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semスキン用のアイコン01 The Police "Outlandos d'Amour"(1978) semスキン用のアイコン02

  

2010年 10月 06日

a0035172_22142625.jpgイギリスのスーパートリオ ポリスの1stアルバムにして、最高傑作。高度な技術に裏打ちされたスピード感あふれる演奏と晴やかなポップチューン。特に演奏は、スチュアート・コープランドのドラミングが曲ごとに個性を発揮していて、疾走するタム回しもカッコいいし、スネアとハイハットのコンビネーションによる硬質なリズムもいい。やっぱり一番は2曲目の"So Lonely"だろうか。この曲はポリスの良さが詰った名曲であると共に70年代後半のニューウェイブを代表する楽曲だと思う。

前述のスチュアート・コープランドのドラムに絡むのはアンディ・サマーズの緻密に構成された変幻自在な分散和音中心のギター演奏、神経症的にエフェクトされたギターソロである。そしてスティングの軽快且つテンポよく響くベース音。極めつけはスティングのこの時期特有の高音域で押しまくる突き抜けたようなボーカルである。特に"So Lonely"後半のテンポを落としてから段々と盛り上げていって、最後にサビに繋がるところの息苦しい程に性急な展開はメチャクチャカッコいい。スティングの絞り出すような高音はまさに"So Lonely"仕様とでもいうべき、この時期に特有のもので、これ以降のアルバムではもう聴くことはできない。このアルバムはスティングにとって最も声の状態がよかったのだろう。声というのは徐々に衰えるものだ。ブライアン・ウィルソンやマライア・キャリー、ケイト・ブッシュ、リチャード・マニュエルも同様で、彼らの初期のアルバムに価値があるのは、その最良の歌声が記録されているからだと僕は思う。

"So Lonely"を含めた出だし3曲("Next You"→"So Lonely"→"Roxsanne")の高い完成度と衝撃度がこのアルバムの、そしてポリスの全てを物語っているとすら思える。続く中盤の2曲"Peanuts"と"Can't Stand Losing You"もよい。ここではスティングのベースがうねりながら軸となり、3人の演奏力とアンサンブルのバランスの良さを見せ付ける。"Born In The 50's"はサビが凡庸すぎるけど、サビ以外のところは気合いが入っていてよい。

ジャズプレイヤーのスティングとプログレバンドでドラムを叩いていたスチュアート・コープランドと大学で音楽を専攻していたアンディ・サマーズがバンドを組む。ポリスという分かりやすいだけの「??」なバンド名も、当時流行のパンク調の楽曲を取り入れたことも、彼らなりの売れる為の戦略だったという。バンド名はともかくとして、彼らがパンクを売りにしたことは今にして思えば絶妙の選択であり、大正解であったと僕には思える。その後のアルバムで徐々に彼らが本当にやりたかった音楽に移行していき、最終的には個々の趣味の違いにより袂を別つことになるわけだが、彼らの本当にやりたかったことが彼らにとっての(ロックにとっての、僕らにとっての)最良の選択だったとは必ずしも言えないのではないか。これは人生も同じで、最もやりたかったことが最良の選択であるとは限らないわけで、逆に人から懇願され期待されて選んだ道こそが最良の選択の場合もあるのだ。

1stアルバムは、ポリスの最高傑作だと僕は思う。彼らが売れる為に選択した戦略がポリスというトリオの個性に最もフィットしたスタイルを生み出したのだ。それはちょっとした異質の配合であり、違和であり、思いもかけないものだったのだろうけど、それこそが、ある意味で名作が生み出される必要条件なのかもしれないと思った。
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by onomichi1969 | 2010-10-06 22:32 | 70年代ロック | Trackback | Comments(0)

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