目くらいの充実期があり、18作目から24作目までの成熟期があり、25作目から32作目にはシリアスで奥深い寅さんがいて、30作後半の三船や長渕との共演もよかった。そしてゴクミシリーズ。このシリーズも個人的にはすごく好き。40作以降は渥美清の病状がよくなく、寅さんに元気がなくなってしまうのだけど、その代わりに満男が活躍する。彼を通して、また寅さんの魅力を再発見できるのだ。

夢のシーンから始まり、寅さんの帰郷。とらやでのドタバタ騒動があり、とらやを飛び出す寅さん。旅先で出会いがあり、別れがあり、そしてまた帰郷。寅さんの茶の間での語りがあり、茶の間談義があり、「お開き」がある。寅さんの恋愛、或いは恋愛指南があり、失恋があり、そして別れがある。それはいつしかお約束のパターンともなるわけだけど、そのパターンで描かれるテーマなり、ディテールにこそ、実は面白さがある。それはもちろん毎回微妙に違うのだけど、底流する思想や寅さんの倫理観は常に同じであるが故に、それ自体が回数を重ねる毎に奥行を得るのである。(それが歴史となる)

「完寅」により、全体として見えてくるものが確かにある。『男はつらいよ』シリーズ全体がひとつの流れとして、まるでジグソーパズルが完成した時のように、パズルのピースが全て嵌って、ひとつの絵がくっきりと浮かび上がってくる。それは車寅次郎という人間とそれを取り巻く人々の歴史そのものである。

26年間で48作。確かにそこには26年間の人物と家族と社会の歴史がある。学園闘争がピークを迎える1969年に始まり、阪神大震災の年、1995年に終了する。さくらと博の息子、満男が生まれ、そして社会人となり、泉と結ばれる。ただ単に登場人物たちの成長を連続ドラマとして追うだけなら、『渡る世間は~』とか他にもあるだろう。ただ、寅さんの場合にはその通過した時代が劇的なのだ。特に僕らの年代(1969年生まれ)は、寅さんの歴史(満男の成長)と自らの人生そのものが同時進行であることも感慨深い。それは、同時代的には全く意識できなかったことでもある。今、観るから面白いのかも。

シリーズを通してみて改めて感じる、車寅次郎とは、さくらとは、満男とは、何だったのだろう? それぞれのキャラクターとしての魅力と共に、彼らの生き様によって、時代を象徴する特徴的な人物造形であったり、また、時代を超えた本来的に有り得べき人間性、人間として大切であろう心の在り様であったり、忘れかけていた誠実さ、真っ当さであったり、そういったことをじんわりと思い起こさせてくれるのだ。26年間の中で変化し、変化しないもの。成長しつつ、堅持しつづけたもの。 その集積としての重みが確かにある。

「完寅」はひとつの歴史体験である。

一応、全ての作品を備忘録という形でレビューしたのだけど、いわゆる評判作(15作目とか17作目とか)から観始めたので、製作年別に並べてみると第一印象としての書きぶりが作順と前後したり、レビューのボリュームのバランスが悪いところがある。最初の方のレビューはかなり手抜きなのだけど、実はそっちの方が面白かったりするし。。

全く個人的な評価だけど、今回レビューには点数も付けてみました。(本当は、JTNEWSに投稿する為の準備でもあるのだけど。。)
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by onomichi1969 | 2012-04-29 01:31 | 日本の映画 | Trackback | Comments(0)

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