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semスキン用のアイコン01 Superfly 『Cover Songs : Complete Best 'Track3'』(2010) semスキン用のアイコン02

  

2010年 10月 16日

a0035172_23344346.jpgSuperflyの60-70年代ロックのカバー集。とても歌がうまいと評判の作品だったので聴いてみた。

確かに彼女の歌唱力は日本人離れしていると思う。ロック調の吉田美和というか、マイルドなアレサ・フランクリンかリンダ・ロンシュタットって感じだろうか。難を言えば、歌い方が多少一本調子にすぎて、ともすると(ヘヴィメタみたいに)声を張り上げてしまう場合がある。そうかと思うと歌い方が定まっていないような、都度ものまねしているような印象も。声に微妙な変化とその独自の色合いと響きが乏しく、故に器用だけど個性がない。選曲のバラエティ、その歌い手達の絶大な個性を思い浮かべれば、彼女の無個性なボーカルは、なんというか平板であっけらかんとしすぎているのである。それはそれで現代的なことではあるけれど。まぁ、凡百の日本人歌手に比べて、その歌唱力は特筆に価するとは思う。特にシャウト系の曲、Piece of My HeartやRock And Roll Hoochie Kooなんかはすごくカッコいいし、ラストのバラードもなかなかしみじみとしていい。歌にソウルがにじみ出てくればもっとそれが彼女らしい個性になると思う。(いきなりアレサとリンダとの比較じゃキツイかとは思うけど。。)

選曲は素晴らしい。
60-70年代ロックの入門盤として聴くなら、その目的を十分に達成した作品だろう。ただ、残念ながら、原曲の良さを彼女独自のボーカルによって味わったり、カバー曲の現代風アレンジを楽しむにしては、少し物足りないかなとも思う。でも、それは仕方がないこと。だって、原曲がジャニス、ハンブル・パイ、フリー、ストーンズ、ジャクソン・ブラウン、ニール・ヤングでしょ。原曲を歌で超えようなんて土台からして無理。このアルバムのようなものは、欧米では絶対に考えられない企画だと思う。幅が広すぎ、ハードル高すぎでしょ。

ジャニス・ジョプリンやスティーブ・マリオットの歌は、歌唱というよりも魂(ソウル)の響きそのもの。自らの魂を削って、それを喉から搾り出し、響きにして僕らに投げつけているようなものなのだ。
ハンブル・パイのHot‘N’Nastyは、彼らの代表的なオリジナルアルバム”Smokin’”のトップを飾り、ライブアルバムの傑作”In Concert”のラストを飾る名曲である。特にライブでのマリオットの歌声は、ソウルフルに響きまくる。彼の歌がその「響き」そのものであることをまさに「痛感」させてくれる最高のパフォーマンスなのである。

この作品を聴いて改めて原曲を聴きたくなる。確かにそういう効果はあるのかなと思った。ジャクソン・ブラウンのLate for the Skyやアレサとキャロル・キングのA Natural Womanとか。よくぞ選んだという感はあるけど、ただ、原曲が歌い手たちの個性の刷り込まれている曲ばかりで、そのイメージが自然と浮かんできてしまうのは、少し彼女に不利かなと思う。Late for the Skyはジャクソン・ブラウンの個性を体現したような歌だから、彼の声から醸し出されてこそのものがあるし。

彼女も経験を積めば、曲に負けない彼女自身の個性が出てくるはず。その時にこそ、カバーアルバムも彼女のボーカルという色で統一され、本当の意味で有りなのだと思う。ちょっと厳しいかなとも思うけど、期待を込めて。

そうそう、日本人でソウルを感じさせてくれる女性ボーカリストと言えば、、、美空ひばりと椎名林檎かな。あとCharaとUA。。。やっぱり個性でしょ。
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by onomichi1969 | 2010-10-16 23:35 | 日本のロック | Trackback(1) | Comments(2)

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Tracked from 音楽の杜 at 2010-10-17 21:05
タイトル : Superfly 「Wildflower & Cover..
先月リリースされたSuperflyのシングル「Wildflower & Cover Songs」。従来のファンからはその値段の高さ(通常盤2,800円)から賛否両論のようですが、これはシングルではなく、あくまでもアルバムなのです。それもDisc2は激シブ洋楽カバー全15曲が収録。それゃ普通のファンからは引かれますよ。でもコアな洋楽ファンであれば、むしろそのDisc2を何はともあれ聴くべし! 一応全15曲、ざっとリストアップしておきます。 01.Fooled Around and Fell ...... more
Commented by 240_8 at 2010-10-17 21:08
こんばんは。
このアルバムは洋楽ファン必聴ですね。
私は特にロジャー・マッギンのカバーに驚きを覚えました。だってロジャー・マッギン、通常の方にとっては全く認識されていない御大。バーズは知っていてもロジャーのソロまでは聴いたことがないというのが大方の意見でしょう。それを見事にカバーしています。
やっぱり彼女(と元ギターの方)、よっぽどのマニアですね。
Commented by onomichi1969 at 2010-10-19 00:48
240_8さん、こんばんは。
彼女(と元ギターの方)が洋楽に関して、幅広い知識があって、その趣味が僕らのツボであることは確かですね。
このアルバム(というかシングル?)がロック名盤名曲特集的な、ロック入門的な、雑誌の付録のような位置づけを敢えて取ろうとしている、、、のかどうか分かりませんが、そう考えると、まぁそれも軽い感じのノリで「有り」なのかなと思ったりもします。
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