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semスキン用のアイコン01 バタフライ・エフェクト "The Butterfly Effect" semスキン用のアイコン02

  

2011年 11月 25日

a0035172_3124831.jpgyahoo!映画サイトの『ミッション:8ミニッツ』のいくつかのレビューの中で、「似ている作品」として挙げられていて、少し気になっていたのでレンタルDVDで鑑賞。予想通りと言えば、その通りなのだけど、そもそもこの2つの作品をSF的な視点で同列に比較すること自体がナンセンスだと感じた。

『ミッション:8ミニッツ』は、タイムトラベルの原理そのものへの言及があり、その点に想像力が深く及ぶ内容となっていて、いわゆるハードSFというジャンルに分類され得る映画である。それに対し『バタフライ・エフェクト』はタイムトラベルそのものが主題ではない。タイムトラベルは単なる道具立てであって、主題は別のところにある。それはデイゼル・ワシントン主演のサスペンス映画『デジャブ』も同じだし、ビル・マーレイの『恋はデジャ・ブ』に至っては同じ1日の中に閉じ込められるという設定そのものの面白さをベースとした恋愛コメディである。(それはそれでとても面白いのだけど) また、『バンテージ・ポイント』はタイムトラベルでも何でもない。『ミッション:8ミニッツ』をそれらの作品と比較して、優劣を論じる趣があるのだけど、どうしてそういう発想が出てくるのか僕には分からない。いずれにしても、『ミッション:8ミニッツ』の何が新しくて、何処に面白さがあるのか、それについては改めて述べてみたい。そこにはタイムトラベルを主題とした時間と意識をめぐる一つの可能性(量子論的可能性)が示されていると僕は思う。

それはそれ。

『バタフライ・エフェクト』もなかなか面白い作品であった。但し、世界が変わる毎の主人公の行動があまりに唐突だったり、幼稚だったり、かなりイライラしながら観たのも事実である。振幅の違う世界を生み出すきっかけとして、ある種の手違いは物語の必然なのかもしれないけど。

この映画の最も秀逸な点は、ラストシーンにある。主人公は、彼女と出会わない世界をあえて選択し、その世界が彼女にとっての最も理想的な人生であることを確信する。彼にとっては、彼女を愛するが故の究極の選択である。数年後、彼は、都会の雑踏の中で彼女らしき人物とすれ違う。彼と彼女は、失われた記憶の中にお互いを認め、微かなときめきを覚える。ある種の既視感(デジャブ)が二人を捉える。

このラストシーンは、村上春樹の短編小説『4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて』(以下、『100%の女の子』)に似ている。
その後、彼と彼女は再びめぐり逢い、付き合い始めることになるのであろうか? 『100%の女の子』は、結局のところ二人がお互いを認識できずにすれ違い、行き過ぎる場面で終わる。『バタフライ・エフェクト』も同様であろうか。
僕の答えは、『100%の女の子』の二人がその後運命的に出逢う可能性があるのに対し、『バタフライ・エフェクト』の二人にはその可能性がない、である。その違いこそが「宿命」であり、「運命」の由来である。ときめきは失われた記憶から立ち上がり、事実として思い出された瞬間に押し止められてしまうのだ。

「失われた記憶」と「運命」と言えば、思い出す映画がありますよね。そう『エターナル・サンシャイン』! 記憶が失われて、二人は運命的に出会う。

「失われた記憶」こそが「運命」の由来。映画は、その出自を辿る物語。そう考えれば、彼と彼女が出会った時、二人の記憶をよぎる微かな瞬き(第一印象で「ビビビっ」とくるアレですな)、「第一印象で決めました」というのは、実に有意なのだ。失われた記憶の幻影(の可能性)故に二人は惹かれあうのだから。
運命とか宿命とかいう言葉は、科学的に説明不可能な概念である。もしそれが実際的な由来として現実的に有り得るのだとすれば、それは『エターナル・サンシャイン』や『バタフライ・エフェクト』のような物語として構築化され得るのではないだろうか。それが現実的であるかどうかは別にして、そういうアイディアは物語としてすごく有意だし、僕なんかは可能性に満ちた想像力を掻き立てられて、ちょっとドキドキして、そこはかとなく楽しい。

そう思いませんか?2004年アメリカ映画
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by onomichi1969 | 2011-11-25 22:29 | 海外の映画 | Trackback | Comments(0)

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