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Rock and Movie Reviews : The Wild and The Innocent

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semスキン用のアイコン01 The Stranglers "Black and White"(1978) ~機械的な生から浮かび上がる根源的な死への衝動~ semスキン用のアイコン02

  

2004年 10月 25日

The Stranglers \"Black and White\"(1978) ~機械的な生から浮かび上がる根源的な死への衝動~_a0035172_1210582.jpgまず、このアルバムのジャケットからして只者ではない雰囲気を十分に漂わせている。The Stranglers 3枚目のアルバム "Black and White"(1978)は、彼らがその独自の音楽性を明確に表現しえた最高傑作だと僕は思っている。
キーボードをフューチャーした一風変わったパンクバンドから、比類なきニューウェイブのリーディングバンドへ。よりシャープでポップなサウンドと幅広い曲調、それでいて彼ら独特のダークでヘヴィーな印象がアルバム全体を貫く。どの曲も彼らにしか出来ない質のものだ。
彼らはパンクバンドと言いつつ、元々が実力派バンドなのである。その特徴は、JJの暴力的なベースラインとヒューの神経症的なギターサウンド、そしてデイブ・グリーンフィールドの明澄なキーボードメロディの正に"Black and White"(不明瞭)とも言うべきアンサンブルに尽きる。それは彼らの音楽の本質である「日常を切り裂く暴力衝動の発露」を表現しうる絶妙の構成なのだ。
一応このアルバムは、Aサイドを'White Side'、Bサイドを'Black Side'と呼んでいる。そう言われれば、確かにそんな気がしてくるが、彼らの表現する音楽は、このジャケット写真と同様に、常に黒と白の輪郭を同時に描くことで互いの色合いをくっきりと見せ付けるのである。一方は白の中に黒を浮かび上がらせ、他方は黒の廻りに白い閃光を穿つ。モチーフは、機械的な生から浮かび上がる根源的な死への衝動であろうか。このアルバムに収録されている日本を題材にした2曲、"Outside Tokyo"と"Death and Night and Blood(Yukio)"にもその対比は見て取れる。
70年代後半を席巻したパンク/ニューウェイブの中にあって、既に独自のステータスを確立していたThe Stranglersであったが、この傑作アルバムは、そんな彼らを伝説にまで押し上げるものになったのである。

by onomichi1969 | 2004-10-25 12:16 | 70年代ロック | Trackback | Comments(0)

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