Rock and Movie Reviews : The Wild and The Innocent

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semスキン用のアイコン01 Tom Waits "Rain Dogs"(1985) semスキン用のアイコン02

  

2005年 01月 06日

a0035172_212021.jpgTom Waitsといえば、70年代初期のデビュー作”Closing Time”(1973)をまず挙げたいところである。
”Ol’55”や”Grapefruit Moon”など、都会的なセンス溢れるメロディアスな楽曲を彼の若々しいダミ声で情感たっぷりに聴かせてくれる。場末のバーで一人ピアノを弾き語るという雰囲気がありありと思い浮ぶ、このアルバムは、トムの特異な風貌も合わせて、演劇的なセンスを当時から十分に感じさせてくれた。
70年代のジャジーなアルバムもなかなか味わい深いが、彼がその音楽性を大胆に変化させていく80年代のアルバム群が僕は好きである。
レコード会社を移籍し、これまでのイメージを転換してアバンギャルドな方向性を初めて打ち出したのが”Swordfish Trombones”(1983)である。ある意味でその後の彼の行き方を決定づけたアルバムだ。このアルバムには彼の音楽に対するエッセンシャルな想いが凝縮されている。クラシカルな楽器を駆使し、暗闇でうごめくような音たちの間をすすり泣くように歌うトム。そのパーツはまだ少ない。しかし、そこには音の少なさにも増して、音楽というもののエッセンスは濃密である。ここにおいて彼は既にそのスタイルを確立したと言っても過言ではないと僕は思う。
しかし、彼の80年代の最高傑作といえば、やはり”Rain Dogs”(1985) ということになるだろう。如何せん前作には曲そのもののキャッチーさやアルバムとしての広がりに欠けていたのも事実。(まあその小世界的なところも前作の魅力ではあるのだが。。)本作ではそれを補うが如く、様々なギタリストが集い、楽曲的にも一段と艶を増した。ホール&オーツからG・E・スミス、ストーンズからは我らがキース、そして何と言ってもかのジョン・ルーリー率いるラウンジ・リザーズから参加したギタリスト マーク・リボーが出色だろう。”Jockey Full of Bourbon”や”Hang Down Your Head”で魅せるあのざらざらとした質感ながら、シニカルな哀しみと温かみが交錯する叙情的なギターソロは、この傑作アルバムの中でも忘れがたい印象を残す。(”Hang Down Your Head”は、トムの優しさに満ちたオルガンの音色と情感溢れる歌声も素晴らしい。そして歌詞も。僕はこの曲を聴いて何度涙を流したことか。。。)
もちろん名曲”Downtown Train”でのG・E・スミスの洗練されたギターサウンドやこれまた郷愁漂う名曲”Blind Love”など、キャッチーな味わいに溢れた楽曲も揃っている。そして、キース特有のスリリングなギターが痺れるR&Rサウンドも最高にカッコいい。
とにかくアルバムとしての広がりと楽曲のバランスが素晴らしい。前作で掴んだトムのアバンギャルドなスタイルを踏襲しつつ、バラエティに富んだ音色(特にギター)によって僕らを様々な音楽世界に誘う、”Rain Dogs”は、単調な80年代ロックシーンの中に孤高として輝く大傑作なのである。

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by onomichi1969 | 2005-01-06 02:02 | 80年代ロック | Trackback | Comments(2)

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Commented by teacherteacher at 2005-01-09 22:13
「Downtown Train」は、渋い! 本当にいい曲だと思います。
Every Thing But The Girlのカバーも良かったなぁ。
映画「スモーク」の最後に流れた曲も、泣けました。・・子供の作文みたいな文章だ
Commented by onomichi1969 at 2005-01-09 23:54
「スモーク」の最後は良かったですね。
あの曲は何だったかなぁ、、、と思って調べたら"Innocent When You Dream"でした。
これはトムの次作"Franks Wild Years"(1987)に入ってますね。このアルバムもなかなか良かったです。トムウェイツはまだまだレビューできそうだなぁー。
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